抽象能力や判断力の障害

抽象能力、判断力の障害とは

物の共通点や違いがわかりにくくなります

脳の細胞が壊れる事によって起きる中核症状と呼ばれるものの中に、抽象能力や判断力の低下があります。キャベツと大根は違う物、でもどちらも野菜という共通点があります。しかし、抽象能力の障害が起きた認知症では、キャベツと大根の違いがはっきりわからなくなり、また同じ野菜だという共通点も見つけられなくなってしまいます。また、野菜の名前を答えてみてと言われても、野菜とキャベツや大根などが結びつかず、頭に浮かんでこない状態となります。

良いか悪いかの判断が出来なくなります

認知症になると、自分がしようとする事が、良いか悪いかわからなくなります。認知症が進むと、判断しようとする事さえも出来なくなります。買い物をしてきて、冷蔵庫に品物を入れるのは良いのですが、洗剤なども構わず入れてしまうなどは良く見られるものです。別の事を考えていてついうっかりなどではなく、繰り返される事で、家族が異変に気付く場合があります。また判断力の低下によって、事故に繋がる危険も出てきますので、注意が必要になります。


抽象能力、判断力の障害の具体的な例

あいまいな表現がわかりにくい

抽象能力が落ちてくると、例えばおまんじゅうがあるとします。おまんじゅうある?と聞かれたらあるよと答えられるのに、何か甘いものはある?と聞かれてもおまんじゅうは浮かびません。似たような例は多く、特定の物を言うとわかるのに、あいまいな表現になるとわかりにくく、目の前にあってもないとなります。着替えを出しておいてと言われたのに、着替えがわからず出せないという事も。また病院に行くといっても、病院が何をする場所かわからない為、行かないという場合もあります。

服のコーディネートが出来なくなる

判断力が低下すると、上手く服をコーディネート出来なくなります。ちぐはぐな格好になったり、その季節にあった服が着られなくなります。お洒落な人がちぐはぐな服を着出して、おかしいと気付く事もあります。また認知症が進むと、夏の暑い時に冬服を着ていたり、何枚も重ね着をして十二単のようになっているようなことも。その為熱が籠って発熱してしたり、脱水になったりもするため注意が必要です。

万引きをしたり事故に遭う危険

お金を払わず物を取ってしまい、警察から連絡が来て家族が驚くケースもあります。でも盗もうとしている訳ではなく、お金を払わない事が悪い事であるという判断が出来ない為です。また道路への飛び出しや、道路の真ん中を通ったり、信号を無視するようになり、近くに線路や高速道路の出入り口がある場合は、中に入ってしまう場合もあり、事故に遭う危険が非常に大きく注意が必要になります。

>>特に万引きなどが発生しやすい前頭側頭型認知症(FTD)ケアのポイントはこちら


抽象能力、判断力の障害への対応と対策

あいまいな表現は止めて具体的に

認知症の方には、あいまいな言葉は混乱するだけなので使わない事です。なるべく具体的にわかりやすく話しかけてください。病院も「お医者さんに診てもらう、薬をもらう」に言い換えてみてください。
また「ちょっと待ってて」などの「ちょっと」もわかりにくいようですので、介護者にとっては少しでも、長く待たせたと怒ったり、いなくなってしまう事がありますので気をつけてください。時計が読めるなら5分だけとか、この針が○○まで待っていてなどと言い換える方が良いです。ただし長い時間は難しいです。

悪い事であると理解出来ていないので怒らない

判断が出来なくなると、人に対して言って良い事悪い事もわかりにくくなり、暴言が見られる場合があります。介護者にはストレスになってしまうのですが、出来るだけ暴言が見られても、怒らないようにしてください。悪い事であるとわかっていないので、怒られても反省出来ません。その上怒られた事でネガティブな感情だけが残り、介護拒否などに繋がる場合もあります。

>>介護拒否が出てしまったら・・・対応のポイントをまとめました。


1人での外出、詐欺に注意

外出する場合は、目を離さないようにしましょう。身体が元気な為1人で出歩いてしまう方では、地域の方の協力も必要になります。認知症である事を、近所の人や民生委員などに連絡しておきましょう。もし迷子になった時の為に、名前や連絡先は服の裏地などにつけておく方が良いです。またおかしいという判断が出来ない事で、詐欺などの事件に巻き込まれる場合もありますので、家族の注意が必要です。

>>詐欺を防ぐためにも、成年後見人制度を利用しましょう。


おかしいと気付く事で早期発見に繋げましょう

まだ認知症だとわかっていない状態の時でも、判断がおかしいと思われる行動が見られる場合があります。ちぐはぐなコーディネートなどもそうですが、料理の味付けや、料理に使われる食材がおかしくなったりする事があります。調味料をどれだけ入れればいいか判断が出来なくなったり、料理に合った食材を選ぶ事が出来なくなっているからです。認知症は早期発見で、治療を開始した方が進行を遅らせたり、症状を緩和したり出来ると言われていますので、家族がおかしいと気付く事も大切です。

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出来ないと決めつけず、出来るようにサポートする

着替えが出せなくなったからもう頼めないのではなく、着替えもシャツやパンツ、靴下などと言い換えると理解しやすくなり、用意出来る場合もあります。料理もおかしな味付けをするからと止めさせるのではなく、これをこれだけなど、指示してもらえば出来る場合もあります。出来ないと何もさせないようにするのではなく、まだ出来る事があるとご本人が思えるように、サポートしてあげてください。出来る能力を使っていく事は、認知症の進行を遅らせる事に繋がります。


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