東北大、Nrf2がアルツハイマー病モデルマウスの病態を改善
多くの病気の予防に貢献する転写因子Nrf2に着目
東北大学の宇留野晃准教授、松丸大輔助教、山本雅之教授らは、アルツハイマー病の新たな治療へのアプローチに繋がる知見を得ました。
アルツハイマー病では、脳内で発生する酸化ストレスや炎症が、病態を悪化させることが知られてきました。転写因子(DNAに結合して遺伝子の発現を制御するタンパク質)Nrf2は、酸化ストレスを軽減するための遺伝子の発現を増加させたり、病的な炎症を引き起こす遺伝子の発現を低下させることで、様々なストレスから細胞を保護する役割を果たしています。その結果、Nrf2は多くの病気の予防に貢献していますが、アルツハイマー病におけるNrf2活性化の効果は知られていませんでした。
アルツハイマー病の治療法開発への活用に期待
今回の研究では、遺伝子改変によってNrf2を活性化する解析方法に加えて、ワサビに含まれる天然化合物6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6-MSITC)の投与によってNrf2を活性化する解析方法を用いて、Nrf2によるアルツハイマー病モデルマウスの病態改善作用を検討しました。
その結果、遺伝子改変によるNrf2活性化が、アルツハイマー病モデルマウスの脳内の酸化ストレスや炎症を抑制して、その病態が改善することがわかりました。さらに、天然化合物である6-MSITC投与によるNrf2活性化も、アルツハイマー病を改善させることが明らかとなりました。
現在、Nrf2を活性化する薬剤が多発性硬化症の治療に利用され、さらに糖尿病に合併した慢性腎臓病に対する臨床試験が進められています。本研究で得られた知見を利用することで、アルツハイマー病の新しい治療法の開発が進むことが期待されます。
成果は米国時間2020年1月13日に米国科学雑誌「Molecular and Cellular Biology」のオンライン版で公開されました。
(画像はイメージです)
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東北大、Nrf2活性化によるアルツハイマー病改善作用の解明
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