認知症のリハビリ療法とは?

認知症の治療方法の一つとして、リハビリテーションが挙げられます。ここでは、リハビリの効能や種類、効果的に行うためのポイントや注意点について説明します。

リハビリの効能

認知症の治療は、一般的に薬物療法とリハビリテーションを組み合わせて行います。

認知症では、脳の神経細胞が壊れることで記憶障害などの中核症状が出ますが、一度壊れた神経細胞は元には戻らないため、その細胞が担っていた機能を取り戻すことはできません。ですから、認知症の治療とは残っている機能を維持しながら病状の進行を遅らせ、日常生活に支障となっている症状を軽減することが主な目的となります。

一方で、中核症状に本人の性格や環境などが加わって起こる妄想や幻覚、徘徊などの周辺症状についてはリハビリで改善が見込めます。というのも、脳の神経細胞は全てが活動しているわけではなく、眠っているものもたくさんあるため、「見る」「聞く」「嗅ぐ」「味わう」「触れる」といった五感を使ったリハビリで脳に刺激を与えることにより、細胞を目覚めさせ、破壊された神経細胞の代わりとなって活動するようになる可能性があるからです。

効果的なリハビリのポイント

リハビリを効果的に行うポイントは、「体を動かす」「考える」「心の満足」の3つをできる限り同時に取り入れることです。考えながら適度な運動を行うことで脳に刺激を与え、他者からの感謝などを通して心の満足が得られる、といったイメージです。

例えば料理。料理はお湯を沸かしながら野菜を切るなど、段取りを考えながら複数の作業を同時に行うことが多く、脳の活性化が期待されます。料理以外にも、掃除、洗濯などの家事ができるようになると、家族から認められ、自分が必要とされている気持ちを持ちやすく、心の満足も得られやすいです。


家事以外にも、大工だった人には木工を、農家だった人には野菜の栽培を任せるといったように、その人の過去の仕事や趣味などを生かすことも効果的です。仕事や趣味で繰り返してきた動作は認知症になっても覚えていることが多いため、失敗が少なく、その人の能力を発揮させられます。複雑な動作が難しい場合は、階段の上り下りや掃除など、できることから始めると良いでしょう。

目標を立てるときには「着替えができるようになる」「畑仕事を再開する」など、その人に合った具体的な内容にすると、達成したときの満足感が高まります。病状が進行して寝たきりの状態にある場合は、まずは座った生活を目標にすると良いでしょう。座ることで心肺機能や体のバランスを取る機能が高まり、座った状態を継続することで体力もつきます。

リハビリを行う上での注意点

注意点としては、無理強いしてストレスを与えないこと、家族や介護者が常に本人を尊重する気持ちを持つことが大切です。認知症の人は記憶をなくして介護生活を余儀なくされていますが、子どもではありません。

子ども扱いをするなどしてプライドを傷つけないようにしましょう。また、なるべく本人のやりたいことを優先させ、嫌がるようであれば、別のリハビリを検討してみてください。

リハビリの種類

音楽療法

音楽によるリラックス効果で症状の改善をめざします。音楽を聴く「受動的音楽療法」と自ら歌ったり、楽器を演奏したりする「能動的音楽療法」があり、どちらの療法も気分が落ち着きやすいクラシックや本人が過去に親しんだ歌謡曲や演歌、童謡などを採用します。

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回想法

楽しかった記憶を引き出して心の安定を図るリハビリです。新しいことは忘れてしまう一方、昔のことは覚えていることが多い認知症の特徴を踏まえたもので、過去によく使っていた生活品やおもちゃなどを手に取ってもらい、当時の体験を思い出して話してもらいます。

アニマルセラピー

動物と触れ合うことで症状の改善をめざすリハビリです。動物の愛らしさに癒されたり、「世話をしてあげたい」と優しい気持ちが生まれたりすることで、落ち着きや主体性を取り戻す効果が期待できます。

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美術療法

絵画や折り紙、粘土細工などを作るリハビリです。絵を描く対象に触れたり、食べ物であれば実際に食べたりして、五感を使うことで脳の活性化を図ります。

作業療法

料理や掃除などの家事、買い物のときに軽い荷物を持つなど家庭内の役割に伴う作業を行います。手工芸や工作なども含まれます。

その他

他にも、園芸療法やアロマ療法、リアリティ・オリエンテーション、レクレーションなどが挙げられます。特に昼夜が逆転しているなど不規則な生活を送っている人には散歩やラジオ体操、ストレッチなどの軽い運動をしてもらうことで夜に眠れるようになり、徘徊や抑うつ、夜間せん妄などの改善が期待できます。

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(画像はイメージ)


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