東大と東京農大、脳内時計が記憶想起に貢献していることを発見
2020年1月3日
記憶想起の分子機構を解明
東京大学大学院農学生命科学研究科の喜田聡教授、東京農業大学生命科学部の長谷川俊介研究員、福島穂高助教らの研究グループは、記憶を思い出すには体内時計の働きが必要であることを明らかにしました。
年を取ると、うまく思い出せないことがあります。記憶するメカニズムの解明は進んでいますが、思い出すメカニズムの解明は進展していません。研究グループは、記憶に対する体内時計(体内の生物時計)の役割を明らかにするため、遺伝子操作により記憶中枢である海馬の生物時計が壊れたマウスの解析を進めました。
その結果、遺伝子操作マウスは記憶を思い出す能力が低下していること、特に、夕方の時間帯に思い出せなくなることが明らかになりました。さらに、体内時計は神経伝達物質ドーパミンの情報伝達を活性化させて、グルタミン酸受容体のリン酸化を引き起こすことで記憶を想起させるメカニズムを発見しました。
この結果に一致して、ドーパミン情報伝達を活性化させると、遺伝子操作マウスが記憶を思い出せるようになること(想起障害の改善)も示されました。本研究から体内時計が記憶想起に必要であること、さらに、記憶想起の分子機構が明らかにされました。この研究を応用することで、今までに顧みられていなかった加齢に伴う想起障害の改善、また、想起能力の向上による認知症改善に繋がることが期待されます。
研究結果は雑誌『Nature Communications』に掲載されました。本研究について詳しくは下記外部リンクよりご覧下さい。
(画像はイメージです)
▼外部リンク
東大と東京農大、脳内の時計が記憶の想起(思い出し)に貢献していることを発見
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