介護疲れにより妻を殺害 82歳夫を逮捕
2016年4月7日
5日、兵庫県加東市で認知症の八尾正乃さん(79)を殺害したとして、夫の八尾嘉明容疑者(82)が逮捕された。
事件の背景
正乃さんは14年10月に市に介護認定を申請。同年11月から介護サービスを利用していた。八尾容疑者はほとんどの介護を1人で行っており、その介護に疲れ、首を絞めて殺したなどと供述。
同居する長男によると、事件が起こる一週間前から正乃さんの症状が悪化していたと話している。
また、加東市は2009年7月から正乃さんの介護について家族から複数回相談を受けていたという。
正乃さんは徘徊などの問題行動を繰り返していたが、3月に骨折してから寝たきりになってしまい介護の負担が増えたと見られている。
なぜ介護疲れが殺人に繋がるのか
認知症の家族の介護疲れを原因とした殺人は、これまでも繰り返し起きている。認知症の場合、脳の細胞が壊れることで認知機能(記憶力や認識力など)に問題がおきる中核症状の他に、中核症状がもたらす不安やストレスから、問題行動(徘徊や暴力・妄想など)を繰り返してしまう「BPSD」と呼ばれる周辺症状がある。
認知症の在宅介護では、この周辺症状へのストレスが家族の負担となる場合が多い。例えば、「日中や夜間に徘徊を繰り返してしまい、どうしても改善しない」「猜疑心が強くなり、介護家族に対して暴力的を振るう」など、こういったことが家族の負担となる。
また、脳の前頭葉と呼ばれる部分は人間の自己抑止力を司る場所でもあり、認知症により前頭葉に萎縮が起きている場合には、問題行動そのものを我慢することが難しくなっていることもある。
今後増えていく認知症の家族の在宅介護。本人と家族双方のケアが課題となる。
(画像はイメージ)
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