大阪市立大学がアルツハイマー型認知症の新しい抗体開発に成功

2015年1月19日

新しい治療薬として期待が高まる

大阪市立大学は9日、米国神経学協会誌の電子版において、アルツハイマー病の新しい治療薬となる抗体を開発したことを発表した。

研究を行ったのは同大学院医学研究科脳神経科学の富山貴美(とみやまたかみ)准教授らによるグループ。アルツハイマー病の脳に現れる病理変化「神経原線維変化」について、その原因となるタンパク質「タウ」に結合し、これを除去する働きを持つ新しい抗体の開発に成功した。

同抗体はタウを標的とする治療薬のプロトタイプとして、アルツハイマー病をはじめさまざまな神経変性疾患の予防や治療への利用が期待される。

抗体を投与したマウスの記憶障害が改善

アルツハイマー病は「アミロイドベータ」が脳に凝集し、そののち過剰リン酸化されたタウが蓄積、神経細胞が徐々に死に至ることで認知症を発症することが知られている。

今までアミロイドベータの除去を促す薬の開発が進められてきたが、アルツハイマー病病理の出現は早く、老人斑は発症の20年も前から形成がはじまるため、発症後の投薬では効果が得られていない。

富山氏らの研究グループは、タウ分子内における413番目のアミノ酸が起こすリン酸化が重要であることを突き止め、これに結合する新しい抗体を開発。モデルマウスに投与したところ、神経細胞間のシナプスが回復し、マウスの記憶障害が改善。神経原線維変化や神経細胞死にも抑制がみられたという。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
大阪市立大学 プレスリリース/アルツハイマー病の新しい治療薬となる抗体を開発

【この記事を読んだ方へのおすすめ記事】

このページの
上へ戻る