成年後見制度を利用する

認知症になって理解力や判断力が低下すると、重要な決断や財産の管理などが難しくなっていきます。そんな場合にも本人の利益を守り、社会的にサポートする制度が成年後見制度です。このページでは成年後見制度について解説します。

この記事の目次
  1. 成年後見制度はどんなもの?
  2. 成年後見制度には2種類あります
  3. 転ばぬ先の杖「任意後見制度」
  4. 裁判所が後見人を選定する「法定後見制度」
  5. 成年後見人は何ができる?
  6. 身の回りの契約行為や諸手続き
  7. 財産の管理
  8. 後見人等には報酬が必要
  9. 親族後見人がいない場合は?
  10. 地域包括センターに問い合わせを
  11. 地域で見守る「市民後見人」の存在も

成年後見制度はどんなもの?

認知機能の低下に伴い、日常生活には様々な支障が出てきます。お金の管理ができずに家賃を払いそびれてしまったり、悪質な住宅リフォームを契約してしまったり、高齢者を狙った振込詐欺なども近年問題になっています。そんな時、認知症高齢者を守り、生活面・法律面でサポートするのが成年後見制度です。成年後見人が、本人に代わって契約や財産の管理などを行います。

例えば、介護保険を利用する際の契約や施設の入退所、財産管理などを本人に代わって行います。また、ひとり暮らしの高齢者が悪徳商法にだまされて高額な商品を買ってしまったような場合、契約を無効にすることもできます。

成年後見制度は、認知症などの症状で自分の行為の結果を判断できなくなっても、不利益を被ることがないよう支援する制度なのです。

成年後見制度には2種類あります

成年後見制度には、本人が将来に備えて、代理人(任意後見人)に代理権を与える「任意後見制度」と、家族などの申し立てにより適用される「法定後見制度」の2種類があります。

転ばぬ先の杖「任意後見制度」

いざという時のために、あらかじめ自分の信頼できる人を代理人に選ぶことができ、契約によって本人の意思に沿った支援を得られるのが任意後見制度です。

自分の判断力が低下した時に備えて、十分な判断力があるうちにあらかじめ自分で代理人(任意後見人)を選び、生活や財産管理などについての代理権を与える契約を事前に結ぶ制度です。契約には公証人の作成する公正証書が必要です。

実際に判断力が低下し、必要となった時に家庭裁判所に申し立てを行うと、裁判所は任意後見監督人を選任します。任意後見監督人の監督のもと、契約で決めておいた任意後見人による後見事務がスタートします。任意後見監督人は、任意後見人がきちんと仕事をしているかをチェックするのが役割です。契約が結ばれていても、任意後見監督人が選任されていなければ、契約書の効力は発生しません。

契約は、本人が亡くなるまで、または契約が解除されるまで有効です。(契約解除には家庭裁判所の許可が必要です)

任意後見人として指名できる人は?

特に資格は必要なく、基本的には誰でも選ぶことができます。親族や近親者が一般的ですが、信頼している友人なども可能です。自分の将来を預ける大切な役割ですので、よく考えて決めましょう。そして、いざという時にどのような支援をしてほしいかをきちんと伝え契約書を作成しましょう。

裁判所が後見人を選定する「法定後見制度」

本人に判断力の低下が見られる場合に、周囲の親族などが申し立てることで適用される制度です。

家庭裁判所が申し立ての内容を調査して後見人を選任しますので、申し立てを行った人や希望した人が必ずしもなれるわけではありません。弁護士、司法書士や福祉の専門家などの第三者、「専門職後見人」が選ばれる場合が多くなっています。希望に沿わなかった場合であっても、一度選任された後見人に対して不服申し立てはできません。

法定後見制度の種類

ひと口に「判断力の低下」といっても、それぞれ個人差があります。法定後見制度は3つの種類に分かれており、対象となる方の状況によって支援の範囲が異なります。この種別の判断も、医師の診断書や調査をもとに、家庭裁判所が決定します。

後見:理解・判断ができない方が対象
保佐:判断能力が著しく不十分な方が対象。「後見」対象の方よりはやや軽度な状態
補助:判断能力が不十分な方が対象。「後見」や「補佐」の対象の方よりも軽度な状態

成年後見人は何ができる?

判断力が低下した本人に代わって契約や管理を行うとことで、本人の利益を守るのが成年後見人の仕事です。自己意志尊重のため、日常生活に関わる買い物などは範囲に含まれませんが、利益を損なう詐欺などの契約については、成年後見人が解約することができます。

身の回りの契約行為や諸手続き

介護サービスの契約
施設への入所契約
介護保険の認定申請
医療費の支払い
入院手続き
郵便物の管理
確定申告
身体障害者手帳の交付請求手続き
など

財産の管理

住宅の確保や維持管理に関する契約締結、不動産の売買
医療契約の締結
年金受給
保険金請求
遺産分割協議の参加
不必要な契約の解除(悪質な売買契約を結んでしまった場合など)
など

後見人等には報酬が必要

親族が後見人になった場合には無償の場合も多いですが、後見人や監督人には報酬が発生します。任意後見人の場合は契約時に決めた金額、そして任意後見監督人には家庭裁判所が決めた金額、法定後見人の場合は裁判所が決めた金額をそれぞれ支払う必要があります。

報酬は本人の財産から支払われ、額は財産総額の規模によって決定される基本報酬と、どのような業務を行ったかで加算される不可報酬の合計になります。目安になりますが、本人の財産が1000〜5000万円の場合、月額3〜4万程度の見込みです。

親族後見人がいない場合は?

地域包括センターに問い合わせを

高齢者夫婦世帯や独居世帯が増えている中、近所に親族がいない場合も、専門職後見人を立てる法定後見制度の利用が可能です。最寄の地域包括支援センターや、市町村の担当課に問い合わせてみましょう。 本人の居住地の家庭裁判所に後見開始の審判等を申立てしなければなりませんが、4親等内の親族に申立人がいない場合は、市町村長が申立て人になります。

地域で見守る「市民後見人」の存在も

親族以外の地域の一般住民が後見人となる「市民後見人」は、地域における支え合いを担う人材です。専門職後見人と同じように裁判所が選任しますが、多くは無償で活動を行っています。養成研修等は各自治体によりますので、その人数も全国でまちまちですが、低所得の人でも成年後見制度を利用しやすい人材として、注目されています。

出典:法務省 成年後見制度
報酬額目安


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