アルツハイマー薬開発に「発症前」被験者の臨床試験~米政府

2016年11月1日

この20年での新薬承認件数は

アメリカの食品医薬品局(FDA)は、アルツハイマー病治療薬の開発に対するアメリカ政府の支援について、ホームページで紹介した。

まず、アメリカのアルツハイマー病患者の実態について、全米で500万人のアルツハイマー病患者がおり、60才以上の死亡原因の6番目となっている、としている。

そのような中、アルツハイマー病の治療法について科学者による集中的な研究が進められてきたが、FDAはこの20年間で、2003年に5つの新薬を承認したのにとどまっており、患者にとっていまだ治療法が限られていることが問題であった。

そこでFDAの研究者は、アルツハイマー病の発症以前に着目。その段階における効果を現す治療薬の開発について、臨床試験の方法のガイダンス案を2013年に発表した。

被験者選びに課題が

研究によれば、発症前に始まる脳の変化と発症との間には数年かかっていることが分かってきている。

また、脳の変化の、そのさらに初期の段階での治療法を理論的に確立したという研究報告もあり、アルツハイマー病治療のための薬剤の開発は、発症前段階に焦点を当てるようになってきた。

これまでの臨床試験は、アルツハイマー病発症後の患者による方法であったが、発表したガイダンス案では、発症前の治療薬開発に応えるため、疾患のごく初期の段階にある被験者による臨床試験の設計の仕方についてまとめた。

発症前での臨床試験は、官民パートナーシップによる無症候性アルツハイマー病の抗アミロイド治療の開発がその一例である。

この試験は、正常な思考と記憶力がある65才〜85才の人を被験者として行っている。それらの人のうち発症する可能性があるかどうかのスクリーニングテストは、高度な脳のスキャンによって行っているが、既に3年が経過している。

このように、現在の最大の課題は、アルツハイマー病を発症するリスクをどのように識別するか、にある。

現在、そのリスクと関係のあるバイオマーカーを遺伝子の中で探す研究が行われている。

このような課題の取り組みが数多くの患者の治療につながるとした、FDA所属の研究者のコメントで記事は結ばれている。

(画像はイメージです)

▼外部リンク
FDA Webサイト(英文)

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