認知症介護の注意点:食事を食べさせるとき

1. 認知症のお年寄りに対する食卓での工夫は?

食事は栄養補給の為だけではなく、一日の中で一番楽しみなものです。

食卓でも楽しみを見つけられるように高齢者に対する工夫が必要となります。
(1)高齢者にふさわしい落ちついた雰囲気にする
(2)好みの食器があればそれを使用する
(3)調理は高齢者が食べ易い軟らかさ・大きさにする
(4)暖かいものや冷たいものにメリハリをつける。
また、きざみ食や流動食が必要な時は 全部を一緒に流動にするのでは無く、サラダのトマト、きゅうりなどの素材別にペースト状にするとそのものの持つ味を楽しんで頂くことができ、食欲の減退を防げます。

2. 上手に食べさせる工夫は?

食事をとるという行為自体を忘れてしまっている場合は、目の前に食事を出しても食べられないことがあります。

「このさんまは美味しそうですね」など料理の説明をすると食べられる方や、最初の数口を介護者が手伝うと自分で食べれるようになる方や、目の前で一緒に食事をとると、自分も食事をとろうとされる方などさまざまですので、その方にあったケアの仕方を工夫してみましょう。

3. 今すませた食事を忘れてまた要求するが?

「今食べた事」を説明しても、直前の“食事をした”という記憶が無くなっているのですから、理解してもらえません。

このようなときは、忘れたことを否定せず、1日分の摂取量は変えずに、1回分の摂取量を減らし、回数を増やしたり、低カロリーのものを準備したりすると良いでしょう。たとえば、ご飯の半分の量をとっておいて、おにぎりにして後で出したり、ゼリーや寒天などでおやつを作っておき、「特別に用意しました」と言ってお出しするなど満足感を得られるような工夫が必要でしょう。

4. 甘いものばかり欲しがる?

糖尿病などで医師の指示がある場合は、糖質の低いおやつなどで代用する必要がありますが、そうでなければ、飴や低カロリーのおやつなどをお出しするなど工夫するのもよいでしょう。

また、治療計画には甘いものを頂くことを前提にした食事摂取方法もありますので、医師にご相談ください。

5. 何でも汁につけて食べる?

飲み込みが悪かったり口の中が乾燥したりして、水分を含ませた方が食べやすいという方もいますので、ご本人がそれで美味しく食べれるならば見守ってよいのではないでしょうか。

6. おかずを食べず、丼ものにすると食べる?

食が細くなり、お茶碗1杯の食事で十分と感じられているかもしれません。

また、いろんな種類のおかずをとるということ自体を忘れてしまっている場合は、目の前に1~2種類のおかずを用意して食べてもらうなどの工夫も必要でしょう。ご本人がそれで美味しく食べれるならば見守ってよいのではないでしょうか。

7. 際限なく食べ続ける?

食べ始めるとなかなか止めないで、際限なく食べ続ける人がいます。

こうした場合は極端な食べ過ぎにならないように注意が必要です。しかし、食べている様子をよく観察すると、時間が長いだけで量はそんなに多くない事もあります。食べ過ぎないようにする為には一人分をお盆か何かに載せて出すのもよいでしょう。その場合は他の食べ物をお年寄りの手の届かない所に置くようにしましょう。満腹中枢が壊れているような場合は、1日の必要量以上は食べないように配慮する時もあります。

8. 食事時に食べ物で遊ぶ?

食べ物を認識できない場合や、目の前にたくさん並んでいてどうして良いかわからない場合もあります。

会席料理のようにお盆やランチョンマットの上に一品づつ出すことも一つの方法です。介助して食べられるようでしたら、遊びだしたら介助して食べてもらいましょう。

9. バナナを皮ごと食べる?

以前にも皮ごと食べてしまったことがあるのでしたら、基本的には皮をむいて食卓に出した方が良いでしょう。

繊維の多いものでは窒息の原因にもなります。

10. 消しゴム、花等食べ物でないものを食べる?

明らかに食べ物ではない物を食べようとする行為は「異食」といい、バナナを皮ごと食べるのとは違う危険な行為であり、注意が必要です。

このような場合には、身近に小さい物は置かないようにしてください。手の届く所にあって、口に入る大きさの物は何でも口に入れる可能性があると考えておいた方がよいでしょう。 だからと言って何もない殺風景な部屋ではなく、生活感のある今まで暮されてきた部屋にしましょう。そして見守り、的確な指示を専門医から受けましょう。

11. 食事をしようとしない?

体調不良(口の中が荒れている・入れ歯が合わない・便秘・下痢・運動不足)や、食事をとるという行為自体を忘れてしまっていることも考えられます。

また、その人にとって不快な音がしていたり、入院や施設入所などで環境が変わってしまった場合にも起こります。姿勢が崩れて体位が不安定で食事がすすまない場合もありますので原因をつきとめることが大切です。

12. 食事をよく喉に詰まらせる?

加齢に伴い、嚥下力(飲み込む力)は衰えてきますので、喉つめによる窒息や誤嚥性肺炎には注意が必要です。

認知症の方の場合、飲み込みが悪くなっているという自覚が足らず早食いをしたり、自分の口の容量に合った食べ物の大きさを認識出来ない場合もあります。詰まらせやすい食べ物(例えば、どら焼き・パン類・バナナ・饅頭など)を摂取する際には、事前に水分摂取をし口腔内を湿らせるように心掛けましょう。

13. 食べやすい姿勢は?

高齢者が食事をする時にはテーブルの高さに気をつけましょう。

テーブルが高い位置にあると、食べ物を口に運びにくいだけでなく、顔・顎があがり、誤嚥の危険性が高くなるからです。一般的には手首をテーブルにのせた時に肘の角度が90度位になるのが食べやすい高さと言われています。また、クッション等を利用して椅子から身体がずり落ちないようにしましょう。

14. 冷蔵庫を勝手に開けて食べてしまう?

冷蔵庫を勝手に開けて食べる場合は、冷蔵庫の中の目立つ所に食べても構わない物を置きましょう。

また、夜間だけついたて等で冷蔵庫を隠す方法もあります。冷蔵庫に鍵をかける方法もありますが、高齢者のストレスを大きくするのであまりよい方法とはいえないでしょう。 場合によっては糖尿や肥満気味の方であれば医師と相談しましょう。

15. 手づかみで食べる?

高齢者によっては箸やスプーンが上手く使えなくなると、手で食べようとする人がいます。

汚いからと嫌がらず、一人分に盛り付けたり、食べやすい大きさに切る等の工夫をして手づかみでも食べられえるようにしましょう。

16.目の前のおかずしか食べない?

目の前のおかずしか食べない高齢者に対しては、適当な時に別の皿を手元に移動させてあげればよいでしょう。

但し、高齢者が食べている最中に皿を移動させず、その皿から注意が逸れた時に行いましょう。 麻痺側は視野も狭くなっている場合もあるので、麻痺側でないほうに食器を配膳するなどの配慮が必要でしょう。

17. 食事中にむせた時は?

認知症の方は食べるスピードの調整が利かない場合がありますので、見守りが必要でしょう。

また、食事中にむせたり咳をしたりするのは誤嚥のサインと考えられます。誤嚥によって肺炎を引き起こす危険もあるので、その後の体調の変化に注意しましょう。


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