PPI服用が認知症を招く?リスクが非服用者の1.4倍に
高齢者7万人超を対象としたドイツの研究
胃酸の分泌を抑える薬剤として、胃潰瘍や逆流性食道炎の患者などに使用されているプロトンポンプ阻害薬(PPI)が、認知症のリスクを高める可能性があることが明らかとなった。ドイツ神経変性疾患センターのWilly Gomm博士らが、2月15日の「JAMA Neurology オンライン版」に報告した論文で示されている。
この研究は、ドイツの公的健康保険データを用いた前向きコホート研究で実施されたもの。同国最大の公的医療保険Allgemeine Ortskrankenkassen(AOK)の患者データから、2004年~2011年の入院及び外来における診断記録と、PPI処方の記録を抽出し、2015年8月から11月にかけてデータ分析を行ったという。
対象としたのは、認知症を発症していない75歳以上の高齢者73,679人。定期的なPPIの処方を受けた患者はこのうち2,950人で、女性が77.9%、平均年齢は83.8歳、一方非服用患者は70,729人で、女性が73.6%、平均年齢は83.0歳だった。
この服用患者と非服用患者のグループに関し、年齢や性別、持病などの影響を取り除いて分析した結果、服用患者が認知症になるリスクは非服用患者の1.44倍と、有意に高いことが判明した。
日常的服用を避けることでリスク低下か
この分析結果から、研究グループでは、日常的なPPIの服用を避けることで、認知症リスクを低下させることができる可能性があると結論づけている。
論文ではこのPPI服用と認知症の関係性について、すでに報告されているマウスにおける研究で、PPIが脳血管関門を通じた脳のアミロイドベータ沈着を増加させることが明らかになっていることから、このことがリスクを有意に高めた原因ではないかと考察されている。
ただし、今回の研究は直接的にPPIと認知症の関係を生物学的に証明するものではないとし、因果関係を確認するには、より精度の高い研究方法であるランダム化比較実験が必要であるともされた。
(画像はイメージです)
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JAMA Neurology : Association of Proton Pump Inhibitors With Risk of Dementia
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