正常圧水頭症(NPH)とは

正常圧水頭症(iNPH)とは、脳脊髄液が溜まり障害を起こす、脳圧の上がりにくい水頭症です。

正常圧水頭症は認知症と似ている症状が出ますが、治療で改善出来るものなので、早期発見が肝心です。ここでは、正常圧水頭症(iNPH)の症状や原因を説明します。


正常圧水頭症とは(iNPH)

脳脊髄液が溜まり障害を起こす、脳圧の上がりにくい水頭症

頭の中では、毎日脳脊髄液というものが作られています。脳脊髄液は、頭の中を巡りやがて吸収されます。この脳脊髄液が異常に頭に溜まってしまう事で、脳を圧迫し、障害を起こす病気を水頭症といいます。

正常圧水頭症は治る可能性がある

正常圧水頭症には、クモ膜下出血、頭部外傷や髄膜炎など、何かしらの病気があってそれに続いて起こる続発性正常水頭症と呼ばれるものと、原因がわかりにくい特発性正常圧水頭症と呼ばれるものがあります。正常圧水頭症の50%は水頭症の原因が明らかではないといわれています。

高齢者に多く見られるのは特発性です。正常圧水頭症でよく見られる症状は、その他の認知症と似た症状なので、詳しく検査などが行われていなければ、正しく診断されていないこともあります。正常圧水頭症で起こる認知症は、アルツハイマー型などと異なり、治療で改善出来る可能性があり、早期発見が肝心です。

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正常圧水頭症の症状は?

正常圧水頭症には、特徴的な3つの症状があります。

①歩行障害:特徴的な歩行が見られ、転倒も多くなります

歩行障害がみられるのが、認知症の症状とは異なる点です。
早期に出やすい症状は、歩行障害です。足が開き、歩幅が狭く、すり足で歩くようになります。 正常圧水頭症では、足が開く「がに股歩き」になり、まるでチャップリンのようだと表現されるような特徴的な歩き方になる事が多く、この歩き方から早期発見も可能だと言われています。また歩行が不安定で、立ち上がったときや歩く方向を変えるときにふらついたり、転びやすくなります。


②精神活動の低下:集中力や注意力がなくなり、意欲の低下が見られます

記憶障害よりも、集中力や注意力が散漫になる精神活動の低下が目立ちやすくなります。また何もしないでボーっとしていたり、声かけに反応が遅かったりする意欲の低下などが起こる事もあります。意欲の低下では、趣味などを持っていた人がしなくなり、表情も乏しくうつ状態のように見える時もあります。

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③排尿障害:尿失禁が見られます

さらに症状が進行すると尿失禁が見られることがあります。突然尿意を感じてからトイレに行こうとしても、我慢できる時間が短い為、間に合わず失禁となります。また、膀胱に尿を貯めることができずに失禁してしまうことがあります。

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正常圧水頭症の検査と診断

気付く症状があれば受診を

正常圧水頭症では、早期発見し治療する事により、症状が改善すると言われています。歩き方がおかしい、うつ状態のような症状がある、また尿失禁があるなど、どれか1つでも気付く症状があれば、受診をしましょう。

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受診は検査設備がある脳神経外科や神経内科などへ

受診するのは、脳神経外科が良いです。歩行がおかしいことなどを医師に告げてください。

認知症は何科に行けばよいの?

CTやMRI、髄液タップテストなどが行われます

検査はCTやMRIなどで、脳の脳室という部分が大きくなっているかなどが確認されますが、アルツハイマー型であっても、脳室は大きくなるため、診断が難しいケースもあります。そのため腰椎から髄液を少し抜いてみて、症状が良くなるかをみる、髄液タップテストと言われる検査が行われます。検査は2~3日の入院が必要になる事があります。


正常圧水頭症の治療

早期発見が治療の鍵です

正常圧水頭症は手術で治療が可能とされています。とはいえ、手術に適した時期を過ぎてしまうと、手術を行っても症状の改善が大きく期待出来ない場合があります。そのため、出来るだけ早くに受診をする事が重要です。


髄液を他の場所に流れるようにするシャント術

手術とは、頭の中に溜まって吸収出来なくなった髄液を、シリコンの管を通して他の場所に流れるようにする、シャント術と言われるものになります。シャント術は、頭からお腹の中、頭から心臓、腰椎からお腹と3タイプあり、その人によって一番良い方法が選ばれます。一番多いのが頭からお腹へのタイプですが、最近は腰椎からお腹へのタイプも増えてきています。また、身体には髄液の流れる量を調整する装置も埋め込まれます。


正常圧水頭症の治療後の介護の仕方

手術直後に改善しなくても、徐々に改善の可能性もあり

手術によって歩行障害は、9割近い改善が見られているようです。認知症の症状や失禁などに対しては、人によって様々で、5~6割程度と言われる場合もあります。


散歩などで歩くリハビリをしましょう

歩行が出来る事で、散歩をするというリハビリが出来ます。歩く事で身体的な機能もあがります。脳への刺激にもなりますので、家の近くなどの散歩をしましょう。歩行が安定したからといって、転倒の危険が全くなくなる訳ではないので、外出時には付き添う方が安全です。また家の中でも、転倒しないように環境を整えましょう。毛足の長い絨毯やカーペットは躓きやすいので要注意です。躓かないよう、カーペットの縁がめくれ上がらないようにするなどの工夫が必要です。


トイレの近くに部屋を変える

失禁については、治療前に比べると我慢出来る時間が長くなる場合が多く、また歩行障害も改善されているために、トイレに間に合うようになる人が増えます。ただ、人によって回復状態は異なりますので、部屋とトイレが離れている場合は、部屋をトイレ近くに変える方が良いでしょう。


無理強いにならない程度のリハビリをしましょう

治療を開始した時期によって、改善具合も異なります。症状が進んでしまってからの治療では、大きな改善が期待出来ない場合もありますが、リハビリを行う事で、徐々に改善される事もあります。意欲低下などが見られるなら、無理強いをしない程度に、音楽を聴いたり、本を読んだり、また昔の話をたくさんしてみましょう。1人きりにしないでください。人と関わる事や話をする事は、とても良いリハビリです。たとえ、何もしたがらずじっとしていても、話しかけてあげてください。


定期的な受診と介護保険の利用も考慮

身体の状態やシャントの状態などを、診察してもらう必要がありますので、定期的な受診は必要です。また認知症の改善程度によっては、介護保険を利用する方が良い場合もあります。介護に不安があるが、まだ申請していないという場合は、県や市町村の福祉相談窓口などに相談してみましょう。

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