独居老人の対応と介護

1人で暮らす高齢者には健康や安全面でのリスクがあり、離れて暮らす家族にとっては、その生活ぶりを心配するのは当然のことです。ましてや、認知症の症状がある場合はなおさらでしょう。

このページでは一人暮らしの高齢者の現状と、認知症高齢者が一人暮らしをしている場合のリスク、離れて暮らす家族ができることなどについて解説します。

この記事の目次
  1. 増え続ける高齢者の一人暮らしと認知症
  2. 一人暮らしの認知症高齢者のリスクとは?
  3. 自覚のないまま症状が進行
  4. 食生活への影響
  5. 健康・衛生面への影響
  6. 火事など事故の恐れ
  7. 金銭管理
  8. ご近所トラブル
  9. 離れて暮らす家族ができること
  10. 現状を詳しく把握する
  11. 自尊心を傷つけない
  12. 地域の民生委員や近所の人に理解を得る
  13. リスクに事前に対処する
  14. 施設やヘルパーを利用する
  15. 一人暮らしには限界もあります

増え続ける高齢者の一人暮らしと認知症

1980年代には7割以上の高齢者は子供と同居していましたが、少子化や核家族化など様々な原因によって、現在は高齢者の一人暮らし世帯が増えています。「平成29年版高齢社会白書」によると、65歳以上の一人暮らしは急激に増加し、2015年には男性約192万人、女性約400万人でした。国立社会保障・人口問題研究所が2014年に発表した世帯数の将来推計では、2035年の東京都では65歳以上の高齢者が世帯主となる高齢世帯のうち、4割が一人暮らしという数字も出ています。

認知症高齢者の数が増え続けていることも考え合わせると、認知症を患う一人暮らしの高齢者が、今後も増え続けることが予測されます。


一人暮らしの認知症高齢者のリスクとは?

自覚のないまま症状が進行

家族と一緒に暮らしていれば、「料理の味付けがおかしい」「着ている服がちぐはぐ」など、早い段階で家族が異変に気付く場合があります。しかし一人暮らしの場合、異変を指摘できる人がいないため、認知症のサインに気づけないケースが出てきます。

物忘れなども認知症では本人の自覚がないので、症状が進行していても気づくことができません。挨拶などは普通に受け答えができるため、近所など周りの人にも気づかれにくいでしょう。

生活を共にする人がいない場合、ボヤ騒ぎを出したなど周囲にわかる事故などがない限り、気づかれないまま症状が進行するリスクがあります。

食生活への影響

たとえ症状が軽度であっても、認知機能の低下から食事が作れなくなったり、物忘れによって食事に影響が出ることが考えられます。栄養に気を配ることもできなくるので、同じものを食べ続けたり、悪くなっているものがわからず食べてしまう場合もあるでしょう。不健康な食生活に陥ることが考えられます。

健康・衛生面への影響

記憶障害によって服薬管理ができず、飲み忘れてしまったり、逆に何度も服薬してしまう場合もあり、過剰な摂取による意識障害など危険な状態も考えられます。 暑さや寒さに鈍感になることも多く、特に夏場は水分補給を忘れたり、エアコンを使わず脱水や熱中症などの危険にも晒されます。

また、失禁などの排泄トラブルにも対処できないまま、不衛生な状態になる場合もあり、健康や衛生面に対するリスクも大きいです。

火事など事故の恐れ

認知機能が低下し、注意力・判断力が落ちたり、物忘れが増えてくると、家事がままならなくなります。中でもキッチンでの火の消し忘れやお風呂のガスや暖房器具をつけっぱなしにするなど、火の不始末は生命の危険につながる可能性があります。特にたばこを吸う場合は要注意です。

金銭管理

お金の管理ができなくなり、ガスや水道などライフラインに関わる支払いができずに、未払いで止められるケースもあります。 また、判断力が低下しているため、むやみに高額な商品を買ってしまうこともあり、詐欺などにも遭いやすいと言われています。

ご近所トラブル

認知症の種類によっては、物の善悪の判断ができなくなるものもあるので、社会的に不適切な行動を取ってトラブルとなることがあります。また、暴言や暴力のほか、症状が進行してくるとゴミ出しなども難しくなるため、ゴミ屋敷のようになってしまい、近所とトラブルになるケースも出てきます。被害妄想や物盗られ妄想によるトラブルも少なくありません。

高齢者の一人暮らしには地域のサポートが必要ですので、近所とのトラブルは本人の生活にとって大きな障害となります。

離れて暮らす家族ができること

現状を詳しく把握する

まずは現在どのような生活を送っているのか、情報収集しましょう。家賃はどのくらいでどのように支払っているのか、どんな薬をどのタイミングで飲んでいるのか、通院はいつなのか、どんな食生活を送っていて冷蔵庫には何が入っているのかなど、詳しく知ることが重要です。知っておくことで、トラブルを未然に防いだり、起こった時にも対処しやすくなります。

自尊心を傷つけない

一人暮らしの高齢者には、自分で生活ができていることに自尊心を持っている方が多くいます。情報収集をしたり、病院に連れて行く際も、その自尊心を傷つけるような対応はしないように気をつけましょう。

詳しく生活を知ると家族が管理すべきことが出てくる場合もあるでしょう。管理されることに抵抗を感じる方もいますので、なるべく独立心を尊重した上で、上手な話し合いの上で進めましょう。また、病院などに連れて行く際も、無理やりではなく心配していることを伝えた上で、本人が納得して行ける状況を作れるよう工夫してみてください。きちんと本人の話に耳を傾け、否定はせずに希望を聞くことが、スムーズな支援に繋がります。

地域の民生委員や近所の人に理解を得る

地域包括支援センターに足を運んでみてください。民生委員や近隣の方に話をしておくことはとても大切です。今の状態や協力してほしい事柄を説明し、理解を得るようにしましょう。一人暮らしの高齢者が無事に生活を送るためには、近所のサポートや見守りは欠かせないものです。

リスクに事前に対処する

金銭管理に問題があれば成年後見制度を利用する、火事の危険があれば火を使わない調理器具や暖房器具に変えるなど、見えてきたリスク一つひとつに対して有効な手段を探してみましょう。薬を管理できないなどの場合は医者や地域包括支援センターに相談することもできます。

施設やヘルパーを利用する

急な同居や施設への入所には抵抗があるものです。まずは1人で暮らせるサポートとして、ヘルパーや通所施設の利用も考えてみてください。

介護保険利用になると、ケアマネージャーが相談に乗ってくれますので、本人が一人暮らしを希望であれば、それが続けられるよう相談してみましょう。

一人暮らしには限界もあります

認知症は進行する病気です。今現在は一人暮らしが可能だとしても、症状が進むと独居生活が難しくなることを念頭に入れて計画を立てることが重要です。同居や施設への入所を考慮に入れた上で、ご本人の希望や意思を尊重する対応を心がけましょう。


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