2016/07/15

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糖尿病の三大合併症とは

糖尿病になることによって合併症を引き起こす場合があります。その中でも、「し・め・じ」と呼ばれる三大合併症について説明します。

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糖尿病の三大合併症「し・め・じ」とは

糖尿病の合併症の中で、「し・め・じ」と呼ばれる三大合併症があります。

し→神経症(糖尿病神経障害)
め→眼症(糖尿病網膜症)
じ→腎症(糖尿病腎症)

三大合併症が出現する順番は、この「し→め→じ」の順番で出てくると言われています。

最初に出現する「し」(糖尿病神経障害)

最初に出現するのは、「し」の糖尿病神経障害です。

糖尿病神経障害とは、高血糖の状態が続くと、インスリンが効果的に働かず、ブドウ糖が利用されずに別の物質となり神経に溜まります。そして、神経の周りの血管が障害されることで、血流が低下し、神経の働きも障害されます。

神経障害には、2種類あります。手足の感覚や動きをつかさどる「末梢神経障害」と、胃腸や心臓の動きを調節する「自律神経障害」です。

末梢神経障害の症状として、足の感覚が鈍くなる、足がしびれる、けがをしても気づかないなどがみられます。自律神経障害の症状として、便秘・下痢、汗をかきにくい、立ちくらみ、胃もたれ、勃起障害などがみられます。

次に出現する「め」(糖尿病網膜症)

次に出現するのが、「め」の糖尿病網膜症です。

網膜は、眼の中にある薄い神経の膜で、光や色を感じる神経細胞があり、細かい血管が張り巡らされています。高血糖の状態が続くと、網膜の細い血管は傷ついたり、変形したり、詰まったりするため、網膜のすみずみまで酸素が行き渡らなくなります。網膜が酸素不足の状態になると、新しい血管を生やして酸素不足を補おうとします。しかし、新しい血管はもろいため、簡単に出血してしまいます。

その結果、初期の段階では自覚症状はありませんが、徐々に進行すると、出血、視力低下、飛蚊症、網膜剥離、失明などが起こります。糖尿病網膜症は、失明する原因の上位と言われています。

最後に出現する「じ」(糖尿病腎症)

最後に出現するのが、「じ」の糖尿病腎症です。

糖尿病腎症は、腎臓の主な働きである血液をろ過して、老廃物を尿として排せつする働きが効果的に行えなくなります。

腎臓には、ろ過する役割の糸球体という細い血管の塊があります。高血糖の状態が続くと、動脈硬化が起こり、糸球体も血管が破れたり、詰まったりすることで、老廃物をろ過することができなくなります。そのため、たんぱくが尿に漏れ出します。

初期の場合は、自覚症状はみられませんが、徐々に進行すると、尿中にたんぱくが出てきて、腎臓の機能が低下する、血圧が高くなる、むくみがみられる、老廃物が排せつされないために体内に老廃物が溜まる、などが起こります。最終的には、腎臓が機能しなくなるため、人工透析を行うことになります。

まとめ

慢性合併症の「し・め・じ」ですが、どの合併症にも共通することは、糖尿病治療の血糖コントロールを確実に行うこと、眼科受診を定期的に行うこと、症状がみられなくても予防として検査を受け、早期発見に努めることが大切です。

参考文献:
1)日本糖尿病学会.患者さんとその家族のための糖尿病治療の手びき2017.改訂第57版,日本糖尿病協会・南江堂,2017,p.24-29.
2)日本糖尿病学会.糖尿病治療ガイド2018-2019.文光堂,2018,p82-91.
3)日本眼科学会.糖尿病網膜症.日本眼科学会.