認知機能低下抑制の“ものづくりプログラム”を開発

2022年2月4日

オールアバウトと東京都健康長寿医療センターの共同研究

株式会社オールアバウト(東京都渋谷区)と、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)は、高齢者を対象とした認知機能低下抑制のための「ものづくりプログラム」を開発し、神奈川県川崎市で無作為化比較試験を実施しました。共同研究の結果、介入効果が確認され、ものづくり活動が認知機能低下抑制に寄与することが示唆されました。研究結果は、2021年12月21日から23日にかけて開催された「第80回日本公衆衛生学会総会」にて発表されました。

超高齢化の急伸を背景に、薬だけに頼らない認知機能低下抑制プログラムの開発ニーズが高まっています。そういった中、ハンドメイド講座の開発や講師を組織化し、生涯学習事業を展開する株式会社オールアバウトライフワークス(東京都渋谷区)をグループ会社に持つ株式会社オールアバウトと健康長寿医療センターは、共同研究を行い、ものづくり活動による健康増進プログラムの無作為化比較試験を実施しました。

神奈川県川崎市の地域在住高齢者49名を対象に、ライフワークスのカリキュラムを基にした認知機能低下抑制要素を強化するプログラムが作成され、2020年10月から2021年6月までの8カ月間にわたり、ランダム化比較試験が実施されました。プログラム内容は、集合型で講師をたてて、ハンドメイドアクセサリーづくりと「デコ巻き寿司」と呼ばれる創作料理の技術習得を題材したものです。
プログラムの開始前と終了後に、両群に対して個別面接式の認知機能検査と総合健診を実施したほか、プログラムに関するアンケートも行いました。主要評価項目は実行機能の指標であるTMT-Bとしました。
※次の写真はライフワークスの講師によって開発した”ものづくりプログラム”の一例。

ものづくり技術習得は認知機能の低下抑制に寄与することを示唆

研究の結果、ワーキングメモリ等を評価するTMT-Bにおいて、ものづくりプログラムの介入効果がみられました。また、ものづくり活動は、高齢者における生活機能と関与する認知機能の低下抑制に寄与することが示唆されました。

プログラム終了後に実施した参加者アンケートでは「認知症を発症しにくくする可能性があれば、治療費にお金をかけるよりも、予防にかけるほうが良い」と考える方が9割以上となりました。 今回の実証により、ものづくり活動による認知機能の低下抑制効果が期待できるといったデータを取得できたことを踏まえ、両者は「健康を意識した高齢者に向けた趣味講座ソリューションを開発していく」としています。また「この研究で得られた知見に対してさらなる実証を重ねて、2023年の社会実装を目指す」とともに、取り組みに興味を持つ企業や団体を募っています。

(文頭画像はイメージ、文中画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
オールアバウト、東京都健康長寿医療センター、高齢者を対象とした認知機能低下抑制のための“ものづくりプログラム”を開発し、認知機能への介入効果を日本公衆衛生学会総会にて発表


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