アルツハイマー病、植物由来の治療薬候補物質を発見

2019年7月16日

オリゴマーの神経毒性の低減を介して、病態を改善する効果

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)、株式会社常磐植物化学研究所(千葉県佐倉市)、筑波大学、東京理科大学、東京都医学総合研究所の研究グループは、アルツハイマー型認知症の発病の要となるアミロイドベータタンパク質(Aβ)オリゴマーの神経毒性の低減を介して、病態を改善する効果を持つ植物由来の新しい治療・予防薬候補物質を発見することに成功しました。

アルツハイマー型認知症は、Aβの集合体であるAβオリゴマーが神経細胞のシナプスなどを障害し、病気の引金として働くことが明らかになってきました。研究グループは、神経細胞モデルを用いた研究によって、植物成分からAβオリゴマーの毒性を抑制する物質「チロソール」を同定しました。さらに、この物質をアルツハイマーモデルマウスに長期経口投与することにより、シナプス障害や酸化ストレス病態が改善するといった神経保護的効果が現れるとともに、認知障害が回復することを示しました。

治療薬開発に新たな方向性を開く

すなわち、チロソールはAβオリゴマーの持つ神経毒性を低減することによって、アルツハイマー病の病態を改善する効果を有する治療薬候補物質と考えられます。この研究成果は、アルツハイマー病の治療薬開発において、新たな方向性を開くという点で、大きな意義を持つものといえます。

本研究は、国立精神・神経医療研究センター(疾病研究第6部、同第2部、第4部、病院)と、株式会社常磐植物化学研究所、筑波大学、東京理科大学、東京都医学総合研究所との共同研究として行われたもので、研究成果は、6月22日、国際科学雑誌『Journal of Alzheimer’s Disease』オンライン版に掲載されました。

(画像はイメージです)

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アルツハイマー病の発症因子アミロイドβオリゴマーを標的とした植物由来の治療薬候補物質を発見


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