レビー小体型認知症とは|特徴・症状の改善策・有効な薬など

レビー小体型認知症は、認知症の20%を占める病気で、レビー小体という神経細胞に出来る特殊なたんぱく質の増加が原因となります。ここではレビー小体型認知症の症状、原因から対応方法について詳しく紹介します。


この記事の目次
  1. レビー小体型認知症とは
  2. レビー小体型の症状
  3. 幻視
  4. 妄想
  5. パーキンソン症状
  6. 抑うつ症状
  7. 認知機能の変動がある
  8. 自律神経症状
  9. 睡眠障害
  10. レビー小体型の方への対応
  11. 幻視を訴えている場合
  12. 妄想を訴える場合
  13. 転倒の予防・運動機能の向上

レビー小体型認知症とは

レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症で、約20%を占めています。アルツハイマー型が女性の発症率が高いのに比べ、レビー小体型は男性の方が多く、女性の約2倍と言われています。

レビー小体とは、神経細胞に出来る特殊なたんぱく質です。レビー小体型認知症では、レビー小体が脳の大脳皮質(人がものを考える時の中枢的な役割を持っている場所)や、脳幹(呼吸や血液の循環に携わる人が生きる上で重要な場所)にたくさん集まります。レビー小体がたくさん集まっている場所では、神経細胞が壊れて減少している為、神経を上手く伝えられなくなり、認知症の症状が起こります。

レビー小体は、パーキンソン病にも現れます。パーキンソン病は脳幹にレビー小体が集まるのに対して、レビー小体型は大脳皮質に集まります。

神経細胞とレビー小体のイメージ図


レビー小体型の症状

幻視

認知症というと、もの忘れが激しいというイメージを持っている人が多いかもしれません。しかし、レビー小体型の場合、初期の段階ではもの忘れよりも、幻視が見られる場合が多くなります。

レビー小体型の場合、脳の検査をすると、後頭葉に血流が少なくなっていることが分かります。後頭葉と視覚は関係が深いため、後頭葉に血液が流れなくなることで幻視を見るのではないかと考えられています。

例えば、「りす、虫や蛇などが部屋にいる」「知らない人がいる」「遠くにいるはずの子供が帰ってきている」などと訴え、かなりはっきりとした幻視を訴えます。幻視に向かって話しかけていることもあります。

幻覚、錯覚の原因と対応はこちら

妄想

妄想は被害妄想や誤認妄想が出現する場合があります。例えば、誰かにお金を盗られた、配偶者に恋人ができた、幻の同居人がいる、家族が偽者である、自分の家なのに自分の家ではないと感じる、テレビやメディアで報じられている内容が家で行われている、鏡に映った自分が別人と感じる、などがあります。

パーキンソン症状

先程、レビー小体はレビー小体型だけでなく、パーキンソン病に現れることを説明しました。そのため、パーキンソン病と似た症状があります。例えば、手が震える、動作が遅くなる、筋肉がこわばる、身体のバランスを取る事が難しくなり転倒しやすい、急に止まれない、などがあります。

抑うつ症状

初期の段階から抑うつ症状が見られる場合が多く、うつ病と間違えられる事もあります。また、何となく元気がない、食欲がないなどの訴えがみられます。

認知症による「うつ・抑うつ」の対応はこちら

認知機能の変動がある

日によって、時間帯によって調子の良い時と調子の悪い時の波があります。穏やかで、表情がはっきりしている時と、ボーっとしている時やずっと寝ている場合などの変動があります。

自律神経症状

自律神経の症状として、立ちくらみ、めまい、便秘、尿失禁、失神などが起こる場合があります。

睡眠障害

眠りの浅い時間帯(レム睡眠)に、睡眠時に大声を出したり、暴れたりします。隣で寝ている人が止めようとして、手がぶつかった、などがあります。わざとではないため、本人は気にしていませんが、家族が不審に思う場合もあります。「そういえば、夢を見ているのかと思った」と思い出して受診に行くと、レビー小体型認知症と診断される場合もありますので、受診・治療を受けましょう。

レビー小体型の方への対応

幻視を訴えている場合

幻視は、ご本人にとってはありありと見えている事実です。周りの人が「見えていない」といっても、信じてもらえないことへのマイナスの感情が大きくなり、馬鹿にされたと怒ったり暴力を振るったりする場合があります。

幻視が見えている時は、一緒にその場まで行き、「どちらですか。」「ここですね。」「びっくりされましたね。」「大丈夫ですよ。」と気持ちに寄り添うような言葉かけをしましょう。

妄想を訴える場合

妄想の場合、否定も肯定もせず、本人が話す内容をそのまま繰り返しましょう。否定をすると、幻覚と同様にマイナスの感情が大きくなります。肯定をすると、より妄想の世界に入り込んでしまいます。そのままの言葉を繰り返すようにしましょう。

転倒の予防・運動機能の向上

足の運びが悪く小刻みの歩行になるため、低い段差でも躓きやすくなます。抗パーキンソン病薬の服用を確実に行うことが重要です。一方で、治療薬による副作用が出現する場合があります。そのため、確実な定期受診が重要です。

また、気分の変動によって無理強いをすることはできませんが、日々の生活の中でリハビリを取り入れましょう。例えば、散歩に出かける、家事を行うなど今までの生活の中で得意だったこと、習慣だったことをできることを続けることが重要です。

▼ユッキー先生のレビー小体型認知症関連コラム
・レビー小体型認知症を理解しよう ・レビー小体型認知症のケア(1) ・レビー小体型認知症のケア(2)



参考文献:1)今井幸充.認知症を進ませない生活と介護.法研,平成27年,p38~39.


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