岡山大学、軽度認知障害の治療同意能力低下を明らかに
2019年7月20日
主治医は見落としやすいことも判明
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)精神神経病態学の大島悦子医師、寺田整司准教授らの研究グループは、薬の開始を相談するという比較的単純な治療場面においても、軽度認知障害(MCI)の患者のうち30%程度で治療同意能力が失われていることを明らかにしました。また、治療同意能力が失われていた対象者のうち40%程度について、主治医は、患者さんの治療同意能力欠損に気付いていなかったことも分かりました。
認知症予備群といわれる軽度認知障害(MCI)では、どの程度治療同意能力が保たれているのかは不明でした。今回の研究で、軽度認知障害(MCI)の段階でも、口頭説明だけでは治療内容を十分理解し同意することができない患者さんが少なくないこと、さらに、主治医は患者さんの治療同意能力欠損を見逃しやすいことが明らかになりました。より多くの高齢者が医療を受けるようになる中で、認知機能が低下している患者さんが意に沿わない治療を受けることが減るように、安全に治療を受けられる環境作りが必要です。
本研究について研究者は次のようにコメントしています。
「治療同意能力が無いから、治療を受ける当人ではなく代諾者に説明すればよい」というわけではありません。家族に同席してもらって説明をする事はもちろん必要ですが、理解力や思考力の低下をサポートできるように「文書を用意する」、「理解しやすい文章にする」、「イラストを用いる」など、同意取得の際に工夫が必要です。
本研究成果は、世界老年精神医学会の学会誌である「International Psychogeriatrics」電子版に5月27日に掲載されました。詳しい内容については下記外部リンクよりご覧下さい。
(画像はイメージです)
▼外部リンク
軽度認知障害の段階でも、治療同意能力は低下していることを明らかに 同意能力低下を主治医は見落としやすいことも判明
おすすめ記事リンク
- 【PR】治験参加者募集中!もの忘れなどのある高齢者でも、安心して使える睡眠治療薬の提供を目指して
- 10/30(水)「オンラインフレイル予防講座」口腔編を開催(福岡市)
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「脳のスペックを最大化する食事」7/20発売
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「潜伏期間は20年。今なら間に合う 認知症は自分で防げる!」
- 広川慶裕医師の、認知症予防のことがよく分かる『認トレ®️ベーシック講座』開講!
- 知ると知らないじゃ大違い!民間介護保険って何?
- 酸化ストレスを減らすと認知症予防に!秘密はサプリメント
- ユッキー先生の認知症コラム第92回:あるべき姿の認知症ケア
- 認知症専門医による認知症疾患啓発イベントを開催
- ポイントは食生活にあった。認知機能維持に必要なのは・・・
- 認知症予防は40代から!摂ると差が出る栄養素とは。
- 山口先生のコラム「やさしい家族信託」第17回:Q&A 外出自粛で、認知機能の低下が心配。家族信託、遺言、後見、今できることが知りたい
- 【広川先生のMCIコラム(第1回)】MCI(軽度認知障害)期で気づくことが大切