認知症予防に効果的な歩数

ウォーキングなどの有酸素運動が認知症の予防に効果的だと考えられていますが、では、一体どれくらい歩くのが一番良いのでしょうか。

ある調査により、その歩数の目安が速歩きで1日5000歩だとわかりました。ここでは、調査の内容と結果、認知症の予防に効果的なウォーキングの方法について説明します。

「中之条研究(奇跡の研究)」で解明

歩行能力が低下しない筋肉量を維持するためには、中強度の運動が必要だと言われていますが、この中強度の運動が病気の予防にも効果があることが、東京都健康長寿医療センター研究所老化制御研究チーム副部長兼運動科学研究室長の青柳幸利氏が中心になり行っている研究で明らかになりました。

群馬県中之条町に住む65歳以上の高齢者を対象に2000年から継続調査されている通称「中之条研究(奇跡の研究)」です。

中之条研究では、500人に小型の身体活動計を身につけてもらい、1日の歩数と速歩きの時間(中強度の活動時間)を調べました。中強度とは運動の強さのことで、消費カロリーを意味する「METs(メッツ)」で示されます。

何もしていない安静時の消費カロリーが1METsで、1~2METsが低強度、3~5METsが中強度、6METs以上が高強度になります。中強度の3METsの中の一番軽い運動に当たるのが速歩きです。


研究の結果、1日の歩数と中強度の活動時間が増すほどにさまざまな病気にかかる割合が低くなることがわかりました。青柳氏は、うつ病が「4000歩/5分(中強度の運動時間)」、骨粗しょう症やがんが「7000歩/15分(中強度の運動時間)」といったように、医療費全体の3分の2を占める11の病気や病態について予防効果が高い運動量の基準をまとめました。

運動のし過ぎは逆効果

それによると、11すべての病気や病態に効果が確認された「8000歩/20分(中強度の運動時間)」が健康に最も適した活動量で、認知症については「5000歩/7.5分(中強度の運動時間)」でした。

また「7000歩/15分(中強度の運動時間)」のグループはバランスの良い食事をとっている人が多かったこともわかりました。これは、活動量を増やすことが健康への意識を高め、食生活などの生活習慣の改善にもつながるためだと考えられます。

一方で、運動のし過ぎは有効ではないことも明らかになりました。「12000歩/40分(中強度の運動時間)」が病気の予防効果の頭打ちで、この条件と「8000歩/20分(中強度の運動時間)」との差はわずかでした。負荷の大きい活動を行うと、細胞内で活性酸素が発生して遺伝子を傷つけ、その修復が間に合わないと認知症になるリスクが高まると言われています。

速歩きのコツ

速歩きは、「大股で速く、力強く歩く」ことを意識するのが大切です。中之条研究では歩行が中強度であるかどうかを知らせ、中強度の活動時間も表示される市販されている商品を使用しています。

持っていない場合は、「会話はできるけれど歌は歌えない」程度の歩行が目安です。運動強度は年齢や体力で異なるため、高齢の人よりも体力のある40~50歳代では4~5METsを指標にするのが良いです。

女性の場合は速歩きのほか、日光が当たる時間帯に歩く方が健康的です。女性は閉経後に女性ホルモンが減り骨がもろくなりますが、日光が骨の形成に必要なビタミンDをつくってくれるからです。

手のわずかな部分でも日が当たるとビタミンDがつくられるので、紫外線が気になる人は手の甲などが日に当たるように意識して歩きましょう。

ウォーキングを習慣づけるためには、用事や日頃の楽しみなど、既に生活の一部となっていることに歩行を加えると効果的です。「1日5000歩/7.5分(中強度の運動時間)」。これを頭に入れ、習慣的な速歩きに挑戦してみてはいかがでしょうか。

(表は健康長寿医療センターの研究NEWSより引用)



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