2019/09/17

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大阪市立大学ら、夢の肥満ワクチン、糖尿病ワクチンの開発へ

大阪市立大学大学院医学研究科の植松智教授、藤本康介助教らの研究グループは、全身の粘膜において致死的な感染症だけでなく、疾患特異的な腸内細菌の制御へ応用できる新規粘膜ワクチンを開発しました(特許WO/2016/199904)。

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糖尿病の原因となる病原常在腸内細菌を制御

本研究では、生活習慣病の代表である肥満や糖尿病の原因となる病原常在腸内細菌を制御することで、発症を抑制できることが明らかになりました。「新規粘膜ワクチン」は、あらゆる粘膜で非常に高濃度の抗原特異的な免疫グロブリンA (IgA)を誘導する方法を開発、致死的な細菌感染の発症そのものの抑制を可能にします。

研究グループの藤本教授は次のようにコメントしています。 「全身の粘膜で自在に抗原特異的なIgAを誘導する方法を開発したことで、感染症だけでなく常在微生物に対しても効率的な免疫応答を誘導することが可能となりました。疾患特異的な腸内細菌を制御するための有用なツールとしての臨床応用が強く期待されます。」

新たな予防法・治療法の確立につながる大きな成果

近年では、腸内微生物のゲノム解析研究が進み、さまざまな疾患と腸内細菌叢の乱れとの関連性や、疾患の発症に直接的に関わる病原常在腸内細菌が次々と発見されており、粘膜ワクチンも多数開発されています。しかしながら、ワクチン接種により全身の粘膜で抗原特異的な免疫応答を自在に誘導できる方法はなく、疾患制御のために消化や恒常性の維持に関わる有益菌を殺さずに病原常在腸内細菌だけを特異的に排除することができませんでした。

植松教授らの研究グループが開発したワクチンは、接種後に感染防御が必要な粘膜面へ抗原を加えるだけで、非常に高濃度の抗原特異的な免疫グロブリンA(IgA)を誘導でき、それによりコレラ毒素による下痢の抑制、肺炎の最大の原因菌である肺炎球菌感染の制御、ならびにヒトの肥満や糖尿病の原因となる腸内常在細菌の制御が可能になることが明らかとなりました。

「新規粘膜ワクチン」の方法をヒトで実用化することにより、病原体の侵入門戸である粘膜において強力な粘膜免疫応答を誘導でき、「発症する前に抑制する」全く新しいコンセプトのワクチンの開発が期待されます。また、このワクチンの方法を疾患特異的な腸内細菌を標的として応用することで、これまで制御できなかった腸内細菌叢の乱れに関連するさまざまな難治性の疾患に対する新たな治療アプローチとして使える可能性が期待されます。

研究成果は2019年8月21日に国際科学雑誌『Gastroenterology』にオンライン掲載されました。

(画像はイメージです)

外部リンク

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