リアリティ・オリエンテーションでリハビリ

リアリティ・オリエンテーションによるリハビリの有効性について紹介します。

リアリティ・オリエンテーションとは?

リアリティ・オリエンテーションは「現実見当識訓練」と訳され、1968年アメリカのアラバマ州にある退役軍人管理局病院で精神科医Folsom氏によって開始されました。当初は戦争の後遺症によって脳に損傷を受けた軍人に用いられた療法でした。

現在は認知症を改善させるリハビリテーションの1つとして広く取り入れられています。

今日が何月何日なのか?
今いる場所がどこなのか?

認知症を患うと、自分が今置かれている日時や場所が判らなくなる見当識障害が起こりやすくなります。

リアリティ・オリエンテーションは言語障害がない初期段階の認知症に有効です。また、昔の「長期記憶」はあるが、今日昼食を食べたという「短期記憶」は忘れがちな人が対象となります。

リアリティ・オリエンテーションは、24時間リアリティ・オリエンテーションとクラスルームリアリティ・オリエンテーションの2種類があります。

24時間リアリティ・オリエンテーション

日常の会話やコミュニケーションの中で行います。例えば着替えなどのサポートをしながら「今日は○月○日だから、ひな祭りですね」という会話を行い、見当識を補う手がかりを与えるのです。

クラスルームリアリティ・オリエンテーション

小グループに分かれて、スタッフが進行役を務め、それぞれの基本的情報(名前・日時・場所)などを提供する方法です。


リアリティ・オリエンテーションのメリット

リアリティ・オリエンテーションの目的は、スタッフが患者に日時や基本情報を繰り返し提供することで以下の2つの効果を図るものです。

認知症の進行を遅らせる

繰り返し訓練を行うことで、記憶中枢に働きかけることで認知能力を改善させ、認知症の進行を遅らせることができます。

また見当識障害があると、自分がなぜ今ここにいるのかが理解できず不安になってしまいます。その不安を和らげる目的も持ち合わせているのです。

コミュニケーション能力を高める

クラスルームリアリティ・オリエンテーションでは、認知症患者本人がお互いに思い出せないという葛藤を共有し、関わりあうことも目的としています。

これは認知症が進行すると他人への関心がなくなり、触れ合いがなくなることでより進行が早まることを防止する意味合いもあるのです。

楽しかった思い出の再体験やその気持ちを他者と共有することは明るい気持ちにさせてくれます。これにより他者とコミュニケーションを取ることの喜びを見出すことが出来るのです。

また、リアリティ・オリエンテーションは薬を使用しないことから副作用がないのもメリットです。

リアリティ・オリエンテーションの事例

リアリティ・オリエンテーションは作業療法として医療機関のリハビリ施設やケアハウスなどで多く取り入れられています。

実際に行われた事例によると、リアリティ・オリエンテーションを取り入れるとMMSE(見当識、記憶力、計算力、言語的能力)に改善が見られ、認知症の進行を遅らせる効果が確認されています。

また、視覚から入ってくる情報は非常に有効なため、患者が好きな俳優や女優の映像を見ながら実施することで、自ら言葉を発するという事例も報告されているのです。

ただしリアリティ・オリエンテーションは患者に強制的に思い出させることは意図していない為、方法を誤るとストレスを増やしてしまう危険性を持っています。

認知症の患者が思い出せた時には共に喜び、楽しみながら行うことが大切です。

(画像はイメージ)


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