2016/09/14

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糖尿病になると肺炎や膀胱炎などの感染症になりやすい

糖尿病は、合併症を引き起こしやすい病気です。合併症の一つとして、感染症があります。なぜ糖尿病患者は感染症が起こりやすい状態になるのでしょうか。今回は糖尿病患者が感染症になりやすい原因と、注意点について解説します。

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感染症になりやすい糖尿病

免疫力が低下すると、感染しやすい状態になります。日本人の 糖尿病 患者の死因第2位が、感染症によるものです。感染症にかかった場合は重症化しやすいという特徴があり、回復に時間を要します。感染症にかかると糖尿病自体に悪影響を及ぼすため、注意が必要です。

なぜ感染症になりやすいのか?

なぜ糖尿病の人は感染症になりやすいのでしょうか。その主な理由は、以下の通りです。

(1)高血糖の状態が続く

糖質を食べると、腸で消化・分解され、ブドウ糖となります。ブドウ糖は小腸から血液中に吸収されます。その後、血液中のブドウ糖は、身体の細胞に取りこまれ、人間が活動するためのエネルギー源となります。血液中から細胞の中にブドウ糖が取り込まれるときに必要になるのが、インスリンです。
しかし、インスリンの分泌が不足したり、、インスリンそのものの効果が発揮できなくなったりすると、細胞内にブドウ糖を取り込みにくくなります。すると、細胞の中に取り込まれないブドウ糖が血液中に増えていきます。この状態のことを、「 高血糖 」といいます。

一方で、細胞内のブドウ糖が不足するため筋肉のタンパク質が分解され、ブドウ糖が作られます。

(2)白血球の機能の低下

高血糖 の状態が続くと、白血球の機能が低下します。特に、白血球の中でも細菌を食べる(貪食 どんしょく)好中球の働きが低下します。そのため、何からの感染源が身体に入ってきても好中球がうまく働かなくなり、抵抗力が低下します。その結果、感染しやすい状態になります。
好中球の働きが悪くなると共に体力が落ちてしまうため、抵抗力が低下して感染しやすい状態になります。

(3)血液が十分に流れなくなる

ブドウ糖の働きが悪くなるので、その代わりに脂肪をエネルギーの代わりに利用します。そのため、中性脂肪を分解して脂肪酸が増加する高脂血症や、血管がもろくなる動脈硬化になります。
このように血管がもろくなると、血液が十分に流れなくなります(血流障害)。血液の流れが悪くなるとと細胞の隅々まで酸素や栄養が行き渡らなくなり、組織がもろくなります。その結果、身体の回復が遅くなります。

(4)神経障害

高血糖 が続くと、神経細胞にある変性した糖質が溜まり、神経の働きが悪くなります。また、細かい血管の血液の流れが悪くなり、酸素が不足します。その結果、神経が感じにくなったり、麻痺が起こります。例えば、足などをぶつけても痛みを感じにくくなる末梢神経障害や、自律神経の乱れによって汗をかきにくい、胃もたれ、便秘、下痢、立ちくらみ、排尿がしにくくなる、勃起障害(※1)などが起こる自律神経障害が起こります。

シックデイになった場合は早めに受診を

糖尿病患者が日頃注意していても、病気にかかることがあります。その時、発熱・下痢・嘔吐・食欲不振などの症状によって血糖値が安定しない状態を「シックデイ」といいます。例えば、風邪やインフルエンザ、肺炎といった呼吸器の病気や、尿道炎、膀胱炎などの尿路系疾患、皮膚の感染症、急性胃腸炎、急性膵炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化器の病気などにかかると起こりやすいです。シックデイになると、病気によるストレスでインスリンが働きにくい状態になるため、高血糖が起こりやすくなります。
また一方で、食事が取れない状態でいつも通りに薬を飲んだり、注射を行うと、低血糖が起こりやすくなります。(※2)

シックデイになった場合は、自己判断せずにすぐにかかりつけの病院を受診しましょう。また、日頃から体調管理を行っていても、いつシックデイが起こるかわかりません。主治医とシックデイの対応の方法を相談しておくことで、いざと言うときに慌てずに対応できます。

出典:
1)日本糖尿病学会:患者さんとその家族のための治療の手びき2017改訂第57版,日本糖尿病学会・南江堂,p29,2017.
2)日本糖尿病学会:患者さんとその家族のための治療の手びき2017改訂第57版,日本糖尿病学会・南江堂,p96~98,2017.