革新的な方法、アルツハイマー病の治療に役立つ可能性(学術発表)
2017年5月18日
ウイルスに健康な遺伝子を運ばせ、脳の疾患を改善
ウイルスに健康な遺伝子を運ばせて脳の疾患を改善させようとする革新的な方法が、アルツハイマー病など神経疾患の治療に役立つかもしれません。この研究は米国のバイオ医薬品企業・ボイジャー・セラピューティクスが行なっており、英ロンドンで開催された神経専門医の会議での発表されたもの。タイムズ紙が報じました。
「将来認知症の発症リスクが高くなる」遺伝子にも応用可能か
この研究は、脳の最も病変した部分に健康な遺伝子のコピーを運ぶウイルスを投与し、健康な遺伝子コードを蓄積させることで、アミロイドβやタウといった、アルツハイマー病の引き金となる毒性タンパク質の合成を停止させるというものです。
現在、認知症の治療を目指した研究の多くは、病気の原因と考えられるタンパク質をターゲットにしています。一方でこの研究は、“遺伝子”に着目している点が特徴的です。
この研究結果では直接触れていませんが、アルツハイマー病の遺伝子検査では”ApoE遺伝子”という遺伝子が対象となっています。ApoE遺伝子とは「将来認知症の発症リスクが高くなる」と評価されている遺伝子。もし、この研究技術が確立されれば、ApoE遺伝子の影響を減少または喪失させる事が可能となるかもしれません。
一方で新しい技術は、その分副作用も未知です。この遺伝子やウイルスが脳や脳以外の器官で、“病気を治す”メリット以上の重大な副作用が無い、もしくは副作用を改善できるようになれば新しい治療法として実用化されることでしょう。
▼外部リンク
World Neuroscience Innovation Forum
THE TIMES:Tweaking genes in the brain could stop Alzheimer’s
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