2017/04/21

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これこそ未来ツール!診断・管理をサポートするウェアラブル汗センサー

糖尿病のような生活習慣病や慢性疾患は、日頃からその状況を測定・チェックし、適切な病態管理と診断、治療計画および実践につなげていくことが大切です。そのため、さまざまなモニタリングシステムやセンサーデバイスが開発されていますが、現状では糖尿病の場合、ごく微量ながら穿刺して血液を採取するといったことが必要なものの利用ケースが一般的です。

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高感度な汗センサーが非侵襲的に個人の健康状態を継続的にモニタリング!

しかし、こうした手間とストレスのかかりがちな方法は、過去のものとなっていくかもしれません。高感度な汗センサーを搭載したウェアラブルタイプのデバイスで、採血などを行うこともなく、非侵襲的に糖尿病等の疾患状態を診断・治療改善につなげていけることを示した研究論文が発表されました。

研究・開発を行ったのは、Ronald W. Davis氏、Sam Emaminejad氏らのグループで、成果をまとめた論文は「Proceeding of the National Academy of Sciences of the United States of America(米国科学アカデミー紀要・PNAS)」に4月17日付で掲載されています。

これまでにもすでに、個人の健康状態をみる上で、豊富な情報源を有し、かつ患者に負担のない非侵襲的な方法が実現できるものとして、汗を対象としたセンサーデバイスの開発は有望視されており、実際に開発もされていますが、これまでの汗センサーは採取の際、30分といったまとまった時間、じっとしていなければならなかったり、正確な検出のためかなりの汗の量を必要としていたりと、まだ使いにくい、課題の多いものとなっていました。

しかし、今回研究グループらが開発したデバイスは、これらの課題を解消するもので、日常生活における身体活動が妨げられることもなく、自然に刺激して採取したごく微量の汗から、高感度にデータを収集・分析して治療に活かすことを可能としています。

ストレスフリーな個別化医療の実現に期待

開発されたデバイスは、ごく小型で皮膚に貼り付くウェアラブル仕様となっており、イオン導入法を採用、微弱電流を活かして汗腺へ刺激を与え、汗の分泌を誘発、採取して測定分析するものとなっています。

電極が腐食したり、利用患者に不快感を与えたりすることがないよう、また十分な正確性が担保される汗を抽出できるよう、工夫したインターフェイスを実現させている点がポイントで、自由に曲げられる柔軟性をもった、電気化学的に強化されきわめて高感度となっているセンサーとマイクロプロセッサで構成されているといい、人間の汗から、リアルタイムの分析に必要とされる、さまざまな種類の分子やイオンを検出・測定することができるそうです。

研究グループでは、この開発デバイスの臨床的な有用性を検証するため、嚢胞性線維症の診断に欠かせない特定の電解質含量と糖尿病の管理で重要な血糖値に着目し、血液と汗の相関性を確認するヒト対象の試験を実施しました。

その結果、嚢胞性線維症の特徴である塩化物イオン濃度の上昇が、同症の患者の汗を分析した際、健常な対象被験者と比べて有意に高いことが確認されました。また、空腹時の経口グルコース消費により、汗と血液の両方で血糖値が上昇することも確認され、このデバイスを用いて継続的な健康状態チェックを行っていくことが可能であることが強く示唆されたとされています。

検出された結果は、センサーからデジタル送信される仕組みになっているということですから、近い将来のストレスフリーに行われるリアルタイムかつ正確な病態診断、それに基づく適切な個別化医療の実現に寄与するデバイスとなることが期待されるでしょう。今後のさらなる研究開発と、早期の実用化が望まれます。

外部リンク

PNAS : Autonomous sweat extraction and analysis applied to cystic fibrosis and glucose monitoring using a fully integrated wearable platform