認知症介護の注意点:⑦介護への不安や疑問

この記事の目次
  1. 自分以外に介護者がいない
  2. 認知症が進んだひとり暮らしの親が心配
  3. デイサービスとデイケアの違いは?
  4. ショートステイはどんな施設?

自分以外に介護者がいない

家族がひとりで介護をするのは、難しいです。介護者ご自身の生活や経済面での負担も大きくなります。特に、介護はいつまで続くか分かりませんし、長期化すればするほど、経済的負担は大きくなります。例えば、自分しか介護者がいないため、仕事を辞めた(介護離職)場合、経済的収入はなくなり、貯金を切り崩していくことになります。しかし、何年先まで介護が続くか分かりません。総務省の調査によると、介護が終了した後に再就職をしようとしても、難しいと言われています。

また、介護者ひとりで24時間365日介護を続けるのは、身体的にも精神的にも負担が大きいです。「自分しかいない」、「私が頑張らなければ」という気持ちだけでは介護は続きません。介護保険を上手に利用して、訪問介護ヘルパーに来てもらう、デイサービスやデイケアを利用する、ショートステイを利用するなど社会資源を活用して、介護のプロにお任せしましょう。

そして、仕事を続けるために、職場に相談をしましょう。介護休業や介護休暇の制度を利用する際は、自分から申請しなければ誰も勧めてはくれません。法的な制度を上手に利用しながら、仕事を続けることが重要です。

認知症が進んだひとり暮らしの親が心配

今まで慣れ親しんだ地域でひとり暮らしを続けるか、家族と一緒に住むか、それとも施設で生活するか…家族にとっては非常に重大な選択です。

今まで慣れ親しんだ地域で生活を続ける長所は、安心して生活することができます。顔なじみのケアマネジャーや訪問介護ヘルパー、デイサービス・デイケアやショートステイを利用することで、安心して生活を続けることができます。また、子どもの立場からすれば、今までの生活を続けることができます。きょうだいで介護を順番に行うことで、ひとりに負担が大きくかかることもありません。

短所は、症状が進行して急変した、買い物の途中で転んで救急車で運ばれた、火の元の不注意から火事を起こしてしまった、徘徊して警察に保護してもらった、自然災害が起きたなどの緊急時の対応をするためには、離れている分、時間がかかります。このような事態が起きる前から不安になり、心配ばかり募る場合もあります。また、移動の交通費や連絡を取るための通信費などの経済的負担が大きくなります。

家族と一緒に済むことを選択した場合、親の家に住むのか、子どもの家に住むのか、どちらにしても大きく環境が変化します。

親の家に住む場合、今までの仕事や学校などは継続できるのか、一緒に住む環境として整っているのか、生活の負担が大きくなるのか(例えば、車が必要になる、最寄りの駅まで送り迎えが必要になる)などが考えられます。逆に、親が子どもの家で住む場合、親が生活する部屋はあるのか、バリアフリーの環境は整っているのか、住宅改修はできるのかなど、どちらの家に住む場合でも環境を整えることが重要です。

デイサービスとデイケアの違いは?

デイサービスとは、「通所介護」のことを言います。利用者が可能な限り自宅や地域で自立した生活を送ることができるように、入浴、食事、排せつなどの日常生活の支援や、レクリエーション、生活機能訓練を行い、心身機能の維持・向上を目指します。

家に引きこもりがちになりやすい高齢者や、家族の介護負担を軽減するために、利用することができます。日帰りで、自宅と家との送迎を行う場合もあります。

デイケアとは、「通所リハビリテーション」のことを言います。リハビリテーションを行い、利用者が自立して日常生活が送れるように、関節の拘縮の予防、筋力の保持、褥瘡の予防など身体機能の維持・向上、生活機能向上のための歩行訓練、起き上がり動作、階段の昇降、トイレや入浴の際の動作、口腔機能の維持・向上を目指します。その他、食事や入浴、排せつなどの日常生活支援を行います。

リハビリテーションにより身体機能を維持・向上したい高齢者に利用することができます。日帰りで、自宅と家との送迎を行う場合もあります。

ショートステイはどんな施設?

ショートステイとは、常に介護が必要な方が、短期間に入所して、食事、入浴、排せつなどの日常生活の支援や機能訓練を受けることができます。連続した利用は、30日までとなります。

また、家族にとって、日々の介護から離れて、自分の時間を使うことができます。また、冠婚葬祭、出張、入院などの緊急時に一時的にショートステイを利用することもできます。



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