認知症で病院にかかる

1.認知症は何科に行けばよいのか

「認知症かも?」と思ったときにいったいどこに行けばいいのでしょう。
どんなことを聞かれて・どんなふうに診断されるのか・診断結果が本当なのか・・・と不安はつきません。
ご本人のため、また介護する側にとっても、何よりも医師との関係を築いていきたいものです。

病院の何科に行くのか

最近は、認知症の診療を専門的に行う「物忘れ外来」も多く見られます。

「精神科」「神経科」「神経内科」「老年病内科」「老年内科」など 認知症に限らず身体部分も含めて総合的な科もあります。

大きな総合病院や大学病院では待ち時間も長く、一面識も無い病院ですと躊躇する場合もあります。そういう場合はいつものかかかりつけ医に相談されるのも一案です。どの病院にどのような専門医がいるかの情報を持っているものです。また認知症専門医を受診したい場合は以下のところから検索できます。

日本認知症学会 認定専門医検索

2. 医師に何を説明するか

医師に何を説明するのか

医師は認知症の診断をするのにまず最初に高齢者の物忘れが治る物忘れか、認知症なのかを判断します。

その判断をするために、医師は高齢者の日常生活を良く知るご家族やまわりの方に次のようなことを詳しく聞きます。現在問題となっている状況、症状は何か、何時からか、どのようなきっかけか、今までの病気について、その経過についてです。

また、今までの生活史や生きてきた人生や育った場所などです。さらに朝食の内容や病院までどの方法で来たのかなど本人の記憶力を確認するうえで必要になります。こんなことを聞かれるのであらかじめ準備しておくと良いでしょう。

医師はどのように診断するのか

認知症なのかどうかを判断するために 世間話など高齢者の緊張感や不安感を取り除くことからはじめます。

それから以下のように検査を行い診断をします。

1.ご家族の方や身近な方からの生活の情報と今までの経歴と詳細な病歴を聞きます。
2.ご本人様にも同じように聞きながら、記憶の障害が加齢に伴う正常なものか、病的な物忘れなのかを診察します。
3.簡単な記憶テストををします。
4.脳の中の病巣を確認するために CT,MRIなどの画像検査をします。

セカンドオピニオン

認知症と診断を受けて不安になり、他の専門医にも相談したいと思うときがあります。今はセカンドオピニオンといって第二の意見を聞いてみるのもいいでしょう。

「主治医に失礼になるのでは」とか、「転院しないといけないの?」という心配はありません。

主治医との良好な関係を保ちながら、複数の医師の意見を聞くことです。「インフォームド・コンセント(説明責任と同意)」という考えを持っている医師でしたら治療法を決定するのは患者や家族であることを十分認識しているからです。

医療が進歩してさまざまな治療法が生まれています。その結果、病気に対する考え方が違うことがあります。また、医師や病院によって、医療技術や診療の質に差があることも考えられます。そこで、ご本人様に最善と考えられる治療を、ご本人様と主治医で判断するため、主治医以外の医師の意見を聞くこと。それがセカンドオピニオンです。場合によっては、医師をかえることになります。

納得して治療法を選ぶことは、ご本人様の持つ基本的な権利です。

同じ手術をするとしても、「どんなリスクがあるのか」「ほかにどんな選択肢があるのか」を知ったうえで行うことは、非常に重要なことです。セカンドオピニオンは、ご本人様の権利を守ると同時に、医師にとっても誤診を回避するなど多くのメリットを持ったしくみです。

医師とのお付き合い

私たちは 病気のことを詳しく説明してくれて、何よりも信頼のおける医師とお付き合いをしたいものです。

相手(医師)も病状や服薬効果、副作用などを正確に伝えてくれてきちんとした判断がしたいと思っています。

認知症の場合は周りにいる方が状況を説明しますのでご本人様の尊厳を守るためにも目の前にして言えない部分も出てきます。可能な場合は別にお話を伝えるか後日に面談ということになります。

私たちは十分な情報をお話しするとともに、遠慮せずさまざまな困っている点をご相談して信頼関係を築いていきたいものです。

3. 認知症の診断と検査

認知症にはいろいろな症状を伴います。 また、これらを的確に診断することで適切なケアを提供できることとなります。 認知症と診断されるには、5つの条件がそろう必要があります。 条件の詳細については、認知症の症状をご覧ください。

診断と検査方法

認知症の診断の方法や基準には、いろいろなものが研究されています。

その代表的なものを掲載してきます。

(1)認知症の診断基準(厚生省研究班、1989年)
(2)DSM-IV-TR(アメリカ精神医学会)
(3)ICD-10(WHO)

これらの基準に基づき、次のような検査が行われます。

一般的身体検査
治療可能な認知症との鑑別が重要になりますので、原因である身体的疾病の有無を調べるために身体的検査が必要になります。主に行われる検査は、
(1)尿検査、(2)血液検査、(3)内分泌検査、(4)血清梅毒反応、(5)胸部X線写真、(6)心電図検査などです。

脳の一般検査
(1)腱反射などの神経学的検査、(2)脳波検査、(3)脳脊髄液検査などが行われます。

脳画像診断検査
(1)X線検査、(2)コンピューター断層撮影(CT)、(3)電磁線を応用したMRI、アイソトープを用いて脳の血流の状態を調べるSPECT、脳糖代謝量を調べるPETなどがあります。

知的機能を測定する心理テスト
(1)ウエクセラ成人用知能検査第三版(WAIS-III)、(2)新長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、(3)Mini-Mental State Examination(MMSE)、(4)アルツハイマーアセスメントスケール日本語版(ADAS-Jcog)


(1)遺伝子検査、(2)病理検査

ここで重要なことは、どのような精密な検査であっても、検査だけで診断はできないということです。
今や広く利用されるようになった長谷川式スケールについても、非専門化がテストの特徴を理解しないまま行っても全く信頼性のない結果がでる場合もあります。


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