2017/04/18
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体重と糖尿病や心血管系疾患リスクの関連性には人種差
一般に過体重や肥満がみられると、2型糖尿病を発症しやすくなるほか、心血管系疾患のリスクも増すことが知られています。しかし、体重との関係性は単純なものではなく、ガイドラインで適正とされる範囲内の体重でもリスク増が認められるなど、人種・民族によって違いがあることが最新の研究で報告されました。
南アジア系やヒスパニック系ではリスクが高め
この研究は、Unjali P. Gujral氏らのグループによってなされた、2つのコホート研究を対象とする横断分析・比較研究で、その成果をまとめた論文は「Annals of Internal Medicine」オンライン版に4月4日付で掲載されています。
対象となったのは、アテローム性動脈硬化症についての多民族コホート研究であるMESA試験のデータと、米国における南米居住者のアテローム性動脈硬化症に関する研究のMASALA試験データで、45~84歳の5人種、7,617人のデータです。このうち2,622人が白人で、中国系アメリカ人は803人、アフリカ系アメリカ人が1,893人、ヒスパニック系が1,496人、南アジア系が803人でした。
BMI指数で適正体重の範囲内にあるとされる人を抽出し、空腹時血糖の高さや高密度リポ蛋白コレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)、血圧などのデータから心血管代謝異常が発現しているかを推定、さらに対数二項モデルを用いた相関評価も行って、人種間でのリスク差の検討を行っています。
個々に応じた適正体重を見出すことが重要
その結果、適正体重であったのは白人で846人、中国人で323人、アフリカ系で334人、ヒスパニック系で252人、南アジア系で195人であり、適正体重でありながらも心血管代謝異常があると認められたのは、白人で21.0%、中国系では32.2%、アフリカ系で31.1%、ヒスパニック系で38.5%、南アジア系が43.6%となりました。
白人に比べ、とくにヒスパニック系や南アジア系で、異常が多く認められています。人口統計的、地理的条件、異所性脂肪などを考慮した調整を行っても、人種・民族間における差が消失することはなく、これらの点からは説明不可能であったことも報告されました。
また、年齢や性別、人種とBMI値の相互関係などを調整したデータ解析で、BMI値が25.0の白人男性と同程度の心血管代謝異常発現率をもつのは、アフリカ系の場合22.9、ヒスパニック系では21.5、中国系では20.9、南アジア系では19.6になっています。
これらの結果を受け、研究グループでは、白人に比べ他の人種・民族では、適正体重とされる範囲内でも心血管代謝異常が認められる率が有意に高く、同一のBMI指数基準を用いたスクリーニングでは、潜在的に高いリスクが見逃される可能性があると指摘しています。
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