北海道大学が発見、アルツハイマー病予防に植物セラミドが有効

2019年12月26日

認知症予防目的の機能性食品素材・新薬開発に期待

北海道大学大学院先端生命科学研究院の五十嵐靖之招聘客員教授、湯山耕平特任准教授らの研究グループは、植物由来のセラミドがアミロイドßペプチド(Aß)蓄積を軽減させることを疾患モデルマウスを用いた実験で発見しました。

研究グループは、実験材料の植物性セラミドとしてこんにゃく芋から精製したセラミド(グルコシルセラミド)を用いました。こんにゃく芋由来セラミドは、機能性食品素材として美肌目的のサプリメントや飲料に配合されている脂質成分です。アルツハイマー病モデルマウスには脳内でAßを過剰発現する APPトランスジェニックマウスを使用し、植物セラミドを1日1mg量、2週間継続的に経口投与した後、Aß病理とエクソソーム量を解析しました。

大脳皮質や海馬領域でAß濃度低下、アミロイド斑減少

アルツハイマー病モデルマウスに植物セラミドを経口投与すると、大脳皮質や海馬領域でAß濃度の低下とアミロイド斑(老人斑様のAß沈着)が減少しました。また、海馬領域ではシナプス障害の抑制も観察され、行動実験では短期記憶の改善が認められました。さらに、同じ脳標本中のエクソソームを解析したところ、神経細胞由来のマーカータンパク質の増加がみられました。

今回の実験で、植物セラミドの経口摂取によってアルツハイマー病のようなAß関連病理が低減することが実証され、また、植物セラミドの作用でエクソソーム依存性Aß分解を促進させる可能性を示唆する結果が得られました。

脳内Aß蓄積の抑制はアルツハイマー病予防の有効な戦略とされており、本研究で得られた新たな知見は機能性食品素材や新薬開発に繋がる可能性があります。今後研究グループでは、ヒト介入試験による植物性セラミドの認知機能改善効果の検証を実施する予定です。

(画像はイメージです)

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北海道大学、アルツハイマー病発症予防に植物(こんにゃく)セラミドが有効~認知症予防目的の機能性食品素材・新薬開発に期待~


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