リアリティ・オリエンテーションでリハビリ
リアリティ・オリエンテーションという言葉を聞いたことがありますか。認知症の人は、見当識障害により混乱や不安を生じる場合があります。リアリティ・オリエンテーションとは、現在どのような状況なのかを確認しながら、不安を解消するための方法です。
リアリティ・オリエンテーションの効果についてご紹介します。
- この記事の目次
リアリティ・オリエンテーションとは?
リアリティ・オリエンテーションは「現実見当識訓練」と言われています。認知症の中核症状のひとつとして見当識障害が起こります。すると、認知症の人は混乱や不安を生じる場合があります。そのため、日々の生活の中で見当識の状態を観察し、医療・介護に関わる専門スタッフが修正することで安心した生活を送ることができます。
例えば、
今日が何月何日なのか?
季節はいつか?
今の時間は?
今いる場所がどこなのか?
自分や家族の名前は?
などです。
リアリティ・オリエンテーションは、24時間リアリティ・オリエンテーションとクラスルームリアリティ・オリエンテーションの2種類があります。
24時間リアリティ・オリエンテーション
日常生活の会話の中で行います。例えば、
*散歩をしている途中に「桜が綺麗に咲いていますね。春ですね。」「紅葉が綺麗ですね。秋ですね。」「今日は晴れていて、暖かいですね。」など季節や気候を取り入れる。
*カレンダーを見ながら「今日は○月☆日月曜日ですね。」や、「今日は3月3日だから、ひな祭りですね。」「7月7日は七夕ですね。」など行事を取り入れながら、今日を意識してもらう。
*時計を見ながら「11時30分ですね。もう少しでお昼御飯ですね。」など時間を意識してもらう。
*食事の際に「コーヒーの良い香りがしますね。」など興味関心を持つように話す。
その他、現在の状況を会話に取り入れます。
クラスルームリアリティ・オリエンテーション
少人数が集まり、スタッフが進行役を務め、名前・日時・場所・今日の予定などを確認します。
リアリティ・オリエンテーションの効果
リアリティ・オリエンテーションは、以下の効果があると言われています。
認知症の進行を遅らせる
見当識障害により、自分がなぜ今ここにいるのかが理解できず、混乱や不安になってしまう人もいます。情報を提供することで、混乱や不安を和らげる効果があります。認知症の進行を遅らせることができる場合があります。
他者とコミュニケーションを図る・関心を持つ
認知症が進行すると、他者への関心がなくなり、触れ合いがなくなることでより進行が早まる場合があります。少人数で集まり、コミュニケーションを図ることで他者との関わりをもつことができます。
楽しかった思い出を話すことでその気持ちを他者と共有し、喜びを見出すことができます。
ただし、テストのように行ったり、無理に思い出させてしまうと、ストレスに感じてしまう恐れがありますので、十分に配慮しましょう。
出典:1)若松直樹.認知症高齢者に対するリアリティ・オリエンテーション.老年精神医学雑誌,2017,28,12,1361-1367.
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