認知症と糖尿病の関連性

この記事の目次
  1. 認知症と糖尿病の深い関係
  2. アミロイドβを溜めないために

認知症と糖尿病の深い関係

糖尿病は生活習慣病のひとつですが、認知症との関係が深い病気です。特に、アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβという老廃物が溜まることによって引き起こされます。アミロイドβは、本来誰でも作られており、インスリン分解酵素によって分解されています。

インスリンは、膵臓でつくられるホルモンで、血糖値を下げる働きをしています。糖尿病の場合、このインスリンの分泌がない、もしくは、分泌されていても効果的に働かないため、血糖値が下がらず、高血糖の状態が続いています。

高血糖の状態が続くと、インスリン分解酵素は、インスリンの分解が最優先となり、アミロイドβの分解にまで働けなくなります。その結果、アミロイドβが溜まります。

また、高血糖の状態が続くと、血液はドロドロになり、血管を傷つけます。この状態が動脈硬化です。動脈硬化が進むと、血管がもろくなり、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害を起こします。その結果、脳血管性認知症を引き起こす恐れがあります。

このように、様々な要因が認知症を起こす原因となります。

アミロイドβを溜めないために

では、アミロイドβを溜めないようにするには、どうしたら良いのでしょうか。

アミロイドβを溜めないようにするには、血糖値を上げすぎないことです。血糖値を上げるのは、糖質です。糖質は、ごはんやパン、麺類、お菓子、フルーツなどに含まれています。また、とうもろこしやイモ類にも含まれています。このような食材を適切な量を摂ることが大切です。健康な人の場合は、1日のエネルギー量のうち、6割程度を糖質から摂ることが基本です。また、食べる順番を野菜などの食物繊維から食べ始めること、良く噛むことで、血糖値の上昇を緩やかにします。食べる順番にも気をつけましょう。

血糖値を下げる方法として、食後の運動が効果的です。運動を行うと、血液中の血糖を消費すると共に、筋肉を動かして脂肪を燃焼します。運動は、ウォーキングや水泳などの有酸素運動が効果的です。有酸素運動は、週に3回以上、1回20~30分を目安にしましょう。

また、十分な睡眠を取ることが大切です。睡眠を取ることで、新陳代謝が活発になり、アミロイドβが排出されます。7時間程度の睡眠を取ると共に、良質な睡眠を取るようにしましょう。

良質な睡眠とは、どのような睡眠でしょうか。長い時間寝ていても、なかなか起きられない、疲れが取れないという人もいらっしゃるかもしれません。

寝る直前までテレビやスマートフォン、パソコンをしている場合、明るい画面の影響で脳が昼間と勘違いして、なかなか寝付けません。 また、コーヒー・お茶・紅茶などはカフェインが含まれているため、目が覚めてしまったり、夜間トイレに行くために起きてしまう場合があります。

寝る前の環境を整えることが大切です。ゆっくりと湯船に浸かり1日の疲れを取る、好きな音楽を聴いてリラックスした環境をつくる、趣味の時間をつくるなど、体を休める導入をしましょう。

そして、朝は雨戸やカーテンを開けて、しっかり朝日を浴びます。そうすることで、脳が目覚めます。また、朝食をしっかり摂りましょう。

認知症と糖尿病は深く関係しています。しかし、食事や睡眠など生活習慣を整えることで改善や予防につながります。できることからひとつずつ始めましょう。


参考文献:1)朝田隆 まだ間に合う!今すぐ始める認知症予防 講談社 2014,p128~131
2)広川慶裕 認知症は予防できる! 河出書房新社 2018,pp98,p102


このページの
上へ戻る