文庫版『全員悪人』発売
「介護される側」の視点で認知症を描くノンフィクション
株式会社CEメディアハウス(東京都品川区)から、認知症になった当事者の恐れと苦しみを鋭い観察眼で描いたノンフィクション『全員悪人』(村井理子著・2021年4月刊)の文庫版が発売されました。文庫版では、「五年後の霜秋」として15ページにわたって加筆しています。文庫判176頁、定価は税込792円です。
「認知症の当事者のことがわかった」の声、続々
2021年の刊行からこれまで、介護する側ではなく「介護される側」に立って書かれた本書について、ネット書店のレビューは300件を超え、認知症の当事者理解に役に立ったという意見や、未来の自分と重ねて読んでしまって恐ろしくも興味深いと感じたなど、さまざまな意見が寄せられています。
しっかり者の義母が認知症になった
「どちらさま? 誰かに似ているようですけれど」私には居場所がない。知らない女に家に入り込まれ、今までずっと大切に使い、きれいに磨き上げてきたキッチンを牛耳られている。少し前まで、家事は完璧にこなしてきた。なんだってできました。ずっとずっと、お父さんのために、息子のために、なにからなにまで完璧に、私は家のなかを守ってきました。あなたはいつも、お母さんって本当にすごいですね、完璧な仕事ですよと言ってくれた。
あなたに一度聞いてみたことがある。なんなの、毎日代わる代わる家にやってくる例の女たちは? そしたらあなたは、「お母さん、あの人たちは、お父さんとお母さんの生活を支援してくださっている人たちなんです。介護のプロなんですよ」って言ったのだけど、こちらは家事のプロですから。――私は主婦を、もう六十年も立派に勤めてきたのです。
※本文より
老いるとは、想像していたよりもずっと複雑でやるせなく、絶望的な状況だ。そんななかで、過剰に複雑な感情を抱くことなく必要なものごとを手配し、ドライに手続きを重ねていくことが出来るのは私なのだろう。これは家族だからというよりも、人生の先達に対する敬意に近い感情だと考えている。
※あとがきより
もくじ
■プロローグ――陽春
■第一章 あなたは悪人――翌年の爽秋
■第二章 パパゴンは悪人――師走
■第三章 白衣の女は悪人――新春
■第四章 お父さんは悪人――晩冬
■第五章 水道ポリスは悪人――早春
■第六章 魚屋は悪人――初夏
■第七章 私は悪人――盛夏
■第八章 全員悪人――メモ
■エピローグ――晩夏
■あとがき
■文庫版補稿——五年後の霜秋
プロフィール
村井理子(むらい りこ)
翻訳家/エッセイスト
1970年静岡県生まれ。滋賀県在住。ブッシュ大統領の 追っかけブログが評判を呼び、翻訳家になる。現在はエッセイストとしても活躍。著書に『兄の終い』『全員悪人』『いらねえけどありがとう』『訳して、書いて、楽しんで』 (CEメディアハウス)、『家族』『はやく一人になりたい!』(亜紀書房)、『義父母の介護』『村井さんちの生活』(新潮社)、 『ある翻訳家の取り憑かれた日常』(大和書房)、『実母と義母』(集英社)、『ブッシュ妄言録』(二見文庫)、他。訳書に 『ゼロからトースターを作ってみた結果』『「ダメ女」たちの人 生を変えた奇跡の料理教室』(新潮文庫)、『黄金州の殺人鬼』 『ラストコールの殺人鬼』(亜紀書房)、『エデュケーション』 (早川書房)、『射精責任』(太田出版)他。
※写真はプレスリリースより
▼外部リンク
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