認知症による暴力・暴言の原因と対応

介護に暴力・暴言が出る原因は?

脳の機能低下で感情が抑えられない為

認知症全般に症状が進むと、暴力や暴言といった問題行動と呼ばれるものが現れる場合があります。誰でも怒る事はあります。でも少々嫌な事があっても、その感情を表に出さずに抑えられているはずです。認知症患者さんの場合、この抑えが利かなくなって、感情がすぐ表に出てしまいます。感情が敏感になっていて、今までの怒りのポイントとは、違った所になっており、ちょっとしたところで怒りのスイッチが入ってしまうのです。

それに色々な事が理解しにくくなっており、不安やいらだちが大きくなってもいます。何もわからない中で、怖いとか不安などの気持ちがある時に怒られたりすると、とっさに暴力が出てしまう場合があります。

認知症のタイプによっても違います

また認知症はアルツハイマーだけではありません。認知症のタイプで障害が起きている脳の部分は異なり、それが暴力や暴言になる場合もあります。頭の前と横の脳に委縮が出る前頭側頭型認知症では、今までは穏やかだったのに、人が変わったように怒りっぽくなったりします。またレビー小体型認知症では、幻覚などが見える為に、暴力になる事もあります。でもこれは認知症という病気のせいです。

>>アルツハイマー型認知症とは?

>>レビー小体型認知症とは?

>>前頭側頭型認知症とは?


暴力・暴言が出やすい介護とは

自尊心を傷つけたり、怖い、不安という感情を起こさせる介護

一概には言えませんが、家族からの言葉が暴言や暴力に繋がっていることが多いです。例えば物盗られ妄想などがみられた時に、「盗られてなどいない」と否定されると、そこで怒りのスイッチが入ります。最初はそれに対して怒るだけですが、その後家族の方がヒートアップして、「ボケている」「嘘つき」などと言ってしまうと、それが更に自尊心を傷つけ、暴言や暴力になったりするのです。

直接身体に触る介護でも、暴力となってしまう場合があります。椅子やベッドに移動する時など、声かけなどをしないで介護を行うと、いきなり自分の身体を触られた事で危険だという感情が先に出てしまい、とっさに暴力が出る場合があります。

また服を脱いでもらうという介護は、何かされるのではないか、また服を盗られるのではないかと思い、声かけをしていたとしても、暴力になったりします。ご本人にすると、怖いのです。


暴力・暴言が見られた時の対応について

認知症を理解し、対抗せず離れて様子を見ましょう

まず暴力や暴言が出る原因を理解してください。よく家族の方から「自分を困らせようとしている」と言われるのを聞きます。でも困らせようとしている訳ではなく、物盗られ妄想やレビー小体型で見られる幻覚は、ご本人にとっては嘘ではないのです。誰かに盗られたと、また誰かがそこにいると思っています。盗られて困っているとか、知らない人がいて怖いのに、嘘つきだと言われたら腹が立ちませんか?信じてもらえない、嘘つきだと言われるのは、認知症の方でも自尊心があり傷つくのです。

また認知症が進んで理解がしにくい状態では、全く言葉のわからない外国にいる状態と同じだと言われます。言葉も通じず何を言っているのかわからない。そんな時にいきなり自分を触りに来られたら怖いと感じませんか?こういう状況であるという事を、まず理解してください。

そして、暴言や暴力が見られたら、対抗しようとしないでまずさっと離れてください。それからしばらくは様子をみましょう。暴言や暴力が見られる程の興奮状態の中では、何を言っても余計に興奮させるだけです。


暴力・暴言の具体的な対処法

関わり方を考える

家族の方が関わり方を考える必要があります。自尊心を傷つけるような言葉を投げかけない。また、身体を触る介護をする場合は、まず「ベッドに移りましょう」「服を着替えましょう」などの声をかけてください。

時々男性の家族が、お母さんや奥さんなどの介護を行う時に暴力が見られると、つい力で抑えようとされる事があります。これは、介護に恐怖を与えるだけです。怖かったというイメージが出来てしまうと、次からもっと介護拒否となったり暴力になったりする場合がありますので、しないようにしてください。

介護者を変えてみる

暴力や暴言は、一番身近で良く接している介護者に出る場合が多く、家族であれば奥さんが暴力の対象になってしまいがちです。一番感情を出しやすい人になってしまっているのかもしれませんので、こんな時は、介護者を変わってもらったり、ヘルパーさんに来てもらったりする方がよいでしょう。

体調が悪くないかチェックする

また暴力が体調不良から来る場合もありますので、興奮が治まったら熱を測ったりしてみてください。時々、便秘でお腹が苦しくイライラとなり、暴力へ繋がったという話も聞きます。トイレの回数など、気にかけていない方も多いと思いますが、ある程度症状が進めば、体調管理は必要になります。

医師に相談する

前頭側頭型認知症やレビー小体性認知症は、全く予期せぬ暴力が見られる場合がありますので、暴力が酷くなるようであれば、医師に相談してお薬などを処方してもらう事も必要です。

>>前頭側頭型認知症とは?

>>レビー小体型認知症とは?


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