運転免許更新時の認知症検査の強化に反論。日本精神神経学会が意見書提出

2015年2月14日

高齢ドライバーの認知症チェック強化を問題視

日本精神神経学会は警察庁交通局による「道路交通法改正試案」に対し、意見書を提出したことを明らかにした。

「道路交通法改正試案」では、高齢運転者の交通事故件数の増加などを理由に、75歳以上のドライバーが違反行為をした際に認知機能検査を義務づける。

3年に1度の免許更新時にも行われている認知機能検査により、認知症のおそれがあると判断された場合は、専門医による診断を実施。検査を受検しなかった場合には、免許取り消しなどの処分を行うとしている。

認知症と危険運転の関連性は証明されていない

日本精神神経学会は意見書において、認知症と危険運転の因果関係が不明瞭であることを指摘。高齢者の交通事故増加はあくまで、社会全体の高齢者の割合が増加しているためだとしている。

認知症の診断の際に判断材料となる短期記憶障害も、運転に与える影響は少ないとする。認知症の可能性があると診断されただけで、能力があるにも関わらず運転の機会や権利を剥奪されることを危惧している。

また認知機能検査を行う医師の確保や費用負担について具体的な方策が示されていないこと、買い物や通院の際に運転できなくなることで生活に多大な支障がでることなどを問題視。学会は道路交通法の改正の前に行うべき政策がまだ多く残っているとし、改正試案の見送りを求める方針だ。

(画像は日本精神神経学会のホームページより)

▼外部リンク
日本精神神経学会「道路交通法改正試案」に対する意見の提出について


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