熊本大学、認知症予備群の記憶能力低下と特徴的視線行動を実証
2017年11月9日
MCI者の記憶能力と視線行動に特異性
熊本大学大学院は、認知症予備群といわれる軽度認知障害(MCI)高齢者の記憶能力に関する研究を行い、軽度認知症の高齢者は、健常高齢者に比べてヒトの顔を短期的に記憶する能力が低下しており、また、顔を記憶する時の視線行動に異変が生じていることを明らかにしました。
比較実験は、高齢の健常者とMCI者(各18名)に対して、2種類の新奇画像(初めて見る顔や家の画像)を覚えようとしているときの視線の動向を記録しながら、視覚的再認課題を課す形で行われました。
認知症の早期発見に繋がる成果
実験の結果、健常者は顔と家の2種類の画像間の記憶成績に差がありませんでしが、MCI者では顔の画像の記憶成績が家の画像よりも低下していることがわかりました。また記憶時の視線行動において、MCI者は健常者に比べ、口元への視線集中が増え、目元へは減るという行動バターンが確認されました。
MCIでは顔の短期記憶能力が低下し、視線布置が健常者と異なる可能性が示されたことになります。同大では「MCI 者では、おそらく脳機能の低下によって、顔の認知処理過程に異常が生じており、それを補うために分散的な視線布置を行っていると考えられる。」と分析し、高齢化とともに社会問題化してる認知症の早期発見に繋がる成果として、様々な応用が期待できるとしています。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
熊本大学、認知症予備群はヒトの顔を覚えるのが苦手 ―視線計測を用いた研究で明らかに
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