アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)とは|初期症状や予防法など

アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも最も多く、全体の約6割を占める病気です。ここではアルツハイマー型認知症の症状や原因、治療方法、予防方法についてご紹介します。


この記事の目次
  1. アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)とは
  2. 認知症の半分以上を占め、女性に多い
  3. アルツハイマー/若年性アルツハイマー発症のサインは?
  4. 特殊なたんぱく質による神経細胞の破壊が原因
  5. 脳の異変は発症の何年も前から起きている
  6. 遺伝する認知症も
  7. アルツハイマー型認知症の症状
  8. 記憶障害
  9. 判断能力の低下
  10. 見当識障害
  11. その他の行動・心理症状(BPSD)
  12. アルツハイマー型認知症の方への対応
  13. 話題を繰り返す事に怒らない
  14. 不安を感じたら早期の受診を
  15. カレンダーやメモなどを利用する
  16. 薬の管理をする
  17. 本人が生活しやすい環境をつくる
  18. 連絡先を常備し、周りに協力を求める
  19. 否定はせずに話を合わせる
  20. 無理強いはせず、安心できる言葉かけをする
  21. 不快な場面をさける
  22. アルツハイマー型認知症の予防・改善策
  23. 早期発見と早期治療が大切
  24. アルツハイマー型認知症に有効と認められた薬があります
  25. 予防習慣を心がける
  26. 睡眠不足を避ける
  27. 楽しくリハビリをする
  28. 出来る事は一緒についてやってみる

アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)とは

アルツハイマー型認知症とは、脳の中にアミロイドβという蛋白質が溜まり、正常な脳の神経細胞を壊して脳を萎縮させる病気です。脳の萎縮は徐々に進行します。短期記憶を司る海馬にも起こると、体験したこと自体を忘れてしまう記憶障害が起こります。記憶障害が起こると、新しいことを覚えられなくなります。また、見当識障害と言われる年月日や時間、季節などの感覚が薄れていきます。さらに進むと、今自分がどこにいるのか、人物が分からなくなります。その他、理解力や判断力が低下していきます。

認知症の半分以上を占め、女性に多い

アルツハイマー型認知症は、認知症の中で一番多いとされており、男性よりも女性に多く見られます。また脳血管性の認知症などの患者数が横ばいであるのに対して、増加の傾向があるとの報告があります。

認知症についての情報はこちら

アルツハイマー/若年性アルツハイマー発症のサインは?

特殊なたんぱく質による神経細胞の破壊が原因

アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まり、神経細胞が壊れて死んでしまい減っていく為に、認知機能に障害が起こると言われています。また徐々に脳全体も委縮していき身体の機能も失われていきます。

神経細胞とアミロイドβのイメージ


脳の異変は発症の何年も前から起きている

アルツハイマー型認知症では最近の出来事を忘れてしまうという症状が見られますが、これは記憶を司っている海馬と呼ばれる部分に病変が起こり、記憶が出来なくなります。ただ、記憶の部分が侵される事で記憶出来ないとわかりますが、実は記憶障害が出る何年も前から、脳の異変は起きています。アルツハイマー型認知症に対する治療薬は、早期から投与する事で症状の進行を緩やかにするという報告もあるので、早期発見が重要になってきます。

日本国内で認知症の薬として認可されている4種類の薬の詳細はこちら

遺伝する認知症も

若年性認知症の一部には家族に遺伝する認知症もあります。アルツハイマー型認知症の一部は遺伝すると言われており、家族性アルツハイマー病と呼ばれています。検査で分かることもありますが、100%事前に分かる訳ではありません。家族や親族が家族性アルツハイマー病だと分かっている場合は、自分も発症する確率が高まりますので早期発見・治療を心がけましょう。

現在、アミロイドβが溜まるのに関係している物質が判明しました。その物質を司る遺伝子の型を検査することで、認知症の発症のリスクが分かるようになりました。ただし、検査は保険診療ではなく、自費診療になります。人間ドックなどの健康診断の一つとして行っている施設もありますので、心配な方は主治医に相談してみてはいかがでしょうか。

岩田淳先生インタビュー:第8回 進むアルツハイマー遺伝子の研究

アルツハイマー型認知症の症状

記憶障害

アルツハイマー型認知症の代表的な症状がもの忘れです。誰でも忘れる事はありますが、忘れている事やヒントを与えられると「そうだ、忘れていた」と思い出せます。しかしアルツハイマー型認知症の方は、体験そのものを記憶できていないため、思い出す事が出来ません。

例えば、「会う約束をしていたとしても、約束をしたこと自体を忘れてしまい、そんな約束をした覚えがない」、「病院の受診日を忘れてしまう」となってしまうところが、一般的なもの忘れと違うところです。

もの忘れと認知症の違いについての詳しい説明はこちら 記憶障害の詳しい説明はこちら

判断能力の低下

アルツハイマー型認知症になると判断力も低下します。例えば料理をする際、調味料をどれくらい入れたら良いかや、どんな食材を使うかなどの判断が出来なくなります。そのため、家族が認知症に気づくタイミングのひとつに「味付けが変わった(濃すぎる・薄すぎる)」、「調理に時間がかかり、手際が悪くなった」などの変化がみられます。

さらに、症状が進行すると、手順がわからなくなって料理すること自体が出来なくなります。

掃除をする際、捨てる物がわからない、片付け方が分からなくなる為、部屋が散らかりゴミだらけになる事もあります。臭いにも鈍感になる為、ゴミが増えても気になりません。

また服がちぐはぐになったり、季節に合わない服を着たりする事もあります。

抽象能力や判断力の障害についての詳細はこちら

見当識障害

最初に起こるのは、今日の日付がわからなくなり、時間の感覚が分からなくなります。例えば、昼夜や季節に合わせた服装ができません。

次に、自分がいる場所がわからなくなり、買い物先などの良く行く場所で迷子になったり、家の中でもトイレの位置がわからない、またトイレの前に立ってもドアがわからなくなり、失禁してしまう場合も出てきます。

そして、人の判別ができなくなります。家族を別人と間違えたり、「どなた?」と聞く場合もあります。

見当識障害の詳しい説明はこちら 失禁したときの対応と改善策はこちら

その他の行動・心理症状(BPSD)

大事な物が無くなった、盗られたと家族を責めたりする「物盗られ妄想」や、外へ出てウロウロする「徘徊」、お風呂に入らないなどの「介護拒否」などがよく見られるようになります。また家族の顔がわからなくなったり、鏡に映った自分の顔がわからず「怖い顔をした人がこっちを見ている」とそれに対して怒ったり、介護を拒否する事も出てきます。

徘徊の対応についてはこちら 物盗られ妄想が出たときの対応と改善策はこちら 介護拒否の原因と対応、改善策についてはこちら

アルツハイマー型認知症の方への対応

話題を繰り返す事に怒らない

アルツハイマー型認知症の方の場合、同じことを何度も繰り返し聞いたり話したりします。同じことを繰り返し聞かれると「さっき言ったでしょう」などと対応してしまいがちですが、本人は忘れてしまっている為、聞いていないというだけです。

また同じ話を繰り返す場合も「同じ話ばかりしている」と言われると、本人は嫌な事を言われたと不快に思ったり、怒られたと感じます。このとき、この不快や怒られたという感覚だけが残りやすく、認知症初期のうつ傾向に繋がる場合もあります。

そのため、介護者は繰り返す話題に怒らず、出来るだけ付き合ってあげることが大切です。

ただし、ずっと付き合うことは介護者の負担になる場合があるので、そのようなときは、興味がある違う話題に変えて話をしてみましょう。

不安を感じたら早期の受診を

アルツハイマー型認知症は徐々に悪化するもの忘れではなく、急に酷い状態で現れる場合もあります。記憶や見当識に障害がみられる場合、認知症を疑って早く受診をしましょう。早期に受診をすることで、進行を遅らせることができる場合もあります。

病院は何科を受診する? 岩田淳先生インタビュー:認知症が疑われるときのチェックテストと病院選びについて ユッキー先生の認知症コラム:「認知症かな?」と思ったら ~病院に行くべきときは~

カレンダーやメモなどを利用する

約束など大事な予定がある場合は、本人がよくわかる場所に大きく書いて貼り出したり、カレンダーを使って、確認出来るようにしましょう。 家にあるのに忘れて同じ物を買ってしまう場合も、本人が良く見る場所、例えば冷蔵庫のドアなどに、あるものを書いて貼り出したり、買い物する時は必要なものだけをメモに書くようにしましょう。

ただ物と名前が一致しなくなっていれば、貼り出してもメモもわからず買ってしまいますので、買い物は1人ではなく訪問介護を利用して、介護ヘルパーに付き添いで行うようにしましょう。

薬の管理をする

薬の飲み忘れや、逆に飲んでいないと思ってたくさん飲んでしまい危険な状態になる場合もあるので、薬の管理は重要です。1回分をまとめてカレンダーなどに貼って、飲み忘れがないように工夫をしてみてください。ただ、1人で管理するのは段々難しくなるので、家族やヘルパー、訪問看護師が管理して飲むまでを見届けましょう。

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本人が生活しやすい環境をつくる

時計などはアナログよりもデジタル式の方が見やすい場合がありますが、本人に確認する事が大事です。

りにくいこと、わかりやすいことは、人によって違うので、確認しながら変えてみてください。例えば、トイレがわからない場合も、ドアに「トイレ」「便所」と大きく書いたり、ノブの部分をわかりやすくするなどは、本人と確認しながら行ってください。

また家の中をウロウロしている時にはトイレに誘導してみるなどしてみましょう。

連絡先を常備し、周りに協力を求める

一度でも外出で迷いそうになったら、もしもの場合に備えて名前や連絡先を服に付けたり、小型のGPSをポケットに入れておくなど対策をとりましょう。

また徘徊が始まり家の外に出たがる時は、出来るなら一緒に近所を一周して帰ってくるなどしてみましょう。勝手に出て行かないよう、鍵は手の届かない場所につけるなどし、可能ならば近所の人や民生委員などに徘徊があるという事を伝えて協力してもらいましょう。

徘徊の対応についてはこちら

否定はせずに話を合わせる

物盗られ妄想や幻視などの訴えが起きている時は興奮している場合があります。否定すると、余計興奮に繋がり、わかってもらえない事に腹を立てるだけになりますので、話しを合わせてみましょう。

物盗られ妄想なら一緒に探しながら、話題を変えてみたり、一息入れてからもう一度探しましょうと、場所を変えてみると興奮が治まる場合があります。

物盗られ妄想が起こったらこちら

無理強いはせず、安心できる言葉かけをする

例えば、お風呂に入らない、また服を着替えないなどは、服を脱いだりするのが面倒である場合や異性の介助者への羞恥心の場合があります。お風呂に入ってしまうと気持ち良いとなる場合もあります。

「お風呂は気持ち良いですよ」と気持ち良い事を伝え、本人が安心できる会話や環境を整えることで、脱いでもらえる場合があります。

介護拒否に対し無理強いをすると、余計拒否が強くなったり興奮したりするので止めましょう。

介護拒否の原因と対応、改善策についてはこちら

不快な場面をさける

嫌な思いや不快な事などの感情は残りやすいと言われています。不快な思いなどはストレスとなって、症状の悪化に繋がる場合もあり、介護者が出来る範囲で、ご本人に合わせるようにするのが、介護を続けるコツになります。ただ、段々介護負担は大きくなってくるので、介護者が倒れてしまう前に、介護保険のサービスも利用して対応していくようにしましょう。

介護保険制度ってどんな制度?

アルツハイマー型認知症の予防・改善策

早期発見と早期治療が大切

現時点では、アルツハイマー型認知症の完治は出来ないとされています。でもいろいろ薬が開発されていますので、早期発見、早期治療を始めた方が症状の進行が緩やかになります。最近何かおかしいと異変に気付いたら、受診しましょう。

治療までの流れとして、まずは、かかりつけ医に相談します。「何となくもの忘れが増えた」「認知症かもしれない」など日々の様子を伝えましょう。

かかりつけ医の判断により、必要があれば認知症専門病院に紹介状を書いて紹介してもらいます。専門病院では、認知症を診断する上で必要な検査や精密な検査が整っています。専門医が判断し、かかりつけ医に結果を報告します。その結果より、かかりつけ医は治療を行います。

検査・診断は専門病院、治療はかかりつけ医で行うことで、多くのメリットがあります。

かかりつけ医に通院する時間や待ち時間の短縮や、馴染みの医師に経過を診てもらうという安心、何かあった時にすぐに受診できる、などがあります。

認知症はどの病院で診てもらえるの? ユッキー先生の認知症コラム:『もの忘れ外来』ってどんな専門外来??

アルツハイマー型認知症に有効と認められた薬があります

現在アルツハイマー型認知症を完治させる有効な治療法はありませんが、症状を改善させる薬はいくつか存在します。現在日本では4種類の薬が販売されていますが、それぞれ作用機序や副作用が異なります。また抗精神薬にも周辺症状を改善させる報告もあります。いずれも作用機序や副作用が異なり、患者さんによっては利き辛い事もあるので主治医と相談しながら服用することが大切です。

日本国内で認知症の薬として認可されている4種類の薬の詳細はこちら

予防習慣を心がける

アルツハイマー型になる原因ははっきり解明出来ていませんが、生活習慣を見直すことで、予防につながるとされています。高血糖状態や喫煙、飲酒、運動不足、高血圧などは発症リスクを高めると言われています。認知症以外の生活習慣病予防にも繋がるので健康的な習慣が望ましいです。また青魚は認知症発症リスクを下げると言われていますので積極的に食べましょう。

認知症になりにくい生活習慣とは?

睡眠不足を避ける

睡眠不足気味の人は、十分に睡眠がとれている人より5倍もアルツハイマー型認知症になりやすいというデータがあります。脳は寝ている時に、アミロイドベータなどの老廃物を取り除いています。しかし睡眠不足になると、老廃物が除去出来ず蓄積されるようです。

また国立精神神経医療センターの研究では、30分程度の昼寝をするとアルツハイマーの発症リスクを5分の1にできるとの事です。

楽しくリハビリをする

リハビリを行うと、脳が活性化し症状の改善に繋がると言われています。簡単な本を声を出して読んでみたり、音楽を聴いたり、一緒に歌うのも良いです。 家族と昔話をよくしましょう。昔のことは比較的覚えている場合が多いため、脳が刺激されます。

また手指を使う折り紙やちぎり絵やお手玉など、昔遊んだ遊びも兼ねて楽しくリハビリが行えるようにしましょう。特に、お手玉は、2つから3つに増やして難易度を上げることができたり、歌を歌う・リズムを取るなど2つのことを同時に行うので、デュアルタスクになります。

デイサービスなどの利用は大勢の人と会う事になり、良い刺激になる場合があるので、本人が嫌でなければ勧めてみましょう。

認知症と脳トレについてはこちら

出来る事は一緒についてやってみる

ご本人が出来る事は介護者がついて一緒にやってみましょう。例えば料理が下手になったとしても、指示をもらうと出来る場合があります。料理や掃除なども出来る事は本人にやってもらいましょう。

男性でも掃除は出来るので「ここを掃除してもらえると助かる」などと任せてみましょう。まだ自分には出来る事があると自負出来るような環境を作り、残存能力を生かす事は、症状の悪化を防ぎます。


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