不眠・睡眠障害・昼夜逆転の対応

不眠・睡眠障害の症状と現れ方

全般的な症状

一般的に高齢になると若年者に比べて眠りが浅くなり、中途覚醒が増えるようになります。関節の痛みや、寝たきり高齢者の場合は褥瘡(床ずれ)の発生などで痛みがある場合、眠りが浅い事が原因で目が覚めてしまう事もあります。加えて認知症の方は、睡眠・覚醒・体内時計の調節に関わる神経伝達物質の量が変化する事で睡眠障害となる危険性が高いと言われています。

中途覚醒が多く、眠りが浅くなる事で、眠りの質が悪くなります。その分日中に不眠のしわ寄せが来て「日中傾眠・夜間覚醒」の「昼夜逆転」現象が起きるのです。日中の活動量を増やしたり、服薬で眠りをコントロールするなどの対応をしなければ本来休むべき夜に寝付かなくなるため、多くは介護者や家族の負担が非常に重くなります。

発言や振る舞いの変化

・夜中に「今から仕事に行く」「朝だから出かけなきゃ」と言って外出する準備をしようとする。
(実際に外に出てしまうこともある)
・夜中でもテレビやラジオを大きな音で、ずっと付けっぱなしにして過ごしている。
・日中眠ったりウトウトする時間が増える。
・夜中に空腹の訴えがある、逆に昼は傾眠で食事をとらないことがある。
・自分の部屋にいると孤独だと思い込み、大声で家族の名前を呼ぶ。
(何の用事もないのに、ただ家族の名前を呼ぶ…理由を聞かれても呼んだことすら覚えていないこともある)
・部屋を暗くすると不安・恐怖の訴えがある。


不眠・睡眠障害の原因

人の体内時計は脳の「視交叉上核(しこうさじょうかく)」という部分にあると言われ、血圧やホルモンの分泌、自律神経の調節機能を果たしています。この体内時計が体の各部に時間的な指令を出すことで日中は「活動」夜は「休息」というリズムを無意識のうちに作っています。

加齢とともにこの調節機能は徐々に失われてくるのですが、認知症になるとこの働きが更に悪化し、日常生活に悪影響を及ぼすことがあるのです。


不眠・睡眠障害のケアや対応の仕方

日光を浴びる(体内時計のリセット機能)

狂ってしまった体内時計を元に戻す方法として「日光(朝日)を浴びる」方法があります。朝日を浴びる事で体内時計は正常な位置まで時計の針が進む仕組みです。認知症高齢者の場合はこれに加えて日中の活動の中で日光を浴びる事で日中の覚醒水準を高め、夜寝る時には部屋を暗くする事で眠り易い環境を作ります。

但し、暗くする事で不安の訴えがあったり、夜間トイレへの移動が頻繁な高齢者の場合は転倒事故のリスクとなりますので、足元灯を使う等の臨機応変な対応が必要となります。

日中の活動量を増やす・1日の生活パターンを固定化する

夜間覚醒状態が続けば介護者にとっては負担が大きいものとなります。出来るだけ日中活動して、ほどよい疲れの中で夜は休むという1日の流れを作りたいものです。

方法としては、デイサービス等の介護保険サービスを使うのも1つの手段ですが、公的サービスであり費用の負担が発生します。ご家族の協力があれば「自宅の周辺の散歩」や、「庭の草むしり」をするのも立派な日中の活動となります。あくまでも1日の流れを作る事が目的ですので、無理なく出来る事を選びましょう。

>>介護保険の詳細と受けられるサービスについてはこちら


就寝前に入浴する・就寝前に体を温める

体温が上がり、体の表面から熱が放熱されることで体温が下がって人は眠りにつきやすくなります。普通に眠れる人々は、この体温調節が自然にできるのですが、高齢者や眠りの浅い人、眠りの質の悪い人は低体温であることが多いようです。
そこで、就寝前に入浴したり(足浴等でもOK)温かい飲み物を飲んだりして体を温めてから布団に入るようにすると効果的です。

ご本人の気持ちに寄り添う。介護者も無理をしない。

昼夜逆転や大声で介護者を呼ぶなど、御家族や介護をされる方の苦労は相当なものとなります。しかし、ご本人の言い分を否定したり、言い争いになっても解決はしません。更に周辺症状は悪化し、介護の手間や本人との関わりづらさも増してしまいます。

「(夜中なのに)今から仕事に行く」と言われるのは(夜中なのに)という部分が認知症の時間の見当識障害による「病気の部分」なのです。

むしろご本人がどうすれば穏やかに夜を過ごし、日中少しでも活動量を増やせるかを検討した方が良いと思われます。夜暗いのが怖いのであれば敢えて明かりをつけたままにしたり、一人で怖いと訴えがあれば同じ部屋で就寝したり、出かけると言われれば外の景色を見せて「明日の朝出かけよう」と声かけをする事も有効かと思われます。

また、介護者が負担を抱え過ぎないよう適度に休める環境づくりも重要です。ケアマネジャー等に相談し、短期入所(ショートステイ)や通所介護(デイサービス)等を有効活用し、出来るだけ介護者の方も無理なく体を休めるようにして下さい。


その他の注意点

1.アリセプトの利用について

アリセプトに対する知識のあるドクターであればこのような事はないのですが…恐らくアリセプトは午前中のうちに服用するよう指示が出ていると思われます。午後にこの薬を服用すると脳の活性化作用があるため、夜の寝付きが悪くなることがあります。

>>「アリセプト」ってどんな薬?

>>「アリセプト」についてはこちらで解説します。


2.薬の飲み合わせにより夜間頻尿を誘発する状態の方

特に浮腫軽減の薬で利尿効果が高くなる薬などを飲まれている方は服用の時間帯によっては夜間頻尿となる可能性があります。しかし、それが理由で日中傾眠・活動量の低下を招くようでは本末転倒です。主治医や薬を処方されている医師・薬剤師に御相談頂き、改善を図るようにされてみて下さい。

3.安易な睡眠薬投与は危険!

睡眠薬の効きすぎで起床時等にふらつきが酷く転倒する恐れがあります。主治医の指示に従ってください。まずは薬に頼らず日中の活動量を増やすことを心がけましょう。薬は最後の手段と考えてください。


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