シニアの運動に関する意識調査
毎日運動していても9割以上が筋力の低下を実感
公益財団法人日本ヘルスケア協会 生き活きライフ(フレイル対策)部会(東京都中央区)では、全国の65歳~79歳の男女312名を対象に、「シニアの運動に関する意識調査」をインターネット調査で実施しました。※本調査結果では、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります
調査結果のポイントと解説
・男性は運動している人としてない人が両極端。一方で自覚なく日常的に運動している人が多い実態も。
・運動の目的の第1位は「健康維持」。筋力を維持したい場所は日常生活に重要な下半身が上位に。
・9割以上が筋力の低下を実感。
・実施したい運動は有酸素運動が多く、無酸素運動を行いたい人は4割以下に
以下、解説は生き活きライフ(フレイル対策)部会 部会長 又平芳春
現在の運動量
・男性は運動している人としてない人が両極端。一方で自覚なく日常的に運動している人が多い実態も。
現在の運動量を尋ねたところ、「ほとんどしていない(44.6%)」が最も多い回答となり、約半数の方が日常的に運動をしていないことが明らかになりました。男性のみで見ると、週4日以上運動している人が36.5%もおり、「ほとんどしていない(42,3%)」と僅差であることから、運動をしている人としていない人が両極端に分かれていることが分かります。
日常的に行っていること
次に、日常的に行っていることを尋ねたところ「買い物(69.6%)」が最も多い回答となり、次いで「洗濯(54.5%)」「掃除(54.5%)」が続きました。男女別で見ても「買い物」「洗濯」「掃除」は、5位以内にランクインしています。これらは一般的に「家事」と呼ばれますが、家事も体を使うため、運動に含まれます。このことから、前問では、全体の約半数の方が運動していないと回答しましたが、無自覚に実は運動をしていたことが明らかになりました。一方、無酸素運動である「筋トレ(14.1%)」を行っている人は約1割程度に留まりました。
男女別でみると、男性は有酸素運動である「ウォーキング(53.8%)」を半数以上が行っており、「ストレッチ(25.6%)」も4人に1人が行っているのに対し、女性は4位まで家事が占めており、男女の家事分担の違いか、一般的に運動に分類される「ウォーキング」などは5位以下となっています。
運動の目的
・運動の目的の第1位は「健康維持」。筋力を維持したい場所は日常生活に重要な下半身が上位に。
続いて、週に1日以上運動をしている方に運動の目的を尋ねたところ、9割以上の方が「健康の維持(91.9%)」と回答しました。2位の「筋力を高めるため(41.6%)」と比較しても2倍以上の差があることから、運動をしている方は健康への目的や意識が高い様子がうかがえます。
また、現在の運動の有無にかかわらず、運動により筋力を維持したい場所を尋ねたところ「脚(90.1%)」、「体幹(65.4%)」が上位にランクインしました。日常生活を送る上で重要となる下半身の老化を防ぎたいと考えている方が多いことが分かります。
前問で「脚」と回答した方に、筋力を維持したい理由を尋ねたところ、「いつまでも自分の足で歩きたいから(92.5%)」が最も多い回答となりました。加齢による筋力の低下は誰にも起こりうる当然な老化現象ですが、自分の体と付き合い、現状維持を目指している様子がうかがえます。
筋力の低下
・9割以上が筋力の低下を実感。
次に、筋力の低下を感じたことがあるか尋ねたところ、9割以上の方が、感じたことがあると回答しました。前問では、家事などの日常的な動きにより実は運動をしていたことが明らかになりましたが、筋力の低下を感じている方が多いことから、現在行っている運動では、筋力の維持や向上には運動量が足りていないことが分かります。
また、筋力の低下を感じたことがあると回答した方に、どのような時に筋力の低下を実感したか尋ねたところ、1位が「思っていたより動けなかった(48.6%)」、2位が「すぐに疲れるようになった(43.6%)」、3位が「力が入りにくくなった(33%)」となりました。
実施したい運動
・実施したい運動は有酸素運動が多く、無酸素運動を行いたい人は4割以下に
現在の運動の有無にかかわらず、実施したいと思う項目を尋ねたところ、は「ウォーキング(67.9%)」が最も多い回答となりました。次いで「ストレッチ(56.4%)」が続くことから、有酸素運動を積極的に取り入れたい方が多い様子がうかがえます。一方で、無酸素運動の代表格である「筋トレ(37.2%)」は半数以下となりました。健康維持のためには、筋力の低下を防ぐことが必要ですが、筋力の維持には有酸素運動だけでなく筋肉に負荷をかける無酸素運動も取り入れることが重要となります。
調査結果と日常生活の運動について
調査結果を見ると、運動をしていても筋力の低下を実感していることから、現在の運動方法では筋力の維持や向上に結果を残せていないことが分かります。健康維持のため、足を鍛えたいと感じている人が多い一方、現在行っている運動は、ウォーキングやストレッチ、家事のような有酸素運動が中心です。
筋力の維持や向上には、有酸素運動のみではなく、筋トレのような無酸素運動も取り入れることも重要ですが、現在行っている方も実施したいと思う方も少ないため無酸素運動が不足している様子がうかがえます。
近年増加傾向にあるフレイル※1を防ぐためには、筋肉量を維持・向上することも非常に大切ですが、ただ運動をすればいいのではなく、有酸素運動と無酸素運動両方を行うことが重要です。フレイルは誰でも罹患する可能性がありますが、運動や食事など適切な対策を行うことで予防や改善が可能です。
※1:病気ではないが、年齢とともに、筋力や心身の活力が低下し身体機能が衰えることにより、介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態。
具体的には、家事や畑仕事といった日常生活の運動だけでなく、ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動と筋トレなどの無酸素運動を取り入れましょう。ただし、運動のしすぎも体に負担がかかり逆効果になってしまうため、フレイル対策には、身体活動を1日40分以上(1日約6000歩以上)、筋トレを週2日~3日行いましょう(※2)。
※2:厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023より
また、運動にプラスしてサプリメントを服用することも効果的です。近年の発表によると、「レモンマートル抽出物」の摂取も有効な1つの手段であることがわかっています。運動は継続的に行う必要がありますが、レモンマートル抽出物などのサプリメントにも頼りながらフレイル対策を行いましょう。
筋肉量の促進に有効な成分「レモンマートル抽出物」とは
レモンマートルとは、フトモモ科バクホウシア属の植物で、オーストラリア北東のクイーンズランド州海岸側の亜熱帯雨林帯に自生しています。レモンマートル抽出物とは、レモンマートルの葉を熱水抽出し、粉末化したものです。熱水抽出・粉末化した製品の安全性に問題はなく、水溶性でわずかな苦み、着色もごくわずかのため、食品応用に向く素材として使用されています。
第78回日本栄養・食糧学会大会で発表された講演によると、近年サルコペニアの一因として、筋の再生で中心的な役割を担う筋サテライト細胞の機能低下が注目されています。高齢者を対象とした介入試験では、レジスタンス運動(筋肉に抵抗をかける動作)とレモンマートル抽出物摂取の併用により、筋肥大効果を促進し、サルコペニア予防に有用であることが示唆されました。
調査概要
調査名:シニアの運動に関するアンケート
調査対象:全国の65歳~79歳の男女312名(有効回答数)
調査期間:2024年6月26日(水)~27日(木) 2日間
調査方法:インターネットアンケート
調査委託先:株式会社マクロミル
詳しくは下記外部リンクよりご覧ください。
(文頭画像はイメージ。文中画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
<シニアの運動に関する意識調査>毎日運動していても9割以上が筋力の低下を実感
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