前頭側頭型認知症(FTD)とは

前頭側頭型認知症(FTD)とは、前頭葉や側頭葉が委縮して起こる認知症です。万引きや痴漢、暴力などの反社会的行動が目立ちます。ここでは前頭側頭型認知症(FTD)の症状や原因、対応方法にについて詳しく説明します。


前頭側頭型認知症(FTD)とは

行動障害が目立つ認知症です

認知症というとアルツハイマー病のように記憶障害が連想されがちですが、FTDは初期には健忘や失語はあまり無く、代わりに対人関係を維持する能力や感情が低下します。一般的な行動から逸脱している場合が多いために、精神疾患だと誤診される場合もあります。

男女差はなく、50~60代を中心として発症します。海外では家族からの遺伝も多くあるようですが、日本では稀だと言われています。


原因はまだ分かっていません

FTDの原因はまだ良く分かっていないのが現状です。アルツハイマー型認知症のように脳内にたんぱく質が蓄積することが分かっていますが、様々な種類のたんぱく質が見られます。タウたんぱく質(FTLD-Tau)やTDP-43(FTLD-TDP)、FUS(FTLD-FUS)といったものが有名で、それによって分類されます。 医学上はこの3つから更に分類され、その中には運動ニューロンを障害する病態も含まれます。

10年前後で寝たきり状態になると言われており、運動ニューロン疾患がある場合は、その進行がさらに早いと言われています。

認知症ってどんな病気?

前頭側頭型認知症の症状の特徴

認知症というと物忘れや失語などをイメージずる事が多いと思いますが、FTDでは初期から行動の異常が見られます。障害される脳の部位を異なる事からしばしばアルツハイマー型と対比されます。

同じ行動を繰り返す

同じ言葉を何度も繰り返す事が多くなります。これは物忘れで「今何時?」と聞くのとは異なり、例えば「いません」などの言葉を、脈絡なくただ繰り返し発します。またある時間になると家の中を歩きだすというような、決まった行動をとることもあります。

このとき、外にも出てしまう場合がありますが、徘徊で迷子になる事は少なく、同じコースを歩いて帰ってきます。また身体を揺すったり、膝や手、あるいは机などをパチパチ叩き続けるなどの行為も見られることもあります。


異常な食関係の行動

同じ物を食べたがり、料理の際には同じメニューばかりを作ることもあります。料理の味付けは驚くほど甘く、濃い物になったりします。また机の上に置いておいた砂糖を、全部食べてしまったなどの事例もあります。食欲も異常に旺盛となり、夜に冷蔵庫の中の物を食べあさる事があります。


集中力や自発性がなくなる

話をしていてもじっと聞いていられず、急に立ちあがってどこかへ行ってしまうこともあります。デイサービスなどで、皆と同じ作業などをしていても、飽きるのが早く最後まで出来ません。また身なりを気にする事がなくなり、汚れていても平気になります。

テレビなど今まで興味を持っていた物にも関心がなくなり、家で寝てばかりになることもあります。「テレビ見る?」「知らん」「これ美味しいでしょう」「知らん」などと、何を言われても、考える事なく即答するようになります。


見た物に影響されやすくなりますが、言葉が中々出てきません

近くの人が立つと自分も立ちあがります。じゃんけんのグーに勝つのはパーだとわかっていても、こちらがグーを出したらグー、パーを出したらパーを出します。また相手が「それ取って」などと言うと、「取って」などと相手の言葉をオウム返しします。言葉が中々出てこないため、会話が苦手になり、黙ってしまう場合もあります。


反社会的な行動が見られます

ルールを無視した、自分の思うままの行動を取る事が多くなります。店先の商品を万引きしたり、痴漢などをして警察に捕まっても、本人には罪悪感がなく反省しません。また赤信号でも周りを注意せず平気で渡ったりするので危険です。順番を無視する事が多く、注意されると怒り出し、時には暴力を振るうこともあります。

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前頭側頭型認知症の方の対応の仕方

FTDは初期から行動に異常が見られる事為、介護者の負担が他の認知症よりも大きいと言われています。適切な対応をする事は患者さんのみならず介護者の負担を減らすことにも繋がります。

常同行動を強引に止めさせない

手を叩いたり、家の中を歩いたりや外を歩いて帰ってくるなど、同じ行動を取ろうとしますが、これを止めさせようとすると怒ったり暴力を振るったりします。外へ出かけてしまっても迷子にはなりませんが、信号無視などの危険が伴います。また、万引きなどが見られる場合もありますので注意が必要です。

ただ家の中なら、トイレなどの場所がわからなくて迷っているわけではないので、歩いても良いと大目にみてあげてください。どうしても外出したそうなら家族が付き添ったり、デイサービスなどを利用してみましょう。

デイサービス(認知症対応型通所介護)ってどんなところ?

笑顔でジェスチャーを加えながら接する

周りのものに影響されやすいので、ガヤガヤした騒がしい場所では苛つく場合があります。イライラしている時は、何か原因を探してみてください。またこちらが笑顔だと笑顔、怒っている顔だと怒った顔をします。接する時は言葉を理解しにくい場合がありますので、ジェスチャーを加えながら笑顔で優しく接してみましょう。

じっと出来ずにどこかへ行こうとする時は「ねえねえ」とか「聞いて聞いて」など呼びとめて、今までと違う話をしてみてください。どこかへ行こうとする事を忘れ、こちらの話を聞いてくれる場合があります。


食べ物の管理をする

甘い物を食べたがり、テーブルの上や戸棚、冷蔵庫の中などを探して食べようとします。甘い物を欲しがっているのに、隠すのは可哀想と思われがちですが、甘い物を制限なく食べるのは、糖尿病になる恐れもあります。病気にさせてしまう方がかえって辛い思いをさせるのだと気付いてください。

テーブルの上には物を置かないようにし、戸棚や冷蔵庫には簡単に取り付けられるドアロックなどを利用しましょう。また全く甘い物をあげないのではなく、おやつの時間を決めるなどして管理してください。


反社会行為には、専門機関と相談を

物を盗ったりする行為は、ご本人は悪い事だと理解出来ていないため、戒めても変わりません。外に出る時は付き添うのが良いですが、毎日は介護者の負担になりますので、デイサービスやショートステイなどの利用も考えてみましょう。

また、繰り返し同じお店でその行為を行ってしまう場合は、お店に事情を話し、先にお金を預けるか、後でまとめてお金を支払うなどの対策が必要です。とはいえ、度重なる万引きや痴漢行為などが見られるようであれば、介護者が抱え込まず医師やケアマネージャーなどの専門家に相談しましょう。

反社会的な行動で困ったらこちらに相談

前頭側頭型認知症の症状の改善策

本人が受診を拒否するようであれば、家族だけでも相談に行きましょう

認知症の診断は必要です。しかし、行動がおかしいと家族などが気付き、受診をさせようとしたところで、本人は自分の行動がおかしいとは思っていないので、頑なに受診を拒む場合があります。そのような時は「一緒に健康診断を受けに行こう」など認知症のための受診ではないことを示し、かつ1人では受けにくいだろうから一緒に行こうなどと促すと、受けてもらえる場合があります。

それでも拒否する場合は、認知症専門病院や物忘れ外来、神経内科などに、症状の詳細を書いたものを持参し、家族だけで相談に行く事も出来ます。

認知症?と思ったら、何科にいけばよい?

環境や日課は変えないようにしましょう

同じ事を繰り返す事は、周りの者から見るとイライラしてしまいがちですが、本人には安定に繋がっています。 気分転換にといつもとは違うショッピングセンターに連れて行ったところ、今までにはなかった商品の名前が書いてあるプレートを見て、大声で読み上げていくという行為が見られ困ったという事例もあります。

環境や日課は変えない方が良く、ヘルパーやデイサービスなどを利用する時も、出来るだけ同じ人が来てくれるようにお願いしましょう。


[subtitle id=’id4-3′ title=’介護は家族で抱え込まず医師や専門機関を頼ってください<' depth='2']

前頭側頭型認知症の根本的な治療薬はありませんが、行動を抑える薬はあります。また反社会的な行動が続くようであれば、医師と相談し短期入院などの対応で、落ち着く場合もあります。入院中の行動などの観察で、落ち着きやすい対応の仕方などがわかれば、介護の指導を受ける事が出来、退院後の家での介護がしやすくなるかもしれません。

前頭側頭型認知症の方の介護が大変である事は、周りは理解できていますので、家族で抱え込まず専門機関を頼ってください。

種類別認知症の原因と症状
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