認知症月間、誰でもスマホが「認知症に関する調査」を実施

2024年10月10日

必要なのは「公的支援」と「お金」

株式会社アーラリンク(東京都豊島区)は、「誰でもスマホ リサーチセンター」としてその生活実態の情報発信を行っています。9月の「認知症月間」にあたり、東京都の協力のもと「認知症に関する調査」を実施しました。

家族と同居の10人に1人が「一緒に暮らす家族は認知症(軽度含む)」と回答

はじめに、全国の「誰でもスマホ」の利用者(有効回答数587人)の認知症との関わりについて聞いてみました。その結果、「自身が認知症か、軽度の認知機能障害の状態」と回答した人は4.3%。ただしその年齢を見てみると30代~70代まで幅広かったため“物忘れが多い”といった自認も含んでいると想定されます。

また、家族等と一緒に暮らしている人(157人)に「一緒に暮らす家族等の認知症(または軽度の認知機能障害)の有無」を聞いたところ、「いる」は11.5%と家族等と暮らす方の10人に1人は認知症の方と同居していることがうかがえます。その年代は20代から60代と幅広いことから、認知症は誰にとっても起こりうる身近な問題だと言えそうです。

家族の認知症で必要なのは「公的支援」、自分の認知症で必要なのは「お金」

つづいて、家族等と一緒に暮らしている人(157人)に、「一緒に暮らす家族等」または「自分自身」が認知症になった時に、「一緒に暮らし続けるために一番必要だと思うこと」をそれぞれ聞いたところ以下のような結果になりました。

Q. 「一緒に暮らす家族等」が認知症(または軽度の認知機能障害)であるか、または今後そうなった場合に、一緒に暮らし続けるために一番必要だと思うことは何ですか?(n=157、複数回答)

「一緒に暮らす家族等」が認知症(または軽度の認知機能障害)になった際は、まずは「介護保険サービスや地域包括支援センターといった公的支援」を必要としますが、それを支える立場として「お金」や「認知症の人を支えるための正しい知識、理解」の必要性を感じていることがわかりました。ただ、公的支援を必要とする方が32.5%に留まっていることは、認知症は家族の問題として相談しづらく抱え込んでいる可能性も考えられるため、広く誰もが認知症を理解し支え合える世の中にしてくことが大切なのかもしれません。

Q. 「あなたご自身」が認知症(または軽度の認知機能障害)であるか、または今後そうなった場合に、家族等と一緒に暮らし続けるために一番必要なことは何ですか?(n=157、複数回答)

一方、「自分自身」が認知症(または軽度の認知機能障害)になった際は、5人に1人(27.3%)は「お金」が一番必要と回答しました。家族と一緒に暮らすためには家族へ負担をできるだけかけないよう、お金の準備が必要ということだと思われます。「同居家族の理解、協力」が一番必要と回答した人は13.4%と決して高くはなく、自身の認知症の問題も一人で抱え込んでしまう傾向が見られます。

自身や家族が認知症かもと思った時の最初の相談先は「病院・診療所」がトップ

では、認知症を一人で抱え込まないための相談先はどう考えているのでしょうか?最初に相談したいと思う相手、機関を聞いたところ、トップは「病院・診療所」で59.8%。以下、「行政の窓口(地域包括支援センターなど)」35.6%、「家族・パートナー」25.6%、「ケアマネージャー・介護職員など」16.4%とつづきます。「友人」8.7%、「勤務先の上司・同僚など」4.8%と低くなっていることは、認知症に関する周囲の理解がまだまだ世の中の課題であると言えそうです。

Q. あなた自身、または同居の家族等が認知機能に障害があるかなと思ったときに、最初に相談したいと思う相手、機関等を教えてください。(n=587、複数回答)

<自由回答> 世の中に、家族に、自分に、認知症に関するさまざまな思い

自分自身や家族や知人の認知症について、不安や困っていること、認知症に関連するエピソードなどを自由に回答してもらいました。世の中に、家族に、自分に、認知症に関してはさまざまな思いが見られます。

<社会や世の中について>
●知人と同居中の義母が認知症だが「介護」は「家事」の一つとしての感覚を持つ男性が多い様に感じる。家族として実子として、男性も積極的な介護に関われるような社会にしていく必要があると思う。(大阪府、50代、女性)
●認知症を特別なものと捉える社会のあり方に不安。(茨城県、50代、女性)
●気軽に話し合える場所がもっとあったらいいと思う。(秋田県、50代、女性)
●世の中、認知症の人を、その家族が隠す傾向がある。これで、行政や周囲の人が社会問題として話し合っても、時間と予算の無駄遣いで終わる。(沖縄県、60代、男性)

<家族のこと>
●祖母が祖父が亡くなってから1週間何もしゃべらなくなり、1週間たった時には認知症の症状が出て、それからいつも笑顔だった祖母が一切笑わなくなり、いつも怒っていた。認知症は人間性をこんなにも変えるのかと思うほど攻撃的になり、最期まで笑顔が見れなくて本当に悲しかった。(神奈川県、40代、女性)
●重度の認知症を患ったおばさんがいました。食事を与えても私に食事も与えず殺す気かといったり、枕元に財布を置いてあっても、私のお金を取ったと言った状態でした。そんなおばさんが亡くなる直前にはごめんなさい、家族には迷惑ばかりかけてと言って亡くなリました。認知症であっても全てわかっていたんだと思いました。(静岡県、60代、男性)
●自宅で約7年間母の介護をしました。認知症もあり、最初はおかしな言動や振る舞いに戸惑い、悲しい思いもしましたが、今では認知症ならではの笑えるエピソードもあり辛いことだけではなかったと思います。(岩手県、50代、男性)
●母が若年性アルツハイマー型認知症でした。脳の神経細胞の病気と理解していても、やはり家族でのケアには限界があり苦汁の決断で施設に入所させました。専門家に任せた方が私たちは良かったです。(愛知県、60代、男性)
●普段から頑固で病院嫌いな父が、時々認知症かな?と思う事はあっても本人がまず認めない。診断を受けたがらないから何にも出来ないのが一番困る。初期の段階でせめて現状維持や遅らせる対策が欲しい。(兵庫県、40代、女性)

<自分のこと>
●もし、認知症になったらどうすればわからないです。認知症になる前に死にたいです。(佐賀県、60代、男性)
●いつ認知症になるか分からないですが、家族には迷惑掛けたく無いという気持ちです。体力の面、お金の面が1番です。年だから保険に入りたいと思っていてもお金が無く生活が大変でそれができないので不安。(静岡県、60代、女性)
●私の母型の兄弟の中にも,認知症になった叔父,叔母がいたので私の母や私達兄弟も,認知症になる確率は高いと思っています。(熊本県、40代、男性)
●普段の生活の中ですぐに思い出せない事がある時に認知症に少しずつ近づいて来てるのかなぁ。と不安になります。さっきの答えってこれだったと思い出せた時にホッとすると共に思い出せた事に安堵します。(東京都、50代、女性)

9月21日の「認知症の日」の正解率は57.2%。「認知症クイズ」を実施

最後に、認知症に関する知識や理解度を確かめる「認知症クイズ」を行ってみました。全て「〇」が正解となる設問でしたが、正解率は8割以上と比較的高めです。②の「認知症の日」(9月21日)については57.2%しか正解しておらず、まだ周知が必要なのかもしれません。また、9割の人が正解した⑤の認知症の「行動・心理症状」(BPSD※1)は、認知症の人の在宅生活の継続を困難にする大きな要因となりますが、環境を整えたり、関わり方の工夫をしたりすることなどにより、症状を軽減できることがあります。東京都では、認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、認知症ケアの質の向上を目指す「日本版BPSDケアプログラム」の普及をはかっています。クイズの通り、認知症は正しい知識や理解が必要で、予防や治療、症状軽減の可能性があるものです。認知症は、きちんと知って、向き合っていくことが大切です。
※1 BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)
認知症患者に頻繁に見られる知覚、思考内容、気分、行動の障害の兆候。不安、うつ、怒りっぽさ、幻覚、妄想、徘徊など。

調査概要

1.調査方法:全国の「誰でもスマホ」利用者へWEBアンケートフォームを送付
2.調査対象:全国の「誰でもスマホ」利用者(有効回答数:587人)
3.調査実施日:2024年9月18日(水)~9月20日(金)
※本調査では、小数点第2位を四捨五入しています。そのため、数字の合計が100%とならない場合があります。

回答者データ

(文頭画像はイメージ、文中画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
9月は認知症月間、誰でもスマホが「認知症に関する調査」を発表!


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