アサヒと筑波大「乳由来のラクトトリペプチドは脳を活性化させる」
カルピス乳酸から生まれた「ラクトトリペプチド」
筑波大学体育系、前田清司教授の研究グループは、アサヒグループホールディングス株式会社との共同研究により、発酵乳から見つかった「ラクトトリペプチド」が脳の活性化に効果的であることがわかりました。
「ラクトトリペプチド」は血管を若返らせることも知られており、これまでに同研究グループは「ラクトトリペプチド」を摂取することで高めの血圧を下げることや、摂取と運動習慣を組み合わせることで血管内皮機能が改善されることを突き止めており、今回、世界で初めて、脳の活性化にも効果的であることを明らかにしたものです。
明らかな疾患のない中高齢者64名を、サプリメント群とサプリメントと運動を併用する運動+サプリメント群に分け、各群の半数は「ラクトトリペプチド」を、残りの半数はプラセボという効果のないサプリメントを8週間毎日摂取してもらいました。そして、サプリメント群は普段と変わらない生活を送り、、運動+サプリメント群は大学にて30〜45 分間のフィットネスバイク(自転車運動)やウォーキング(歩行運動)を行う運動教室に週4〜6日参加しました。
運動習慣との組み合わせで脳を活性化
脳の活性化を評価するために、機能的近赤外線分光法を用いて前頭前野の脳酸素化ヘモグロビン濃度の変化を測定しました。また、認知機能の評価にはストループ課題(注意選択機能や遂行機能などの実行機能を評価する認知課題の一つ)を実施しました。これらの測定項目を8週間の研究期間の前後で比較し、「ラクトトリペプチド」の効果を検証しました。
サプリメント群および運動+サプリメント群ともに、プラセボを摂取したグループと比較して、「ラクトトリペプチド」を摂取したグループでは左右の前頭前野の脳活性化が向上することが明らかになりました(上の図)。さらに、「ラクトトリペプチド」摂取による左前頭前野の脳活性化の上昇が認知機能の向上と関連することが認められました(下の図)。これらのことから、運動習慣の有無にかかわらず「ラクトトリペプチド」を継続的に摂取することで、脳が活性化され、認知機能向上につながる可能性が示されました。
「ラクトトリペプチド」 (Lactotripeptide):
「カルピス酸乳」の研究により発見され、乳カゼインが乳酸菌で発酵分解される過程で生成された3つのアミノ酸が結合したトリペプチドで、「ラクトトリペプチド」とは1つのバリンと2つのプロリン(バリン-プロリン-プロリン; VPP)と1つのイソロイシンと 2 つのプロリン(イソロイシン-プロリン-プロリン; IPP)の 2 つのトリペプチドの総称です。「ラクトトリペプチド」には、血管の収縮に関係するアンジオテンシン変換酵素を阻害する働きがあり、高めの血圧を下げることや、血管内皮機能を改善することが検証され、注目されている成分の一つです。
(文頭画像はイメージです。文中画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
筑波大学、乳由来の「ラクトトリペプチド」は脳を活性化させる!
- 【PR】治験参加者募集中!もの忘れなどのある高齢者でも、安心して使える睡眠治療薬の提供を目指して
- 11/28(木)「オンラインフレイル予防講座」防災編を開催(福岡市)
- 10/30(水)「オンラインフレイル予防講座」口腔編を開催(福岡市)
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「脳のスペックを最大化する食事」7/20発売
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「潜伏期間は20年。今なら間に合う 認知症は自分で防げる!」
- 広川慶裕医師の、認知症予防のことがよく分かる『認トレ®️ベーシック講座』開講!
- 知ると知らないじゃ大違い!民間介護保険って何?
- 酸化ストレスを減らすと認知症予防に!秘密はサプリメント
- ユッキー先生の認知症コラム第92回:あるべき姿の認知症ケア
- 認知症専門医による認知症疾患啓発イベントを開催
- ポイントは食生活にあった。認知機能維持に必要なのは・・・
- 認知症予防は40代から!摂ると差が出る栄養素とは。
- 山口先生のコラム「やさしい家族信託」第17回:Q&A 外出自粛で、認知機能の低下が心配。家族信託、遺言、後見、今できることが知りたい
- ユッキー先生の認知症コラム:第3回 物忘れが心配、認知症を予防するには・・・(その1)