介護施設・高齢者向け施設の種類とその特徴

家族が認知症になり介護が必要になった場合、進行を遅らせたり、家族の介護負担を軽減するために、介護施設の利用を選択肢に入れる場合があります。

介護の必要な高齢者が利用できる施設は、主に介護保険施設と民間の施設に分かれます。このページでは認知症の方が利用できる施設を紹介します。

この記事の目次
  1. 介護保険施設とは
  2. 特別養護老人ホーム(特養、介護老人福祉施設)
  3. 介護老人保健施設(老健)
  4. その他民間施設など
  5. 通所型施設
  6. 入居型施設
  7. 宿泊できる施設
  8. 訪問・通い・宿泊を組み合わせ利用できる施設
  9. 適度な施設利用で、介護疲れを軽減しましょう

介護保険施設とは

介護保険サービスで入所できる以下の3つの施設を「介護保険施設」と言います。65歳以上、又は40歳以上で特定疾患があり、一定の要介護認定を受けた方が対象となります。公的な施設なので、入所のための一時金は必要ありません。月々の負担額は所得や地域差により異なります。入所希望者が多いため、空き状況についてはケアマネージャーに相談しましょう

特別養護老人ホーム(特養、介護老人福祉施設)

介護度3以上の常に介護を必要とする方が入所する施設です。部屋のタイプは大部屋の従来型に加え、最近では個室と共有スペースのあるユニット型が増えています。

日常生活を送るのに必要な介護や、体の機能を維持するためのリハビリテーションを受けながら、終の住居として余生を送ることができる場所です。

●料金や利用の条件
月々の費用は5~15万円程度で、要介護3以上であることが基本条件です。
認知症の方は、要介護1~2であっても「認知症であることにより、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態」なら、入所の対象となる場合もあります。

介護老人保健施設(老健)

病院から自宅へ戻るための自立を目的とした施設で、入所できる期間は3か月から1年程度です。必要な医療を受けながら、在宅で療養生活が送れるように、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションや、看護師や介護士による日常生活の支援を受けられます。

部屋のタイプは、個室やユニット型個室もありますが、割合としては大部屋が多くなります。

●料金や利用の条件
月額は部屋のタイプにより異なりますが、6~16万円程度で、要介護1以上の方が入所の対象です。施設によっては、感染症のないことや長期入院を必要とする病気のないことなどが条件となる場合もあります。

その他民間施設など

通所型施設

自宅から通い、日常の生活支援や機能訓練などのサービスを受けられる施設です。高齢者が日中自宅で孤立することなく、社会と交流しながら規則正しい生活を送ることができるとともに、家族の介護負担を軽減します。

認知症対応型通所介護

認知症の方専用のデイサービスです。食事・入浴・排泄・機能訓練・健康チェックなどのサービスが受けられます。通常のデイサービスでも認知症の方を受け入れているところがありますが、認知症対応型通所介護は地域密着型サービス、少人数で認知症に特化した手厚いケアを受けられるのが特徴です。

●料金や利用の条件

利用料金は施設のタイプや、介護度、利用時間により異なり、既定の利用料の他、食事代、おやつ代、入浴サービスを受ける場合には入浴料金などが加算されます。医師による認知症の診断を受けた、要支援1以上の方が対象となります。

重症認知症デイケア(認知症デイケア)

認知症の方が通所する精神科医療のリハビリテーション施設で、精神科の病院や診療所に併設されている場合が多くなります。施設で介護を受けながら過ごし、精神科医師や理学療法士、作業療法士、看護師、精神保健福祉士などの専門職によって認知症のためのリハビリプログラムが行われます。

●料金や利用の条件

利用料金については、介護保険だけではなく医療保険との併用ができるのが特徴です。既定の利用料の他、おやつ代、入浴サービスを受ける場合には入浴料金などが加算されます。利用するには、通所先の精神科の医師による診察を受ける必要があります。

入居型施設

民間の入所施設は入所時に一時金が必要なことが多く、月々の費用も介護保険施設と比較すると割高になりますが、必要時は比較的早く利用ができます。特養の待機期間中、一時的に利用する方もいますが、施設によっては独自のサービスなどもあるため、民間の施設を選ぶ方も多いです。

有料老人ホーム

有料老人ホームは、「介護付」「住宅型」「健康型」の3つに分かれますが、認知症の方が入所できるのは「介護付き有料老人ホーム」と一部の「住宅型老人ホーム」です。

食事や掃除に加え、介護付き有料老人ホームでは「特定施設入居者生活介護」として、24時間介護サービスを受けることができます。住宅型老人ホームでは、必要時は個々に在宅介護サービスの手続きをします。

部屋のタイプは、8畳以上の個室が中心ですが、介護付き有料老人ホームでは認知症フロアを設置しユニットケアを行っているところもあります。 季節のイベント、カラオケなどのサークル活動もあり、自宅のように生活できるよう様々な工夫がされています。

●料金や利用の条件

入居一時金(前払い金)として数十万~数千万が必要なことが多く、月額は10~30万円程度です。入居一時金を必要としない施設は、その分月額が割高になります。概ね65歳以上の方が対象ですが、特に介護認定を条件としていない施設が多いです。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

認知症の方が、5人~9人ほどのグループで、共同生活を送る施設です。認知症の知識を持つスタッフが常駐しており、入所者の能力に合わせて、炊事・掃除・洗濯などの仕事を分担し、皆で協力しながら生活します。

部屋のタイプは個室と共有スペースのあるユニット型で、地域密着型なので、慣れ親しんだ土地に住み続けることができます。家庭的な雰囲気の中で、役割を持って生き生きと過ごすことや、機能訓練、レクリエーションなどにより、認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。

看取りを行う施設もありますが、医療行為は基本的に行われない場合が多くなります。

●料金や利用条件
入居一時金として約数10万円が必要なことが多く、月額は12~18万円程度です。
介護認定によりにより要介護1(一部は要支援2)以上で、認知症の診断を受けた方が対象です。地域密着型サービスなので、その地域に住民票があることも条件です。

サービス付き高齢者住宅(サ高住)

介護施設ではありませんが、比較的自立度が高い方が入居する、バリアフリーの賃貸住宅です。安否確認や生活相談の見守りサービス、必要に応じて食事や掃除・洗濯などの家事代行が受けられます。

介護が必要な場合は個々に通所介護や訪問介護などの手続きをする必要があります。介護度が高くなった場合や認知症が進行した場合などは、他の施設へ入所する必要性が出てくることも多いようです。

●料金や利用の条件

料金は、敷金が0~数100万円、月額は5~25万円程度です。
60歳以上又は、40歳以上で要支援以上の認定を受けていることが条件となります。同居者(親族・事実婚を含む配偶者)に関しても同様の条件となります。

宿泊できる施設

ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)

最長30日まで介護保険で宿泊できる介護サービスです。介護者の体調不良や急用時の他、リフレッシュのために利用することができます。個室や大部屋があり、日常生活の介護や機能訓練などが受けられます。特養や有料老人ホーム、老健や介護療養型医療施設、そのほか民間のデイサービスに併設されている場合もあります。 予約が必要なため、日頃から利用可能な施設を調べたりケアマネージャーに相談し、いざというときに利用できるようにしておきましょう。

●料金や利用の条件
料金は施設により異なり、65歳以上又は、40歳以上で特定疾患を持つ要介護1以上の方が利用できます。

訪問・通い・宿泊を組み合わせ利用できる施設

小規模多機能型居宅介護

必要に応じて「通い」「訪問」「宿泊」を組み合わせられる地域密着型の介護サービスです。すべてのサービスが同じ事業所の馴染みのスタッフによって行われるため、環境の変化が苦手な認知症の方も比較的安心して利用ができます。

●料金や利用の条件
料金は要介護度や利用方法、事業所によって異なります。
65歳以上又は、40歳以上で特定疾患を持つ要介護1以上の方が利用できます。また地域密着型サービスのため、基本的にその地域の住民の方に限られます。

適度な施設利用で、介護疲れを軽減しましょう

認知症の方は環境の変化に弱く、新しいサービスの利用や施設入所となると、家族としても心配は尽きないことでしょう。しかし認知症の在宅介護は、身体の疲れだけでなく心の辛さも大きく、他人には計り知れないものです。

最近では、需要に合わせて様々なサービスがあり、認知症のためのサービスも増えてきています。介護負担が大きくなり過ぎないよう、認知症のご家族と良い関係を保てるよう、上手に施設を利用しましょう。


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