認知症のリハビリに作業療法

料理や掃除などの日常生活における作業や、趣味・運動などさまざまな活動を通して認知症のリハビリテーションに当たることを「作業療法」と言います。ここではその方法などについて解説します。

作業療法とは

作業療法とは、文字通り、何らかの作業によるリハビリテーションです。内容は以下のように幅広く、包括的なリハビリと言えるでしょう。医療機関の作業療法士などがプログラムを組んで行うほか、家庭内でも取り組みやすいのが特徴です。

日常生活の流れの中で行うもの

料理、掃除、洗濯、整理整頓、買い物などの外出、食事、入浴、排せつ

集団で行うもの、または集団で行うことでより効果が増すもの

体操、映画の上映会、音楽鑑賞、編み物や陶芸、折り紙などの手工芸、塗り絵、書道、囲碁・将棋、ゲートボール、茶話会などにおける他者とのコミュニケーション

リアリティ・オリエンテーション(現実見当識訓練)

リアリティ・オリエンテーションを作業療法に組み込んでいる医療機関もあります。リアリティ・オリエンテーションとは、見当識障害を解消するための訓練です。現在が何月何日で季節はいつなのかなど、時間や今いる場所がわからなくなる障害を見当識障害と言います。

例えば施設では、朝と夕方に必ず、「今日の予定」「明日の予定」をボードに書き換えるようにするといった方法をとっているところもあります。場所や日時がわからなくなる不安が軽減されるとともに、他者の予定がわかることで会話のきっかけも生まれます。

作業療法の効果

これらの作業は「認知症の発症」と「発症後の進行抑制」の両方に効果があると言われています。脳に刺激を与えたり、達成感や喜びを感じたりすることで、うつや徘徊などの認知症の周辺症状の軽減も見込めます。

具体的には、体を動かすと脳の運動野という部位が活性化します。この運動野の広い部分が手先の動きに関わっているため、特に手先を動かすことは脳の広範囲を活性化させることに有効。上記で言えば料理や手工芸などが該当します。


また、自尊心を回復する上でも作業療法は効果が見込めます。その人に合ったものに取り組んでもらい、家族が感謝をすることで自分の存在意義を見出しやすくなります。例えば、料理をするのが苦手な人には、洗濯物を畳んでもらったり、掃除を頼んだり。家庭内での役割を担うことで、生活への意欲も高まるでしょう。

さらに複数人のグループでこれらの作業を行うことも有効です。自分の作業が他者から認められたり、担当した自分の役割を成し遂げたりすることで喜びを感じ、自尊心が高まります。

作業療法の留意点

施設などで作業療法を行う上では、当事者の生活パターンや好みなどを把握することでその人に合ったプログラムを勧めることができます。作業療法に臨まれる人の家族は事前に担当者に発症前の生活や発症後の変化、人となり、得意なこと、苦手なことなどを伝えるようにしておきましょう。


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