見当識障害の症状と対応

認知症の見当識障害について説明します。 見当識障害とは認知症の中核症状の1つで、時間や季節がわからなくなる、今いる場所がわからなくなる、人がわからなくなるといった障害です。見当識障害の症状や対応・改善策を見てみましょう。

この記事の目次
  1. 見当識障害とは?
  2. 見当識障害の現れ方
  3. 時間や季節がわからなくなる
  4. 場所がわからなくなる
  5. 人がわからなくなる
  6. 見当識障害の方への接し方
  7. 症状であることを理解し、振り回されないようにしましょう
  8. 間違いを責めずに理解してもらう工夫をしましょう
  9. 見当識障害が原因で起こる問題
  10. 徘徊や脱水症状の原因にも
  11. 見当識障害のリハビリ(改善策)や対応
  12. カレンダーや時計を効果的に使う
  13. リハビリの他、気分転換にも有効な「散歩」
  14. トイレを失敗してしまう場合
  15. リアリティオリエンテーション

見当識障害とは?

認知症の症状の一つに、見当識障害があります。

見当識とは、自分が置かれている状況、たとえば年月日、時間、季節、場所、人物などの状況を正しく認識する能力です。見当識に障害が起きると、今日は何月何日か、今が何時か、今自分がどこにいるのか、誰と話をしているかなどが正確に認識出来なくなります。

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見当識障害の現れ方

時間や季節がわからなくなる

まず時間の認識が乏しくなる場合が多く、今日の年月日や曜日、時間、季節を間違える事が多くなります。そのため、遅刻をする、外出の準備ができない、季節に合った服装を選ぶことができないなどの症状がみられます。

場所がわからなくなる

次に認識しにくくなるのが場所です。例えば、通い慣れたスーパーまでの道順が分からなくなる、外出した際に、自分がいる場所がわからなくなり家に帰れなくなったという場面が増えます。場所への認識も薄れ、病院に行っても病院だと認識出来ないといったことが起こります。また、家の中でもトイレの場所、自分の部屋などを間違えるようになります。

人がわからなくなる

症状が進むと、人を間違えることが多くなります。家族や親戚、友人であっても認識できない場面がふえます。また、実子を孫と認識するなど、相手と自分の関係を間違える事もあります。

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見当識障害の方への接し方

症状であることを理解し、振り回されないようにしましょう

見当識障害が見られると、例えば人と会う予定を忘れたり、迷子になってしまったり、家族や友人をかたくなに知らないと言う場合があります。また症状が進むと、トイレを間違って別の場所で排泄したり、トイレまで間に合わず失禁する場合もあります。

こういった症状が出ると、家族や周囲の人たちも驚きやストレスから「どうしてそういうことするの?」と怒ってしまうことがあります。うっかりでも、わざとでもなく、認識する機能が失われてしまっているという事を、家族が理解する事が大切です。

間違いを責めずに理解してもらう工夫をしましょう

認知症の方を怒ったり責めたりしても、本人は怒られている原因が認識できていないため、余計に興奮させたり、自尊心を傷つける事になります。本人は約束の日が到来してる認識がなかったり、目の前にいる人が本当に誰か分からず困惑しているのです。

例えば、時間の認識が乏しい場合、文字盤が見やすい時計を枕元に置いたり、本人が生活する拠点となる部屋に置きます。また、外出の時間が近づいてきたら、「今日はどこに出かける日でしょうか?」「9時にデイサービスの車が迎えに来るので、そろそろ準備しましょう。」と行動を促すような言動を心がけましょう。

春なのに秋と認識している場合は、桜を見に行ったり、旬の食べ物をメニューに取り入れたり、季節を感じることを取り入れてみるなどの工夫もいいでしょう。

名前を間違えられた場合は、やんわりと「○○ですよ。」と答えましょう。家族が自分の名前を間違えられるのは、非常にショックなことで、怒りや悲しみが湧いてくるのは当然です。しかし、その気持ちのまま介護を続けると、本人にも伝わり悪循環が生じます。一旦、冷静になる時間をつくりましょう。

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見当識障害が原因で起こる問題

徘徊や脱水症状の原因にも

見当識障害によって徘徊する場合があります。自分がどこにいるのか認識できないため、徘徊してしまうのです。見当識障害に起因する徘徊の末、交通事故を引き起こしたり、行方不明になってしまう事件が実際に起こっています。

また季節が認識できず、夏場でも冬と間違えて服を着込む方がいます。冷房などもつけずに暑い部屋で過ごすと脱水症状を起こす場合もあります。同居している場合、衣替えを行い季節に合わせた服を準備する、必要のない衣服はしまうようにするなどの対応が必要です。家族が遠方に住んでいる場合には、箪笥や衣装ケースに「夏物」「冬物」など記載して、訪問看護師やヘルパーにも分かりやすいように工夫して、衣替えを頼みましょう。

徘徊による事故を防止するために

見当識障害があるとわかったら、外出する際は誰かが付き添い、目を離さないように見守る事が大切です。たとえ近所でも迷うことはあります。名前と住所、電話番号を衣服に縫い付けたり、バッグにつけておくことも大切です。

また周りの方の協力も必要になります。近所の方や地域の民生委員、警察などに連絡して、もし外で見かける事があれば、連絡してもらうといった対策を早くから行うことが望ましいです。 警視庁では、巡回連絡カードの記載を促しています。戸別訪問の際に警官に伝えるのも良いでしょう。

脱水症状を防止するために

夏場に服を着込んでしまっている場合、説得しても脱いでもらうのは難しいことがあります。そのような場合は、冷房をつけて温度調整をしたり、水分をたくさん補給するといった対応を心がけましょう。

もっと詳しい徘徊の対応についてはこちら

見当識障害のリハビリ(改善策)や対応

カレンダーや時計を効果的に使う

見当識障害がみられたら、見やすい大きさのカレンダーを貼って、今日の日付に印をつけていくというのを日課にしてもらっても良いでしょう。その時に、今日は「何月何日何曜日」などと声に出してもらうと頭に残りやすくなります。また、1日のスケジュールを作り、規則正しい生活をすることが大切です。

時計はその人によってアナログ、デジタルとわかりやすいものが違うので、本人がわかりやすいものを選びます。加えて「もうお昼ですね」「お昼御飯を食べましょう」「もう寝る時間ですね」「歯磨きをしましょう」「パジャマに着替えましょう」「寝室に移動しましょう」などの声かけをたくさんしてみてください。

リハビリの他、気分転換にも有効な「散歩」

外に出て迷子になったら困るなどと、じっと家にこもっていると脳への刺激が減って進行を早めてしまう場合があります。散歩は運動になり、心地よい疲労につながります。気分転換にもなり、良いリハビリになります。しかし見当識の障害がある場合、必ず目を離さず一緒についてあげてください。

トイレを失敗してしまう場合

トイレなどを間違えてしまう時は、扉に「トイレ」の表示をつけて認識しやすいように環境を整えましょう。トイレと部屋が遠い場合、トイレの近くに部屋を移動することもあるでしょう。しかし、部屋が変わったことで混乱する恐れもありますので、本人の状況を確認してから対応したほうが良いでしょう。

排泄のパターンを確認し、「そろそろトイレに行きませんか。」と一緒にトイレまで行くことも効果的です。ここがトイレであることを、何度も繰り返して伝えてみてください。

リアリティオリエンテーション

リアリティオリエンテーションとは、「現実見当識訓練」と呼ばれるもので、認知症の見当識障害に対する訓練のことです。名前や年齢、時間、場所、日時、人物の名や物の名称など、繰り返し質問することで現実への認識を深めることを目的としています。

日常生活のコミュニケーションの中で、基本的な情報を繰り返し伝えてください。その際、自然なコミュニケーションとなることを心がけましょう。


リアリティオリエンテーションとは?


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