アルツハイマー発症前診断が微量の血液で可能に。国立長寿医療研究センターらが発見

2014年11月12日

田中耕一氏のグループと共同で開発

愛知県の独立行政法人国立長寿医療研究センターらのグループは、血液を調べることにより、アルツハイマー病の原因となる物質が脳の中に蓄積しているかどうかを判定できる技術を開発したと、11月11日、日本学士院発行の専門誌に発表した。

この技術は、国立長寿医療研究センターとノーベル賞を受賞した島津製作所の田中耕一氏のグループが、共同で開発をおこなった。

AβとAPPの比率により判定

同研究グループは、高齢者男女62人を対象に、脳内におけるアミロイドベータ(Aβ)の蓄積状況を検査。血液を採取・分析した結果、健常な人の血液に比べ、アミロイドベータが蓄積した人の血液では、「アミロイド前駆体たんぱく質(APP)」と呼ばれる物質の量に変化があることを発見した。つまり、

「PETを使った脳の測定によりAβに関連する物質を調べたところ、AβとAPPの量が同病患者と健常者で逆転していたことが判明。脳内のAβの蓄積を90%以上の精度で判定できた」(日刊工業新聞より引用)

ということである。

これにより、血液中に含まれるアルツハイマー病の原因物質「アミロイドベータ(Aβ)」と「アミロイド前駆体たんぱく質(APP)」の比率から、脳内のアミロイドの蓄積状況を、発症前に判定することが可能となった。

将来は健康診断の検査項目に

アルツハイマー病は、すでに発症の15年ほど前から、原因となるアミロイドベータが脳内に蓄積し始めることがわかっている。したがって、その早期発見と予防法の確立が課題となってきた。

これまで、アミロイドベータの蓄積を調べるPET検査には、高額な費用がかかった。田中氏は、

「分析に必要な血液は0.5cc程度。将来的には健康診断の選択項目にしていきたい」(日本経済新聞より引用)

と話しているという。

(画像はホームページより)

▼外部リンク
独立行政法人国立長寿医療研究センター ホームページ

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