シソなどに含まれる「ロスマリン酸」のアルツハイマー病予防効果を調べた研究

2019年7月9日

ベランダやお庭で植物を栽培されている方は多いと思います。中でも「ハーブ」は種類も豊富で比較的栽培しやすく、また用途も多いことから人気の植物です。ハーブの中には、私たちの体や心に働きかける成分を含むものがたくさんあります。

今回はハーブに含まれる「ロスマリン酸」のアルツハイマー病予防効果について調べた研究をご紹介します。

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認知症ねっと編集部
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この記事の目次
  1. ローズマリーやバジル、シソなどに含まれるロスマリン酸
  2. ロスマリン酸は間接的に働く
  3. 認知症予防効果のある食べ物の研究に期待

ローズマリーやバジル、シソなどに含まれるロスマリン酸

「ポリフェノール」は植物で作られる成分で、植物が外敵から身を守るために重要な役割をしていると考えられています。ポリフェノールにはたくさんの種類があり、例えば緑茶に含まれるカテキンもその一つです。抗酸化作用や抗炎症反応など、ポリフェノールは人にもさまざまな効能を示します。

金沢大学のチームは以前の研究で、「ロスマリン酸」というポリフェノールの一種に、認知症の予防効果があることを見出しました。ロスマリン酸はローズマリーやレモンバーム、バジルやシソなど、シソ科の植物に多く含まれる成分です。

アルツハイマー型認知症患者さんの脳には、アミロイドβというタンパク質の蓄積が多く見られます。以前の研究で、ロスマリン酸をアルツハイマー型認知症の症状を示すマウスに与えると、アミロイドβの蓄積が妨げられたことから、金沢大学や東京大学などの共同チームは、「ロスマリン酸」が体内で働く仕組みについて研究を行いました。

ロスマリン酸は間接的に働く

食べ物によって体内に取り込まれた成分が脳で作用するには、まず、その成分が脳に移動しなければなりません。しかし脳の入り口には、菌などが簡単に入らないように「脳関門」という仕組みが備わっています。研究チームが調べたところ、体内に取り込んだロスマリン酸は脳関門にさえぎられてしまうために、脳にはほとんど移動しないことがわかりました。

それでは、ロスマリン酸はどのような仕組みで、脳のアミロイドβの蓄積を妨げているのでしょうか? 研究チームはロスマリン酸のサプリメントを与えたマウスと与えなかったマウスを比較して、体内のどのような物質に影響が出るかを網羅的に調べました。

解析の結果、ロスマリン酸を服用したマウスの脳では、「モノアミン」と呼ばれる物質が増えることがわかりました。モノアミンとは、神経細胞同士が情報伝達を行うときに放出される物質の総称です。皆さんもよく耳にする「アドレナリン」や「ヒスタミン」も、モノアミンの仲間です。ロスマリン酸を摂取したマウスの脳では、ドーパミンなど4種類のモノアミンの濃度が上昇していました。さらに詳しく調べたところ、ドーパミンが合成されるところでは、ドーパミンを分解する酵素の濃度が低くなってドーパミンの濃度が保たれていることもわかりました。

さらに、試験管内での実験によって、ドーパミンなどのモノアミンには、アミロイドβの蓄積を妨げる効果があることが示されました。

以上の結果から、体内に入ったロスマリン酸は脳で直接働くのではなく、ロスマリン酸によって脳の神経伝達物質であるドーパミンなどの物質の濃度が上がることで、アミロイドβの蓄積を妨げる効果があることが分かりました。

認知症予防効果のある食べ物の研究に期待

今回ご紹介した研究で調べられた「ロスマリン酸」は、私たちが普段から口にする食物の中に含まれている成分です。どのくらいの量のロスマリン酸を、どれくらいの期間とれば予防効果があるのかについては、これからの研究が待たれるところです。ポリフェノールはたくさんの種類があることから、今後、さらに認知症予防効果をもつ食物が明らかになることを期待します。

▼ご紹介した論文
Rosmarinic acid suppresses Alzheimer’s disease development by reducing amyloid β aggregation by increasing monoamine secretion
Hase T et al. Scientific Reports DOI 10.1038/s41598-019-45168-1


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