世界初、家庭内の電力使用データから、認知機能低下を予測
認知機能低下群の電力使用状況に一定の特徴
国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)と東京電力パワーグリッド株式会社(東京都千代田区)は、居宅内の電力使用データを用いて、各家電の使用状況から認知機能低下を予測するモデル作成に世界で初めて成功しました。研究成果は、スイスのSensors誌(2021年9月17日)に掲載されました。
試験の結果、認知機能低下群は、認知機能正常群と比較してIHの使用時間が短く、電子レンジの春と冬の使用時間が短く、エアコンの冬の使用時間が短い傾向がみられました(図1)。また、電力使用時間の季節ごとの平均値の変数と年齢、教育歴などの基本情報を加えた予測モデルの予測性能は、精度82%でした。
(図1)認知機能低下群と、認知機能正常群の家電使用時間
認知機能低下群は認知機能正常群と比較して IH(電磁誘導調理器)の使用時間が短く、電子レンジの春と冬の使用時間が短く、エアコンの冬の使用時間が短い傾向がみられる。
2019年4月~2020年7月の間、宮崎県延岡市の65歳以上の高齢者78名の主な家電ごと(IH、電子レンジ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など)の使用状況を含む電力使用データを対象に解析が行われました。電力データは高精度電力センサーにて収集・分析し、認知機能は、認知症スクリーニング検査であるMini-mental State Examination (MMSE)27点以下を認知機能低下、28点以上を認知機能正常と定義しています。
家電ごとの使用時間について、被験者ごとにランダム切片とした一般化線形混合モデルを用いて、認知機能低下のありなしの2群を比較しました。加えて、一般化線形モデルを用いて、年齢、教育歴などの基本情報と、電力使用時間の季節ごとの平均値の変数を加えた予測モデルを作成し、予測性能を評価しました。
本研究結果を活用し、今後も研究を継続
本研究は、基本情報と電力使用データを用いた予測モデルにより、認知機能低下を高精度に予測することに成功しました。高齢者の家電毎の使用状況や被験者の生活行動をモニタリングする技術や基盤については、既に多くの論文で報告されていますが、本研究のように機器分離技術を実際に用いて認知機能低下を予測した報告は世界初の研究結果です。
本予測モデルにより、家庭にある分電盤に高精度電力センサーを設置するだけで、AIを活用した機器分離技術による各家電の使用状況から、認知機能低下を予測することができます。研究グループは今後、宮崎県延岡市にて本研究成果を活用した研究・サービスの検討を進める予定です。
(文頭画像はイメージ、文中画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
家庭内の電力使用データを活用し、認知機能低下を予測するモデル作成に世界で初めて成功
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