東北大学でパーキンソン病患者が認知症を発症するリスク因子を発見

2014年11月10日

パーキンソン病患者の約8割が認知症を併発

東北大学大学院医学系研究科と東北大学病院は10月31日、パーキンソン病の悪化に関連する因子の発見に成功したとして発表を行った。

担当したのは東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野の森悦朗教授、東北大学病院高次機能障害科の西尾慶之講師、馬場徹助教、県南中核病院研修医の庄司裕美子医師らによる研究グループ。

パーキンソン病の症状には手足の震えや歩行障害など運動機能の悪化が挙げられるが、時間が経つにつれて記憶障害や視知覚障害などの「認知症」を伴うケースが約8割に及ぶことが知られている。同研究では認知症を発症する前後の状態を比較し、認知障害の発生と脳内にみられる広範囲な機能低下についての関連性を指摘した。

発症時期を予測して早期治療につなげる

森教授らの研究グループは、53人の認知症を発症していないパーキンソン病患者を対象に、初回検査と3年後に同様の検査を計2回実施。運動機能、認知機能(記憶、視知覚、遂行機能)、局所ブドウ糖脳代謝測定などを実施した。

初年度に認知障害がみられず、3年後も認知障害のないグループ、また3年後に認知障害だけ発生したグループについては、脳内の臨床症状や脳代謝パターンなどに大きな変化はみられなかった。

一方で3年後に記憶およびその他の認知障害をきたしたグループは、初回検査の時点で側頭や頭頂葉の代謝が低下。視知覚障害も早くから認められ、3年後の運動機能や認知機能にも症状の悪化がみられた。同研究成果はパーキンソン病の予後予測や、認知症の早期介入に役立つことが期待される。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
東北大学大学院医学系研究科 東北大学病院/プレスリリース


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