2024年からの生前贈与ルール変更、周知進まず
弁護士ドットコム®が調査。30代の8割が「知らない」
2024年1月から相続税に関するルールが変わります。生前贈与した財産を相続財産に加算する期間が3年から7年に延びる一方で、生前贈与した財産をすべて相続財産に加算する課税方式のルールも見直されることになり、節税目的の生前贈与について、今後どう対応すればよいのか不安の声も上がっています。こうした中で、弁護士ドットコム株式会社(東京都港区)は、弁護士ドットコム®️の一般会員810名と、税理士ドットコム®️登録税理士82名を対象に、法改正や生前贈与に関する実態・意識調査を実施しました。
調査概要と調査結果のポイント
調査機関:弁護士ドットコム®️(一般会員と会員弁護士を対象)
調査方法:弁護士ドットコム®一般会員と税理士ドットコム®︎登録税理士を対象にアンケートを実施
調査対象:弁護士ドットコム®の一般会員で回答が得られた807名と税理士ドットコム®︎登録税理士82名
調査期間:2023年10月18日〜24日(一般会員)、10月30日〜11月2日(税理士)
調査の結果、生前贈与のルール変更については、30代の約8割が「知らない」と答えています。生前贈与の目的については、節税目的以外が約4割、相続トラブル回避にも活用していることが分かりました。税理士の5割強が法改正に関わる税務相談を受けたことがあると回答しました。
生前贈与めぐるルール変更、30代の8割「知らない」
生前贈与の法改正について知っているか尋ねたところ、「知らない」との回答が3分の2を占めました。特に若い世代での認知度が低く、20代のおよそ7割、30代の8割が知らないという結果となりました。
法改正の認知度は低い一方で、法改正に関わる相談はすでに税理士のもとに寄せられているようです。法改正に関わる生前贈与や相続税の相談に対応したことがあると回答した税理士は5割を超えました。
生前贈与の目的、節税だけでなく相続トラブル回避も
生前贈与の経験者に目的を尋ねたところ、「節税目的」が5割強で最も多く、次いで「相続になった時に揉めないように」が3割、「親や自身の健康不安(認知症など)」が17%と続き、節税目的以外にも将来の相続トラブル回避のために生前贈与を活用しているケースが少なくないことがわかりました。
生前贈与の目的として節税目的の回答がもっとも多い一方で、親が亡くなった場合、または自身が亡くなった場合の相続で、相続税が課税されるかについて把握しているのは約4割にとどまりました。
法改正に対する税理士の声
アンケートに回答した税理士からは、法改正について「生前贈与加算は3年だが、税務調査では10年間ほど遡っているようなので、加算が7年に延長になるのは現実的だと考えている」「相続時精算課税制度(※)が使いやすくはなった」という肯定的な意見がある一方で、懸念の声も寄せられました。
※相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子・孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度
「そもそも贈与を促進し、上の世代から下の世代に財産移転を促し、下の世代の消費を助けるなどの趣旨が重要かと思いますが、相続時精算課税の適用漏れも多発するリスクもありますし、あえて難しい制度に誘導するのは、甚だ疑問を感じる。そもそも特例など設け過ぎで、もっとシンプルな制度設計が求められているのに、より理解しづらい制度にすることに対しては、専門家として理解に苦しむところです」
「相続時精算課税を採用する人が増えると想定されますが、その後に本人が忘れてしまうことが多い税制ですので、飛び込みの相談で確認が煩雑になりそうです。最低限、マイナポータルで確認できるようにしてほしい」
詳しくは下記外部リンクよりご覧ください。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
弁護士ドットコム調査、2024年からの生前贈与ルール変更、周知進まず
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