2017/10/12

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炭水化物の摂取過多は死亡リスクの上昇に

近年、“低糖質”や“ローカーボ”といった言葉も話題となり、糖質や炭水化物摂取に関する意識にも変化がみられていますが、その一方でこうした食生活の偏りや運動不足が大きく影響する糖尿病の患者数は増加の一途をたどっています。

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過剰摂取と死亡率を検証した珍しい研究

2型糖尿病を発症すると、さまざまな合併症リスク、疾患発症リスクが上昇し、とくに心血管系疾患の発現リスクが高まることが知られ、それによる死亡リスクも上昇するとされています。しかし、糖尿病発症につながりやすい炭水化物などの過剰摂取といった栄養素の過多と死亡率との関連性を、科学的に直接検討した研究データはまだ多くありません。

そこでMahshid Dehghan氏らの研究グループは、世界18カ国にわたる大規模研究調査により、脂肪や炭水化物の摂取量と疾患、死亡率との関連を調べる研究を行いました。その成果をまとめた論文は、「Lancet」に8月29日付で掲載されています。

研究グループでは、2003年1月1日~2013年3月31日にかけ、世界18カ国の35~70歳を登録対象とした大規模な前向きコホート研究である「PURE研究」を実施、中央値7.4年の調査期間で、アンケートを通じた食事摂取量・内容に関する135,335人分のデータを収集しました。

主要アウトカムは、死亡率および致命的な心血管系疾患、非致死性心筋梗塞、脳卒中、心不全といった主な心血管系イベントの発現とし、副次的項目として全心筋梗塞、脳卒中、心血管系疾患による死亡率および非心血管系疾患の死亡率を調べています。

栄養過剰の可能性が高い地域では炭水化物摂取量が多いと死亡リスクも上昇

被験者らは、炭水化物、脂肪、たんぱく質のそれぞれで、摂取したエネルギーのパーセンテージに基づいて5分位に分類され、それぞれの群の食物摂取・消費と死亡率や心血管系疾患の発現における関連性が検討されています。なおハザード比の算出においては、ランダムインターセプトをもつ多変数Coxフレイルティーモデルが用いられました。

調査期間中に、被験者のうち5,796人が死亡、4,784人で主要心血管系疾患の発現がみられています。分析の結果、炭水化物の摂取量が多い群ほど、死亡リスクも高いものとなっており、最も多い群と最も少ない群とでは、1.28倍のリスク差が認められました。一方で、心血管系疾患または非心血管系疾患の死亡リスクとの有意な関連性は確認されていません。

全タイプの脂肪および各タイプの脂肪の摂取量は、全死因による死亡リスクの低下と有意に関連していることも判明し、最多摂取群と最少摂取群の比較では、全タイプの総脂肪でハザード比が0.77、飽和脂肪酸で0.86、一価不飽和脂肪酸で0.81、多価不飽和脂肪酸では0.80となっていました。

また、飽和脂肪酸摂取量の増加は脳卒中の発現リスク低下と関連しており、最も多く摂取した群と少ない摂取の群では、ハザード比0.79の差がみられています。しかし全タイプの脂肪、飽和および不飽和脂肪酸の摂取量で、心筋梗塞または心血管系疾患による死亡のリスクとの有意な関連性は認められませんでした。

これらの結果から研究グループでは、今回利用可能となったデータのほとんどは、栄養過剰状態である可能性の高いヨーロッパおよび北アメリカの集団から収集されたものであるため、世界のそうした環境にない地域集団における適用性は不明であるとしたうえで、炭水化物の摂取量が多いことは、全死因による死亡率の高リスクと関連があると認められたほか、総脂肪および各タイプの脂肪量は死亡リスクの低下と関連していることが分かったとまとめています。

そして脂肪については、総脂肪および各タイプの脂肪と、心血管系疾患の発現、心筋梗塞または心血管系疾患による死亡率との関連は認められなかったものの、飽和脂肪酸は脳卒中の発現と逆相関の関係にあることが判明したとし、これらの知見に照らした食生活ガイドラインの再検討を推奨するとしました。

外部リンク

Lancet : Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE) : a prospective cohort study