認知症ケアの基本~介護家族が心がけたいこと

認知症を発症すると、本人だけでなく介護側の家族の負担も大きく、お互い疲弊していく場合が少なくありません。本人・家族ともに、ストレスを最小限に抑えるためにできることのひとつが「適切なケア」です。適切なケアを行えば、症状の抑制や改善が期待でき、結果的に介護側の負担を軽減することにつながります。本人とどのように接したらいいかを考えてみましょう。

この記事では、家族向けのケアの基本をご紹介しております。介護従事者向けのケアについては以下の記事をご覧ください。

この記事の目次
  1. まずは認知症について詳しく知ろう
  2. 認知症介護で心がけたい対応は?
  3. 尊厳を守る
  4. できることは自分でしてもらう
  5. 否定せず行動の背景にある理由を考える
  6. ケアする側にもサポートが必要です

まずは認知症について詳しく知ろう

認知症に対する知識や理解がないまま、家族の認知症に対応するのは難しいことです。身近な家族がが認知症になったら、まずは「認知症はどのような病気なのか」をよく知ることが大切です。

たとえば尊敬していた両親が、簡単なこともできなくなっていく姿に、はじめは戸惑うことでしょう。現実が受け入れられず、絶望感につながることもあるかもしれません。また、何度言っても忘れてしまったり、言うことを聞いてくれないと感じて怒りが湧くこともあるはずです。しかし、このように絶望や否定、戸惑い、あるいは怒りなどを感じる理由の大きな部分を占めるのは「認知症の方の行動が理解できないから」ではないでしょうか。

絶望や戸惑いは、色々なことができなくなっていく本人こそが感じています。理不尽な態度や理解しがたい行動を取ったとしても、そこには本人なりの理由があるはずです。その理由がわかれば、「こういうものなんだな」と納得したり、怒りが収まることもあるでしょう。症状を理解して対応方法を学べば、本人の気持ちの安定にもつながります。理解を深め、お互いにストレスの少ない関係が築くことが双方にとって大きなメリットになります。

ケアする側もされる側もストレスなく過ごすために、最初にすべきことは「認知症を理解すること」です。病気を知って本人の行動について「この行動の裏にある理由はなんだろう」と考えながら対応し、お互いの負担を減らしましょう。

認知症介護で心がけたい対応は?

本人がなるべく穏やかに過ごすことができれば、行動・心理症状(BPSD)も起こしにくくなり、介護負担の軽減につながります。そのために、どんなことに気をつければいいのかを具体的に見てみましょう。

尊厳を守る

数10年前まで日本でも認知症は「痴呆」と呼ばれ、「ボケて何もわからなくなる」という認識でした。しかし認知症を発症しても「何もわからなくなる」わけではありません。現在は、認知症になっても地域社会で尊厳のある社会生活を送れるよう、国全体で支える施策が進められています。

かつては社会の一員として活躍してきた人が、認知症になったからといって子供のような扱いをされるのは辛いことです。自分が認知症になった時にどんな接し方をしてほしいか考え、相手の尊厳を尊重した態度で接しましょう。

できることは自分でしてもらう

認知症は突然何もできなくなるものではありません。ケアする側は、親切心や危ないからという理由で、様々なことを代わりにやってしまいがちですが、自分でできることはどんな小さなことでも積極的にやってもらいましょう。自分で行うことがリハビリにもつながります。

何でも人にやってもらう生活で生きがいを感じるのは難しいものです。人間にとって、役割を持つことや人の役に立つことは、自尊心を保ち心の安定を保つ一助となるのです。本人ができることを奪わないだけでなく、できることを一緒に考えて日々の生活に取り入れてみましょう。

否定せず行動の背景にある理由を考える

どんなに理不尽な言動にも、その背景には必ず本人なりの理由があります。常識はずれな行動は症状の現われかもしれません。しかし、筋が通らないからといってその言動を否定するのは逆効果です。否定してしまうと「受け入れてもらえない」と感じてますます強く主張したり、同じことを繰り返す結果につながることがあります。

たとえば、目を離すと家から出ていってしまう場合、徘徊を繰り返さないよう家中に鍵をかけて出られないようにすることは根本解決ではありません。原因が未解決のため、機会があれば何度も繰り返してしまいます。本人にとっては、行きたい場所があって出かけたものの、途中でわからなくなった結果、徘徊しているのかもしれません。こんな場合は、どこに行きたいのか、何がしたいのか、本人の話を聞きましょう。本人が落ち着くまでしばらく一緒に散歩をしてみるのも効果的です。

日々繰り返す言動にイライラすることもあるかもしれませんが、否定せず本人に寄り添った対応を心がけ原因を解決できれば、お互いにとってストレスの少ない介護生活につながります。

ケアする側にもサポートが必要です

ケアの場面で適切な対応を続けると、本人だけでなくケアする側も穏やかに過ごせる時間が増えてきます。それでもなお、介護を家族で担うのは大きな負担であることに変わりありません。期間が定められているわけでもないため、長く続けられる工夫も必要です。そのためには、介護を1人で背負わず、制度や介護サービスなどを最大限利用して負担を減らすことが大切です。そして、介護以外の自分の時間を作りましょう。

また、介護者同士で話ができるサポート団体にもぜひ参加してみてください。同じ境遇の家族と会って、日ごろの苦労を共有できれば、ストレスを軽減することにもつながります。


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