2016/11/01

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陽性なら糖尿病Ⅰ型の可能性が。抗GAD(グルタミン酸脱炭素酵素)抗体検査とは?

糖尿病の検査は複数の数値を総合的に判断しますが、その中でも糖尿病1型か2型かを診断する基準となるのが抗GAD抗体です。今回は、抗GAD抗体検査から分かる事をご説明します。

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抗GAD抗体は糖尿病とどのような関係がある?

私たちの身体には、ウイルスや細菌などが体内に侵入した時に異物と見なして攻撃したり排除したりする自己免疫システムが備わっています。この異物を「抗原」と呼び、抗原に対応するタンパクとして「抗体」が体から作られます。抗体は病気の元となる異物に対応し、身体を健康に保つ働きをしていますが、何らかの原因で抗体が自分自身の身体や分泌される物質を誤って異物と見なしてしまうことがあります。この現象は様々な物質に対して起こりますが、グルタミン酸脱炭素酵素(GAD)と呼ばれる酵素に対して反応する抗体が「抗GAD抗体」です。

GADは膵臓のインスリン合成やホルモン分泌に関係しているGABAと呼ばれるγ-アミノ酪酸を合成する酵素です。抗GAD抗体はこのGADを異物と見なし、攻撃し排除しようと大量に作られます。すると、インスリンを作る膵臓の働きが妨げられ、血糖値が上手くコントロールできなくなります。その結果、糖尿病の典型的な症状が起こりえます。このように、抗GAD抗体は糖尿病の発症と密接に関係しています。

抗GAD抗体が陽性なら糖尿病Ⅰ型の可能性が

抗GAD抗体は、血液検査で陽性または陰性の判断が出ます。抗GAD抗体が陽性の場合は糖尿病1型と診断されるケースが多く、糖尿病1型か2型を調べる検査として広く知られています。糖尿病1型とは、主に自己免疫の異常でインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されてしまい、インスリンを作る事が出来なくなる病気です。中高年に多く見られる生活習慣病として知られる糖尿病は2型が多く、1型は小児や若年層に発症しやすい特徴があります。

抗GAD抗体検査で陽性反応が現れるのは、発症後1年未満の1型糖尿病患者に特に多いといわれています。そのため、以下の3つの条件に当てはまる場合は抗GAD抗体検査が実施されます。

1. 1型糖尿病と2型糖尿病の区別が付かない場合
2. 2型糖尿病で血糖コントロールが急に悪化した場合
3. 2型糖尿病で他の自己免疫疾患を合併した場合

糖尿病1型か2型かを見極める場合は抗GAD抗体検査だけでは判断できないため、抗インスリン抗体や抗IA-2抗体など複数の検査を行い総合的に診断されます。

異変に気付いたら早めに内科や糖尿病内科を

抗GAD抗体検査で陽性反応が出ると、多くのケースで糖尿病と診断されます。しかし、抗GAD抗体の陽性反応が出るのは糖尿病初期の可能性が高いため、早期に治療をすれば進行を遅らせたり症状を抑えることが十分可能です。糖尿病1型には以下の症状が現れるため、気になる場合は早めに病院を受診しましょう。

糖尿病1型の症状

<前駆症状>
・風邪に似た症状

<その後の症状>
・喉が渇く
・急激に痩せる

一般的に知られている2型糖尿病は太り気味タイプに多く発症しますが、1型は痩せている人に発症する特徴があります。食事や生活習慣に関係無く発症するため、注意が必要です。

まとめ

抗GAD抗体は糖尿病1型か2型かを見極める、重要な判断材料です。検査で抗GAD抗体に陽性反応が出たら糖尿病1型である可能性が高いため、早期に治療を受ける必要があります。しかし、1型は一般的に知られる糖尿病2型と違い生活習慣の影響を受けず、痩せ型の小児や若年層に多く発症するため気付きにくく注意が必要です。1型の自覚症状は風邪に似ているため自己判断が難しいですが、短期間で急激に悪化する特徴があります。異変に気付いたら早めに内科や糖尿病内科を受診しましょう。